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エンカウント・マオ

ついに出会えた。
たまたま立ちよった古本屋で探し続けていた目当ての本に出会えたときの感動。
ネットで探せば一発で見つけられる本ではあるが、そういうことではないんだよ。

大切なことなのでもう一度。
そういうことではないんだよ。

敢えて時間をかけることで味わえる偶然の出会いを楽しむという贅沢。

毛沢東の『抗日遊撃戦論』(中公文庫)である。

この毛沢東という男。
彼の事跡や側近たちの回顧録などを読むと、人間的にはかなり問題がある人物である。
為政者としての資質には留保しなければならないことが多いが、とにかく「敵を倒すこと」に関しては滅法強い。

軍事でいえば大日本帝国を相手にした抗日戦争、蒋介石国民党を相手にした国共内戦。
権力闘争でいえば(内政的には最悪だが)プロレタリア文化大革命。
圧倒的劣勢の状態から、大日本帝国を撹乱し、蒋介石を撃ち破り、文革では政敵を一掃して確固たる「偉大な指導者」となった。
二十世紀最強の喧嘩師といってもよいだろう。

国を治め、導く指導者としては決して優等生とは言い難いが、真の意味でのカリスマであったことは間違いない。
私は毛沢東主義者ではないが、ときどき自分の考えていること「これは毛沢東的だな」と省みることが極稀にある。

彼は歴史上の人物としてはとてつもなく魅力的な人物だ。
そんな毛沢東の思想をあらわす重要な論文三本を収録したおそるべき文庫本である。

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