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Photoshop 覆い焼き・焼き込みツールの元々(暗室でのプリント作業)
暗室での現像プリント作業をしたことは無いが興味はある方に。howtoでもスキルアップでもない雑学記事です。
元々 写真は化学反応のたまもの
今はすっかりデジタル作業が主流ですが、元々写真は化学反応のたまものでした。
もんの凄くざっくりしか言えませんが フィルム(フィルム以前は感光剤を塗ったガラス)に光を集め像を写しとり、現像という化学反応を起こして更に印画紙に化学反応で焼き付けるのです。今はプリントもインクを吹き付ける形になっていますね。
キヤノンさんのこちらのページがわかりやすかったです。
現在 写真=Photoshopといっても過言ではないこのアプリにも昔からの写真技法を連綿と受け継ぐツールがいくつかあり、でも実際にやったことがなければピンとこないのでは?と思ったのが「覆い焼き・焼き込み」ツールなのです。
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覆い焼き・焼き込みツール
Photoshopでは何となく指定したポイントで濃くしたり うすくしたり マスクの輪郭の調整したりするツールというイメージです。余談ですが「被写体を選択」の切り抜きの精度すごくないですか…?大体の画像チマチマとマスクの調整しなくて済む、すごいよ。さすが更新のたびにいかに馬のたてがみを綺麗に切り抜くかに尽力するAdobe sensei。
しかし暗室でのプリント作業ではとても重要な意味合いを持ちます。ここに暗室プリント作業の醍醐味が詰まっています。
暗室での現像(プリント)作業の流れ
【0】露光
専用の引き伸ばし機によってフィルムの画像を大きく投影させて印画紙(感光剤が塗布された紙)に露光させる。ここで光を何秒当てるかによって印画される像の濃さが変わる。← 覆い焼き・焼き込みはココ!
【1】現像
紙に塗布された感光剤と現像液が反応し画像が浮かび上がる。大好きな瞬間…
【2】停止
酢酸につけて反応を止める。
【3】定着
浮かび上がった画を定着液によって紙に固定させる。
水洗〜乾燥
この一連の流れを暗室(遮光した部屋)で行います。水洗まで終われば光の下にさらしても大丈夫です。暗黒にのまれたりしません。こう書くと何だか新手の宗教みたい。フィルムの現像も印画紙へのプリントも流れは一緒です。
光を当てる作業ですが いかに光を当てないかがむしろ重要です。当てすぎるとあっという間に真っ黒になります。露光量というやつです。
そのためフィルムまでは撮影時に露光量(露出)が少しずれるだけで像は写りませんでした。デジタルは「ヤベェ…ほぼ黒やん…」という場合でも救出できます。昔のカメラマンの技術には脱帽するばかりです。
実際の覆い焼き・焼き込みの仕方
◇before◇
ガラスの反射で虎の顔の濃さに差が出てしまったので調整していきます。
◇覆い焼き◇
露光する際に該当箇所に光を当てない
◇焼き込み◇
露光する際に該当箇所だけ光を当てる
◇完成◇
虎の濃さが一定になりました。
この一連の作業の何より面白い(人と状況によっては厄介な)点は
現像作業が終わるまで結果がわからない上にcommand+Z(戻る)が使えないこと
です。
この記事は暗室ではなくPhotoshopでの作業ですが、command+Z連打のうえヒストリーで戻りまくってます。そして覆い焼き・焼き込みツールを使っていません…。トーンカーブとマスク処理で行っています。
露光時間を間違えていたら 色々やっても既に真っ黒ですし、液の配合を間違えていても真っ黒です。スリリングですが、面白い!
仕事でやったら発狂しそうですが…昔のカメラマンの技術の前には帽子も消失します。
結果が分からないのが撮影の段階からですからね。撮影時に露出を間違えていたら既に写っていませんがフィルムを現像するまでは失敗したか分からないのです。
そう考えるとデジタル以前の写真は科学実験に近いのかもしれません。現像には温度も重要になるのですが、わざと高温にするという技法も存在します。
写真が好きな方にはぜひ一度暗室でのプリント作業をしてもらいたいです!
必要なものを用意してくれているレンタル暗室もあります。写真が浮かび上がる瞬間のワクワク感は楽しいものです。
写真の歴史を知ると今まで何となくで行っていたデジタルの撮影と現像も少し変化をつけたくなるかもしれませんよ、という記事でした。最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。
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つけヒゲに憧れているのでつけヒゲ資金に充てたいです。購入の暁には最高のつけヒゲ写真を撮る所存です。