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ちょっと太った母

13時40分。
施設に母を迎えに行きました。
父が入院して以来、14時頃母と面会に行くのが
日課のようになっています。

車の中で母が話し出しました。
「歩、私、太ったの」
「あ、そうなの。体重を量ったの?」
「体重は量ってないんだけど、
 ベルトみたいなのを留められなくなったの」

ベルトとは、圧迫骨折で腰が痛いため、
いつも巻いているサポーターのことでした。

「体重が増えて良かったじゃん!
 帰りにドラッグストアでサポーター買おうね」

母は太ったことがちょっとショックみたいでしたが、
なにせ痩せているので、
太ってくれたほうが私としては安心です。

実家にいるときは
目の前にいる父のことをいつも心配していたので、
たぶんゆっくり食べられなかったと思います。

今は施設で、栄養バランスのとれた食事を
全て美味しくいただいているようなので、
きっと食べたものが身についてきたのでしょう。
よかったよかった・・・。

今日の父は、久しぶりに言葉がはっきりしていて、
なんと言っているか大体わかりました。
顔つきもいつもよりしゃんとしているようでした。
とはいっても、なんのことを言いたいのかは、
やっぱりよく分かりませんが(^_^;)

看護師さんがやってこられて、
今日もほとんど食べていないと教えてくださいました。

母の太った話を笑いながら聞く父に、
話しかけました。
「お母さんはいつも全部食べてるんだって。
 それで太ったんだって。
 お父さんもたくさん食べて太ってね」

父はにこにこして聞いています。
たくさん食べるのが無理なのは分かっていても、
そう言わずにはおれませんでした。

面会後、母をドラッグストアに連れて行きました。
顔見知りの薬剤師さんがちょうどいたので、
どれがいいのか聞いてみました。

すると、
「これでどうでしょうか?」
と、たくさん並んだ見本のサポーターの中から
良さそうなものを選び、
母の腰に巻いてくださいました。

「お母さん、どう?」
「あら、ちょうどいいわ!」

丁寧にいろいろ説明もしてくださって、
本当に助かりました。
このようなとき、顔見知りの方がいると
相談しやすいですね。

サポーターを購入して施設に戻ると、
スタッフの方に、
母の喪服もいっしょに渡しました。

母はもう何年も喪服を着ていないので、
この喪服で大丈夫なのか
着せてもらうように頼んでおいたのです。

「お手数をおかけしますが、
 お時間のあるときに母に着せてみて
 いただけないでしょうか?」
「もちろん、大丈夫ですよ!」
「ありがとうございます」

こちらの要望を快く聞いてくださる
スタッフの方に感謝!

帰宅後、妹と恒例のLINE電話。
家族葬に来ていただく親戚関係に、
妹が全て電話を入れてくれていました。

着々と進むお葬式の準備。
その日の到来が1日でも遅いことを、
心から願っています。




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