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狭き分野内のデザインにおける「パクリ」問題について考えた

どうも!プロダクトデザイナーのタケと申します。いろんなデザインしたり、絵描いたり、色々やってます。

今回はデザイナーがパクったパクってない問題について、僕が思ったことを書き下ろしていきます。


先日TwitterでNagiという女性用ブランドのクリエイティブが、とあるアメリカの女性用下着ブランドのThinxに酷似しているのではないかと話題になり、Nagiの公式アカウントが以下のような声明をあげました。

以下の画像が比較した画像です。

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確かに私もこのクリエイティブを見ると「似ているな」と思いました。タイムライン上でも批判している方がちらほら見受けられました。だがしかし、注意しなければいけないのは女性用(生理用)下着という狭き分野内でのクリエイティブが結果的に似てしまったということです。

以下に私の経験を踏まえて考えを述べていきます。


私の経験と照らし合わせてみる

2013年ごろから2016年ごろまで、私はJailbreak(通称:脱獄)というiOSを改造する海外のコミュニティにアイコンデザイナーとして参加していました。アプリデザイナーたちは、既存のiOSアプリのアイコンを自分のスタイルでリデザインして販売していました。

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(↑実際に私が作っていたアイコンパック)


そんなJailbreakのアイコンデザイナー界隈ではよくパクったパクってない問題が勃発していました。

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「カメラのアイコン俺と同じじゃねーか!」とか、「あいつがお前のアイコンパクってたよ」などという会話は、当時のアイコンデザイナー界隈では日常茶飯事でした。

実際に私も「パクっただろ」と言われ、私のアイコンに関するスレッドがredditで荒れた時期もありました。また、私の知らないところで「タケのアイコンをパクってる」と言われていた作品が炎上していたりとか。


今回NagiとThinxの共通しているコンセプトは、以下のようにあげられると考えます。

・女性
・生理用下着
・シンプルさ
・人種多様性

狭い分野で同じ目標を作っているが故に、似たようなクリエイティブが出てくるのは当たり前のことでないかと考えています。

この世にオリジナルなものなどすでになく、必ず何かと似てしまうのは、デザインの性(さが)です。(ただし、複数が同じ目的に対しての課題解決を目指し似たようなクリエイティブになる事と、意図的にデザインやコンセプトをトレースすることは全く違う物だと私は考えます。)

私自身、上記のカメラアイコンがパクリと言われた時、必死に抵抗しましたが、炎上がおさまることはなく、泣く泣く違うデザインのアイコンに変更しました。自分が信じたデザインを批判され、変更しなければいけないことはとても悲しく、すごく落ち込みました。たとえ他の作者のアイコンをトレースしていないにしろ、他の人やその作者には関係のないことでした。それ以来私はアイコンを作る前に、他のアイコンと似てないか必ずリサーチをして作るようになりました。あの時は、デザインがとてもし辛いものになってしまいました。

ほどなくして、私はアイコンデザインの第一線から離れました。


今回のNagiのクリエイティブチームが意図的にトーレスしたのか、してないのかは当事者にしかわからない事です。ただ、私目線NagiがThinxをトレースしたとは思いませんでした。コンセプトをクリエイティブに落とし込んだ結果、似たようなデザインになってしまったのではないかと考えます。

また、似てしまうことと、パクることの境界線は世間にとって曖昧なものとなり、時に理解されにくいものとなってしまいます。

今後Nagi含め同じような分野のプロダクト製品がいいクリエイティブをだしにくくならないかが、私の懸念です。そのためには、自分たちが信じるクリエイティブをしっかりと世間に理解されるように伝えるのが、私たちデザイナーの役目だと考えています。


皆さんはどうお考えでしょうか?


TAKEHIRO KOISO
ポートフォリオ→ https://takeis.me
ツイッター→ @takeisme

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