見出し画像

【Maple】失敗事例から学ぶ起業

今回は、
2014年にニューヨークでサービスを開始したフードデリバリーサービス【Maple】について。

2014年、世界的に飲食デリバリーサービスが大流行していた時期。
ニューヨークで生まれた飲食デリバリーサービスがあった。
それが、Mapleだ。

ちなみにあのウーバーイーツも2014年にカリフォルニアにてサービスを開始している。

このMaple

総額2900万ドルの資金調達を行い、設立当初はそれなりにニューヨークで人気を博していたようだ。

しかし、結局2017年にイギリスの飲食デリバリーサービス【Deliveroo】に買収される形であえなく終了した。

何故駄目だったのか。
Mapleのビジネスモデルから失敗要因を探ってみた。

【サービス概要、ビジネスモデル】


Mapleは、簡潔に言うと
「ハイクオリティな飲食デリバリー」だ

まず、ユーザー目線でMapleのサービスは、

一流のシェフがこだわり抜いて作った料理を他のデリバリーとあまり変わらない、リーズナブルな値段で提供する。
しかも、早く。
素材も勿論、こだわり抜いており、オーガニックな食材をふんだんに使っている。
さらに、デリバリースタッフまで徹底的に教育を受け、お客様への料理の受け渡しまでハイクオリティ。

言う事なしじゃないか。。。。

それを可能にする為に、

Mapleはニューヨーク内に専用のセントラルキッチンといくつかのサテライトキッチンを持っていた。

※セントラルキッチン
大量に料理を加工出来る施設。
学校の給食センターみたいな
※サテライトキッチン
セントラルキッチンで加工された料理を受け取り、ここで最終調理。

そして、Mapleの場合は、料理人は一流のシェフだ。

1から料理を作り、デリバリーまで請負うこのサービスは、配達のみ請負うウーバーとは、ちょっと違うビジネスモデルになっている。

そして、Mapleの料理を注文した方には、もれなくオリジナルクッキーまで付いてくるという、徹底ぶり。

それで、価格もリーズナブルだったら文句ないじゃないか!!

何故駄目だったんだ!!

という事で、失敗の要因を調べてみたら、
ツッコミドコロが満載だった。

しかし、この失敗。
馬鹿にしてしまいそうだけど、全然侮れない。

【失敗の要因】

ズバリ

売上に対して経費が掛かり過ぎた

細かく説明していくと、

まず食材の原価が
売上の60%を締めていたらしい。

基本、飲食店の食材の原価は30%ぐらいだと聞いたことがある。

僕の営業先の、原価が高くて、経営がギリギリだと言っていたお店でも40%ぐらいだと言っていたので

これは、高すぎる。

次にデリバリースタッフを社員で雇っていた為に、人件費がこれまた、売上の60%掛かっていたらしい。

人件費と食材の原価だけでも

大赤字だ。

何故こんな事が起こったのだろうか。
売上と経費の予測等、最初から出来そうなものではあると思うのだが、それでもこんな事が現実になった。

恐らく、最初、創設者は

「そうだ。デリバリーでも最高級の食事体験を提供しよう!」
と、他サービスとの差別化を図るために、このようなコンセプトを設定した。

そして、
一流のシェフ、セントラルキッチン、サテライトキッチン、デリバリースタッフの教育、最高の食材を揃え、考えうる最高級のデリバリーサービスになった。

そして、サービス開始当初は、認知度を広げる為に他サービスと同等の値段で提供した。

いずれ、認知が広がれば、最高級のデリバリーサービスを提供しているのだから価格を上げても、顧客は付いてくると考えたのじゃないだろうか。(売上の向上)

さらに認知が広がる事で、注文数は伸びデリバリースタッフを効率的に回せるようになると思ったのではないだろうか。(経費の削減)

しかし、実際には、その予想は外れた。

価格を上げた途端、ユーザーの足は遠のいていき、結果的に、デリバリースタッフの人件費は垂れ流しになった。

せめて、食材の原価を下げようよ、と僕は思ったのだが、よくよく調べてみると創設者は元々シェフで、このサービスのシェフも務めていたらしい。

なんとなく、そのシェフの料理に対する意地とかプライドがあったのではないだろうかと僕はちょっと考えてしまった。

ちょっと分からないでもない。

そこまで、時間と労力を掛けて作り上げたサービスを簡単に手放せなくなる人なんて沢山いるのだろう。

理屈ではない。

感情の部分で。

だから、起業をする時は、かなりフラットに
理屈と熱意をバランスよく持っておかないといけない。

と僕は思った。

そして、今思ったのだが
このMapleのビジネスモデルは

料理としての飲食店の機能

デリバリーとしての配達機能を

同時並行させながら開発していかないといけないじゃないか。

そんな、
ただでさえ一つの事を0→1にする作業すら
莫大なエネルギーと思考力を要するのに
それを2つ同時並行でするのは

大変だったよなあたぶん。

そして、Mapleは、2017年に買収された。

【考察】
この失敗事例からデリバリー産業が取り巻く環境というものがなんとなく分かったような気がする。

まず1つ。

デリバリーサービスで、最高級の飲食体験は、限界があるのではないか

何故なら、
人が、高級レストランで食事をする時、何故そこに高い料金を払うか考えてみる。

・料理の上手さ
・店の雰囲気
・スタッフの対応

この3つが主だろう。

そう考えると、飲食デリバリーでは、下2つは提供出来ない。

だから、現在の消費者の思考回路として

「最高級の飲食店体験がしたい!」

となれば、まず、デリバリーは頼まない。

どうせなら、お店言って雰囲気を楽しみながら、美味しい物を食べたい。となるのではないだろうか。

そもそも、
飲食デリバリーのニーズに
高級嗜好のデリバリーサービスはあったのだろうかという所が疑問になってくる。

という事を考えると、
外に出るのが一苦労なお金持ちの老人をターゲットにして、
ポスティング等で、告知し、予約も電話で受け付ける等にしてみるとニーズないかなあと、考えてみた。

2つ目、
デリバリースタッフはやはりウーバースタイルが現状では一番効率がいい

Mapleは、デリバリースタッフを常駐させた事で人件費がイタズラに掛かった。
恐らく、昔から課題だったのだろう。

それをウーバーイーツは解消した。

注文が入った時のみ、個人事業主に配達してもらう成果報酬型スタイル。

だから、Mapleの様に注文が入っていない時に、人件費を浪費してしまうような事はない。

やっぱ、ウーバーのビジネスモデルはデリバリー業界において現状では最強じゃないかと思ってしまう。

自社デリバリースタッフいらない。
店舗開拓して、システムだけ作って導入すれば、後は空中戦でお金がチャリンチャリン。

というか、デリバリースタッフだけじゃなくて
他の業界でも成果報酬型の対応スタッフシステム使えるのじゃないか??

だって、一日のスポットでしか仕事がない事業って沢山あるし。
特に起業したての頃はなおさら。

いや。
そうか。
それが、シェアリング事業か。

いや。
もっとシェア出来る事ってめっちゃあるよな。

あー

やばい

夜中の頭の中、無駄に覚醒ゾーン

着地点が分からなくなったので、寝ます。

以上、飲食デリバリーサービス【Maple】の失敗事例でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?