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漢文の海で釣りをして

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古今の漢籍が泳ぐ歴史の海に釣り糸を垂らし、釣れた漢文を我流な解釈で書き連ねたものです
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2021年5月の記事一覧

漢文の海で釣りをして【第12回】躓いたら問え、いまがその時か。

漢文の海で釣りをして【第12回】躓いたら問え、いまがその時か。

「天時に非ざれば、十尭と雖も冬一穂(いっすい)を生ずること能わず」
≪訳≫尭のような聖人が十人かかっても、冬に穀物を作るようなことは、天の時機に合っていないのでできない。
≪出典≫『韓非子』功名篇

尭(ぎょう)というのは中国の伝説の聖人です。
実在したかどうかはさておき、ひとつの究極の理想的な人物としてよく名前を挙げられる人物です。

春に種を蒔き、秋に収穫する穀物。
これは天の時に合うからこそ

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漢文の海で釣りをして【第13回】楽しむ者こそ最強

漢文の海で釣りをして【第13回】楽しむ者こそ最強

「之を知る者は、之を好む者に如かず。 之を好む者は、之を楽しむ者に如かず」
≪訳≫ある物事を知っているだけの者は、それを好む者にはかなわない。しかし、それを好む者であっても、楽しむ者にはかなわない。
≪出典≫『論語』雍也篇

たとえば本を読むにしても、知識を得るための必要に迫られて「勉強」になっているひとはなかなか身に付きませんし、何よりも苦痛を伴うため長続きしません。
本を読むことが好きだという

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漢文の海で釣りをして【第14回】愛と勇気といくらかのお金

漢文の海で釣りをして【第14回】愛と勇気といくらかのお金

「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」
《訳》倉庫に十分な食べ物があってようやく礼儀や節度の大切さを知ることができ、衣食に困らなくなってようやく栄辱を理解することができる
《出典》『史記』管晏列伝

短縮バージョンの「衣食足りて礼節を知る」でよく知られている句ですね。
中国古代の宰相・管仲の語。

宰相は王や皇帝を補佐する総理大臣のようなものだと思ってもらえればよいです。
中国で「管仲のよ

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