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カードの価格ときっかけと研究

この記事は『FUN Advent Calendar 2022 part2』の14日目の記事です。
(Part1Part3)もあります

昨日のPar2記事は、あきめくさんの「春休み海外行かん??」でした!
国際学会で渡航できてるのうらやましいですね!(先日参加した学会はオンライン開催だったので…)僕も生ジンベイザメみたいなぁ…と思いました。

誰だお前

こんにちは。未来の大学6年目、北の国でデータサイエンス等を勉強をしているフクロウです。趣味でUnityのカジュアルゲームも作っている弱小ゲーム制作者です。

△「PONG Arcade」という学校祭で展示したゲームです(webで遊べます)

△学祭では1~3年生の皆さんの協力でアーケードゲームの展示
とかもしていました、後輩のクオリティが高い

今年は何を書こうかしら

さて、「FUN Advent Calendar」は参加4回目となります。すごい年月を感じる。昨年度は自分がゲーム制作をしてることもあり「なぜ自分がゲーム制作をするのか?」という話を書きました。

ちなみに、2年前と3年前は趣味のことを書いています。3年前の記事のせいで、いまだに僕の印象が「クリスマスに”ワンダと巨像”してる人」と認知されているらしい声を聞きます。

△聖夜に「ワンダと巨像」をやる話、今年もたぶん配信します

で例年通り今年もなにか書ければなぁということで、Twitterのほうでアンケートを取りました。

というわけで、今回は「研究の話」の話をしたいと思います。

前々からTwitterでは「カードゲーム研究が~」、「データサイエンスが~」みたいな話をしてきたのですが、詳しいことを外向けに話したことがなかったので、今回は研究に関する話をしてみようかと思います。

ってかどこ住み?研究やってる?

実は、現在研究3年目の身です。現在は修士課程で研究を行っていて(この後ちゃんと提出できれば)今年度で修士論文を収めて卒業予定です。
自分の研究室は、いわゆる「データマイニング」にあたる分野をやってます。ざっくりといえば、『データ沢山あつめて、機械に計算させて、面白い知識を見つけちゃおう!目指せトクモンマスター!』って感じです。

△データサイエンスカードゲーム『特徴量モンスター』(トクモン)
なお、弊研究室は僕と先生が持っているので、現物が2つある

その中でも自分の研究テーマは、「中古トレーディングカードゲーム市場のデータ分析」というものすごいニッチなテーマをやっています。対象タイトルをMtGにして、中古トレカの急高騰や高額取引について、実際のデータからその理由を探って予測しよう!という研究です。

△顕著に値段が上がった例(3ヶ月で30倍)
こういうのをデータから予測したり、理由を探る研究です

ただ研究の内容そのものについては、詳しい話をしてもしょうがないと思ったので、今回は「何故大学院に行こうと思ったのか」「どうしてTCGの研究をし始めたのか?」「修士に行って学べたこと」について書いていこうと思います。

You はどうして大学院に?(進学)

まずは、自分が大学院になぜ行くことを決めたのか?というきっかけについて語ります。

卒研を1年間やったけど、結局”研究”とはなにか何もわからなかった

僕が学部3年生の頃、サークルの先輩(当時4年)がこんなことを言いました。その先輩は、研究の傍ら時々サークルに顔を出してくれていたのですが、毎回大変そうだなぁという印象を持ってはいました。

僕自身は先輩のことをかなり尊敬していましたし、技術力のある方だとおもっていたので、そんな人が「わからない」とまでいう研究とは一体どんなものだろうかと思っていました。

△天秤/Balance
土地や進路を天秤にかけて二分する

自分の中ではその時、いろんなメリットを検討して進学に寄ってはいたのですが、何よりもこの「1年間では”研究”とはなにかも伺い知れないかもしれない」という事実が、自分が修士に行って3年間研究をやってみようと思う出発点だったと強く覚えています。

実際に3年間やってきた今、その難しさや範囲の広さから「3年でも、思っている全部を解明するのは無理」という感想ではあるのですが、やっぱり1年では到達できなかったことも多く、ほんの少しだけでも研究とは何かを知れた気になれたので良かったとは感じています。

そういう意味で、研究というものの広さや深さを知ってみたい、というところが修士に行くきっかけになったのかなと回想して思います。

オレはカードで死ぬなら本望だ!(テーマ決め)

次に、自分がなぜTCGの研究をしているのかについては、現研究室に配属された後の話になります。

当初はテキストマイニングなどが流行っていた(ような気がする)ので、「ゲームレビューからのデータ分析」を目標に研究を考えていました。(研究計画書を書くときは実際にこのテーマだった)

△当時の研究計画書の一部
テキストデータ処理が難しいというのは後で知った

その後、実際に4年生で研究を始めるときに「そもそも自分がゲームレビューをちゃんと読んだことがあるのか?参考にしているのか?」という壁にぶち当たりました。(対象データの複雑さをやってみて知る、は結構あるあるみたいです)
正直Steamのゲームレビューを詳しく知らなかったので、本当に研究として成立するのか?という怪しさもあり、「研究テーマを一旦考えなおしてみよう!」となりました。

「3年間研究するなら、少なくともその間は考えていて楽しいテーマにしようね!」

その時に先生に言われたことがおかげで、テーマが決まったのかなと思っています。「そうか、このまま修士に行くなら3年、学部でも1年間はずーーっと考え続けるんだもんな…」と思い、改めて練り直しました。

コロナ下の5月、家の中でふと「自分が常日頃意識せず楽しく考えていることは何か」自分の動向を追いました。YouTube、Twitter、ネットサーフィン、友達と遊ぶ時…
あれ…こいつ、カードゲームのことしか考えてないぞ????
その時に、「カードゲームのことは3年間考えても飽きないなぁ…」と思ったのがきっかけです。

そのあと、カードの効果テキスト分析などを考えた後に、「機械学習による株価予測」の研究を知って「これだ!」となりました。
カードゲーム界隈で「カードゲームは株(のように価格が急騰する)」として揶揄されていたり、「いかに少ない予算で楽しむか?」という遊び方をしていたので、

A.「カードゲームは株である
B.「株は機械学習で予測できる
A+B →「カードゲームは機械学習で予測できるのでは?

という単純な3段論法から今のテーマを決定しました。思えばすごい雑。

実際は3年間考えている中で、カードゲーム以外で大変なことは山ほどあったのでずっと楽しかった、とはいえませんが、少なくとも主題そのものは今も不思議で、解明されれば面白そうだなと思えるテーマだと感じています。

△新カードの情報を見て発狂する僕
分析対象を現行コンテンツにすると、新商品発売のたびにデータ性質が変わる

そういう意味でも、なぜこの研究をしているかの理由は、「3年間考えていても苦にならないものを考えた」「その中で既存研究との組み合わせを探した」というところが強かったのかなと今でも思います。

研究完全に理解した(学んだこと)

最後に修士の研究の中で学んだことですが、多くは世間で言われてるスキルっぽいところなので省きます。

ただ、自分は「デーサイエンス」というデータから学習して性質を見つける分野なので、自分がデータを集めるという姿勢について敏感になりました。

例えば、自分にとって不安な話があったりしても、「サンプル数n=1だしな…」「データの平均取ればそうでもないかも…他も見て見よう」「データがきれいすぎないか?」みたいに、様々な情報を集めながら多面的に考えていく姿勢が学べたことかな…とふんわり感じています。

△全可能性の究明/Scour All Possibilities
n = 100でも足りないかもしれない

後は、機械学習を学ぶことで「実際に自分がどう学ぶか?」について知見が増えたことも学んでよかったと思います。先生も実際の学習を例に知識を教えてくれたこともあって、「いま自分が知っていること(データ)と分析は妥当なのか?」と判断の根拠に立ち返るきっかけになったり、物事を考えるときの参考になったと思っています。

その他、学生生活の中で「学会(締切)を決めたらなんとしても出す」とか「認識のずれが少なくなるコミュニケーションを目指す」、「数字や文献はまずは疑ったうえで調査する」みたいなことは学んでよかったと思います。

これはデータサイエンスに限らず学べることだとは思いますが、自分の考え方の土台になった部分だと思うので、このあたりが学べただけでも修士に行ってよかったと思っています。

そういうわけで、専門的な知識はもちろんついたにせよ、「自分の根っこの部分の考え方が染みついた」ところが、3年間研究をやってきて最もよかったことかなぁと思いました。

終わりに

△学期の終わり/Semester's End
もうちょっとだけ続くんじゃ

というわけで、今年は「研究」の話として、「修士に行く理由」「テーマを決めた理由」「学んでよかったこと」を話してきました。とはいえ最終論文に向けて作業がまだまだ残っているので、研究とてもよかったなぁ…とか感慨にふける状況でもないです、進捗を出します。

あと超余談ですが、研究室での思い出として、なぜかやや競馬に詳しくなりました。これは完全に私の先輩のせいで「先輩からくる雑談内容の8割が競馬」だった時期があったので、馬の交配による血統遺伝(4×3?)みたいな話をなんとなく覚えてしまいました。先輩の卒業後一切馬についてみてはいませんが、今でも話が出ると時々思い出します。(感謝しています)

そういうわけで、今回しゃべった研究の外でも、担当教員の先生、研究の時にお世話になった先輩後輩、他研究室の友人達、発表会やTAでお世話になった先生方など、3年間修士を通して弊学の皆様からもたくさんのことを学べたと思うので、そういう方々のためにも頑張って論文をまとめようと思います。
ハイ・・・ホント・・・アドカレカイテナイデ・・・チャント修論トウシマス・・・

修論が終わって卒業できたら、来年以降はアドカレ書くこともないのかな…とは思うのですが、自分も好きなことを書いたり発表する機会が持てたことは非常に良い経験だったと思うので、今これを読んでいるあなたもぜひ来年はアドカレ書いていただけるとよいと思います・・・FUNアドカレはTCGの記事書いても許される寛容さなので・・・

長々と語ってきましたが、本編はおしまいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!!!

△生ける卒論、オクタヴィア / Octavia, Living Thesis
修論が書きあがるまで生きていられるといいなぁ

(以下、宣伝とかおまけです)
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明日の記事のお知らせ

明日の記事は15日目、tomohihi6さんの「大学院には行くな!」です。こちらは修士の進学のいいところも悪いところたくさんも書いているので、ぜひこちらも読んでみてください!タコス。

明日以降(&Part1Part3)もぜひぜひ読んでいただけますと嬉しいです!

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おまけ

真面目な記事を書くと頭のおかしい記事も作りたくなるので、「自分が眼鏡キャラが好きな理由」という文章を書きました。なんで?
メガネキャラクターの歴史とか入れてますが、一切人生の知見になることは書いてないので、気になる人だけ見てください。

△引用部分が多いとはいえ、本編の1.5倍の文章量ってどうなのよ

(本当の終わり)

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