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ファミサポの「会員が増える」キャッチコピー 改善例をビフォー・アフターで紹介

【まずは結論から】
ターゲットを絞ってメリットを伝える

ファミサポ依頼会員向けに
ターゲットを絞ったキャッチコピー

●さらに改善:
「市が運営する公的なセンター」で安心感をプラス

ファミサポ依頼会員向け
安心感をプラスしたキャッチコピー


【ここから解説】
何が問題か どう改善したのか

ファミサポは、ファミリー・サポート・センターの略称。子育てをサポートしてほしい人と、サポートする人をつなぐ市町村の子育て支援センターです。

今回はファミサポの広報自体の「根本的な 改善のアイデア」を紹介します。

【この記事を読んでほしい人】
●ファミサポの会員をもっと増やしたい人
●ファミサポのチラシを作る人
●どうも広報がうまくいってない人

※記事で紹介している、私が作成したキャッチコピーを使いたい場合は、連絡をいただければ無償で提供いたします。私の連絡先はこちらです

【典型例】
ファミサポ会員の募集チラシ

ファミサポの会員募集の典型的なチラシはこちら。※山崎市は架空の自治体名です。

ファミサポの会員募集チラシイメージ

このあとビフォー・アフターを比較するため、キャッチコピーを抜き出します。※チラシにおけるキャッチコピーとは、チラシの中で一番目立つ、大きな文字で書いているコトバです。

ファミサポの会員募集
典型的なキャッチコピー

わかります。ファミサポとして会員を募集している。それを大きく書く。

でも待ってください。
問題点が3つあります。


【ファミサポ会員募集の3つの問題点】
①「ファミサポ」は十分に知られていない
②相手は 会員になりたいわけじゃない
③2つのターゲットをいっしょにしてる


どういうことか。以下、解説していきます。

【問題点①】
「ファミサポ」は十分に知られていない

調査によって数字は違いますが、例えば2023年3月の日本生命の調査では39.2パーセントの人がファミリーサポートセンターを「知らない」と答えています

この状況で「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」が「会員を募集しています」と呼びかけた場合どうなるのか。

39.2%の人は「どこの、何をしている団体が会員を募集しているのかわからない」ということなんです。

知らない団体から「会員を募集しています」と言われても、なかなか「はい」とはなりません。(ファミサポ関係者には、きつい言い方でスイマセン)。


【問題点②】
相手は 会員になりたいわけじゃない

相手は「会員になりたい」これが願いでしょうか?

はっきり言います。違います。

例えば依頼会員であれば「子育てが本当にたいへん。誰か助けてほしい」。これが願い(ニーズ)のはず。

この願い(ニーズ)をかなえる方法として「会員になる」という選択肢があるんです。

最初から「会員募集(会員になりませんか)」は、呼びかけとして早すぎるんです。

【問題点③】
2つのターゲットをいっしょにしている

ファミサポの広報の一番の問題点は、ニーズも世代もまったく違う2つのターゲットをいっしょくたにしていることです。

2つのターゲットとは。
そうです。
▼依頼会員
▼提供会員
この2つです。

考えてみてください。

依頼会員と提供会員はファミサポに求めるもの(ニーズ)や、会員になる動機がまったく違います。

【ニーズ・動機の違い】
▼依頼会員:
自分の子育てを助けてほしい、自分の時間を持ちたい
▼提供会員:
子どもが好き、時間や体力の許す範囲で子育てに関わりたい

【世代の違い】
▼依頼会員:
小さな子どもを育てている世代
20代~30代が中心
▼提供会員:
子育てが一段落した世代
40代~60代が中心

これだけニーズも世代も違えば、会員募集の呼びかけ方=キャッチコピーも、まったく違ってきます。これを同じキャッチコピーで、同じ一枚のチラシで呼びかけるのは無理があります。

3つの問題点を指摘しました。
では、どうすればいいのか。改善後を見てください。

【改善後】
依頼会員・提供会員が増えるキャッチコピー

ターゲットが違いますので、それぞれ別個に考える必要があります。

【依頼会員が増える】キャッチコピー

まずは、依頼会員向けにターゲットを絞ったキャッチコピーを考えました。

ファミサポ依頼会員向けの
キャッチコピー改善例

「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」という団体名をメインコピーからなくしました。

「会員募集」もメインコピーからなくしています。

その上で「子育てを助けてほしい」という、相手のニーズをすくい上げています。

相手のニーズをすくい上げることで「あ、私のことだ」と振り向いてもらう。
次に「ファミリーサポートセンターの会員になると、子育てを助けてもらえるの?」と関心を持ってもらう。
こういう順番です。

【提供会員が増える】キャッチコピー

次は、提供会員向けのキャッチコピーを考えました。

ファミサポ提供会員向けの
キャッチコピー改善例

「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」という団体名、そして「会員募集」をメインコピーからなくしています。

その上で「子どもが大好き(だから子育てを支援したい)」という、相手のニーズをすくい上げています。


依頼会員向けと、提供会員向け。
別々のチラシ、別々のキャッチコピーをつくる。
作業量はたしかに増えます。

でも、まったく違うターゲットをいっしょくたにして効果の上がらないチラシを作ることこそ「もったいない」です。(偉そうでスイマセン、でも本当に「もったいない」と思うのです)

依頼会員向けと、提供会員向けのキャッチコピーの作り方は、この記事を参考にしてください。

▼依頼会員向けのキャッチコピー

▼提供会員向けのキャッチコピー


ここで、もう一工夫します。それは信頼性を高める工夫です。

【さらに改善】
相手に安心感を伝える工夫

これに関しては依頼会員向けの場合で、改善例をお伝えします。

サブタイトルの変更で、安心感をプラス

サブタイトルを変えました。

「ファミリーサポートセンター」という団体名をやめて「市が運営する子育てサポートセンターです」としました。

変えた理由は、安心感を伝えるためです。

安心感は、特に依頼会員向けに重要です。
「子どもを預かってほしい」。この気持ちがあっても、大前提として「変な人には預けられない」「相手は信用できる人か」という警戒心があります。

だから「市が運営している公的な制度だから安心できますよ」と伝える必要があるんです。

この際に「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」という名称を知らない人にも理解してもらう必要があります。
そのため例えば「市が運営する子育てサポートセンターです」「公共の子育て支援制度です」と伝えます。

【まとめ】
ターゲットを分けてニーズをすくい上げ、さらに安心感を伝える

「ファミリーサポートセンター会員募集」ではなく、依頼会員と提供会員、それぞれターゲットを分けた上で、ニーズをすくいあげる。その際に「このセンターは信頼できるところだ」と安心感をわかりやすく伝える。

これが大事です。


今回も、失礼なことを書いてしまいました。これまでファミサポのチラシを作ったりキャッチコピーを考えてこられたりした方はムッとされたかもしれません。本当に申し訳ありません。

地域で子育てを支えるファミリーサポートセンター。忙しい、余裕のない親御さんが子どもを預けることで心身ともにちょっと余裕が持てる。サポートする側もやりがいができる。大切な事業です。

だからこそ今のままの広報では「もったいない」と思うのです。


ファミサポで広報を担当されている方向けの研修会の講師も引き受けます。関心があればお問い合わせください。私への相談先はこちらです。メールをお待ちしています。


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自治体やNPOなど公的な団体には喜んで協力します。▼ここで紹介したキャッチコピーを使いたい(連絡をもらえれば無償で提供します)▼チラシにアドバイスが欲しい▼職場で研修を-など。 連絡先はkohou-oyen@iris.eonet.ne.jpまで。お待ちしています。