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セミナー講師/セミナー主催者のための最適な業務委託契約書【ひな形/商用利用可能/メールサポート付き】

竹永 大 / 契約書のひな型と解説

「セミナービジネスをしているけれど、まだ講師と契約書を交わしていない。」

「まだトラブル
になったことはないけれど、いつかは契約書が必要になるかもしれないなあ。」

「今後のことも考えて、講師との間にかんたんな契約書を交わしたいな。」

そんなときは本記事を参考にして、契約書をつくっておきましょう。でも、どんな内容の契約書が良いのでしょうか? 本記事では、依頼状、確認書、契約書の各ひな型と、それら解説をします。セミナー主催者の方も、セミナー講師の方も、参考になさってください。

まず要点をまとめます。

講師と主催者との契約書作成上のポイントは?

契約書作成上のポイントは2点あります
①できるだけ短く、分かりやすくする
②権利帰属が問題になる場合があるので注意する

①できるだけ短く、分かりやすくする

シンプルで短い契約書の方が、講師も主催者も「お互いに」確認する時間が少なくて済みます。もちろん重要な条項を省く必要はありません。ポイントを絞って契約書を作成するべきという意味です。たとえば、セミナーの日時や内容、つまり「いつどこでなにをするのか」は、重要なポイントです。

そして講師に支払われる報酬を「いつ、いくら支払われる」のかはっきりさせることで、報酬をめぐるトラブルが防げます。これもお互いにとって大事なメリットですね。こういった要件をもれなく契約書に記載してください。

分かりやすくするには、できれば「難しい用語」は使わないことです。「これってどういう意味なんだろう?」と、お互いに迷ったり相手に確認したりする時間を少なくしたいですし、誤解を防ぐためです。

本来、講師と主催者とは「持ちつ持たれつ」の対等な関係のはずです。よって、あまり複雑な契約書は必要ないのではないでしょうか?

もちろんセミナーの規模(金額的な、あるいは人数的な大きさ)にもよりますが、ほとんどの場合は「依頼状」に少し条件を足したくらいのボリューム感が良いと思います。(ただし、著作権の帰属に関する条項は入れた方がよいです。)

②権利帰属が問題になる場合があるので注意する

唯一問題になりやすいのが、当日のスライド資料などの著作権の帰属です。セミナーや研修に使われる資料にはたいてい、講師が持つ著作物がつまっています。教育ビジネスを運営する主催者側と、コンテンツを提供する講師側とが、著作権の帰属をめぐって揉めてしまわないように、契約書で権利処理をしましょう。

セミナー動画を販売する場合の権利処理にも注意する

たとえば、当日のセミナーを主催者が録画し、以後に「動画配信」する等して収益化する場合には、著作物の二次的な利用について明確にしておかないと、いずれトラブルになるでしょう。

「契約書」を交わさない(依頼状やメールで済ませる)場合でも、「権利関係」についてだけは、確認できるようにしておきたいところです。そこで、以下にセミナー講師とセミナー主催者との間の契約実務について、3つのパターンを解説します。

講師の依頼方法 3パターン

・「講師依頼状」をセミナー講師に送る【シンプルで確実】
・「権利の確認書」で対応【権利帰属が明確になる】
・「契約書」を作成【おすすめのリスク予防策】

依頼(契約)には大きく3つの方法があります。どれを採用するかはやはりセミナーの規模などから考えればよいと思います。意味合いとしては同じですので、いずれを選択してもトラブルを防ぐ一定の効果があります。

以下に、具体例を挙げます。

1.講師依頼状のつくりかた

「講師依頼状」は、以下のような書式です。

                         〇年〇月〇日
株式会社〇〇セミナー
代表取締役 〇〇〇〇

              講師依頼状

〇〇先生
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。以下の通りセミナー講師をご依頼申し上げますので、ご確認よろしくお願いいたします。尚ご多用のところ大変恐れ入りますが、同封の(別途送信の)承諾書を 〇年〇月〇 日までにご返送いただけますと幸いです。どうぞご確認よろしくお願いいたします。
               記
・日時
・テーマ
・会場
・謝金について

                       以上 

(日時などの講義の概要の部分は、「表」にしたほうが見やすいと思います。)

事前に依頼状を受け取ると講師も安心ですし、主催者側もあとで「言った」「言わない」になるのを避けることができます。もちろん依頼状の日付が間違っていたりというミスはこわいので、出す前によく確認が必要ですが、依頼状はとてもシンプルで確実な管理方法です。


2.権利の確認書のつくりかた

ようするに当日配布資料やスライドなどの資料の著作権が、講師に帰属することを確認する書類です。(譲渡する場合も考えられますが、それならそうと明確にすることが重要です)
セミナーや講義の内容によっては、資料に営業秘密や貴重なノウハウが含まれているはずです。「資料の秘匿性が高いため、権利帰属を明確にしたい」といったニーズのある場合は「権利の確認書」として、以下のようなフォーマットを作成します。(タイトルは自由に決めてかまいません)


           研修資料の利用条件同意書

研修会社:株式会社〇〇セミナー(以下「会社」といいます。)と、〇〇〇〇先生(以下「講師」といいます。)とは、会社の主催する「〇〇〇(セミナー名)」の講義に使用する資料について、その利用条件等を、本日以下の通り合意したので確認いたします。

【資料目録】
1 (テキスト名、研修日、媒体、ページ数など)
2 
3

【利用条件について】
1.講師により作成された上記資料目録の研修資料、教材(以下、「資料等」と総称します)の著作権は、講師に帰属します。但し会社の費用負担にて作成した資料等があるときは、これを会社が特定したうえで、その著作権は、会社に帰属するものとします。
2.講師は、会社から個別の承諾を得ることなく、資料等を利用できるものとします。
3.会社は、資料等の利用にあたり、研修講義録、研修要旨およびこれらの翻訳、研修資料や教材の編集・加工、動画配信を行うときには、あらかじめ講師に対して内容確認の機会を与えなければならないものとします。
4.会社は、資料等の利用にあたって、講師が著作権者である旨の著作権表示をおこなうものとします。

以上確認します。
〇〇年〇〇月〇〇日
(会社)
(講師)

これはようするに、資料の権利がどちらに(誰に)あるのかを、はっきりさせるために作成します。通常、著作権を有している者はその著作物を自由にコントロールできる権利をもっています。つまり、使わせたり、使わせなかったりできるということです。よって、たとえば資料の権利が講師にある場合は、主催者側は講師の許可を得なければ資料を使えません。そこで、許可を得た上での使用であることを明確にしておきます。(逆に主催者側に権利が帰属している場合もあります。)

3.研修業務委託契約書のつくりかたとひな形

おすすめは、やはり契約書を作成することです。セミナー講師から提示してもよいですし、主催者がフォーマットとして用意しておくこともできます。

実戦的なひな形を以下に公開します。
すぐに編集にとりかかれるよう、記事の末尾からWordファイルをダウンロードできるようにしてありますので、ご活用ください。

ひな形のポイント

不可抗力による中止に対応

ポイントとしては、特に昨今の感染症の事情などを考慮し、不可抗力事由で開催が中止になった場合を想定して、その際の責任関係がどうなるのかを定めました。

資料の著作権の帰属を明確化

セミナー講師が作成した資料の著作権は、講師に帰属する規定により、権利関係を明確化しています。

オンライン配信にも対応

セミナーを収録して、ダウンロードやストリーミング配信する場合を想定して、主催者と講師との合意を明確化しています。

当日の物販を想定した記載例

当日に、講師が独自商材の販売をするケースを想定して、そうした特約の記載例を載せています。記載例は、この場合に主催者が販売手数料を得るケースにも対応しています。

中立的な内容

基本的には発注者である主催者を守る内容ですが、かといってどちらが一方的に不利というものでもなく、標準的なバランスにしてあります。

このひな型に含まれる条項は

このひな形には以下の条項が含まれています。

研修業務委託契約書のひな型に含まれる条項
第1条(目的) 
第2条(業務の委託)
第3条(再委託の制限)
第4条(対価の支払)
第5条(業務内容の変更)
第6条(一般的損害)
第7条(天災その他の不可抗力の扱い)
第8条(甲の解除権)
第9条(資料等の著作権)
第10条(権利不侵害の保証)
第11条(動画配信による利用)【パターンA、B】
第12条(秘密の保持)
第13条(権利義務の譲渡等)
第14条(契約期間及び条件変更)
第15条(契約外の事項)
第16条(合意管轄)
【別紙】業務仕様書 記載例

選択式条文
・セミナー等を動画配信する場合の条文
・契約書を紙でなく電子契約によって締結する場合の条文例
・セミナー当日に物販がある場合の記載例(手数料あり/なし)

メールサポートします!


以下がセミナー主催者と講師のための業務委託契約書のひな形です。ひな形はWordファイルでダウンロードできます。適宜アレンジしてお使いください。どんなひな形も最終的にはご自身によるカスタマイズが必要です。「これでいいのかな?」などと、わずかでも気になることがあれば、記事ご購入者専用のフォームを用意していますのでご質問ください。メールサポートにより自信をもって締結できるように対応しますので、ご活用ください。


         セミナー/研修業務委託契約書


【主催者名/株式会社◯◯◯◯】(以下「甲」という。)と講師【講師の氏名/通称◯◯◯◯】(以下「乙」という。)とは、甲より乙に対する「◯◯◯◯◯セミナー」の委託について、次の通り業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

(目的)
第1条 本契約は、甲が乙に対し、甲が主催又は運営する【セミナー(研修/講義/講演/授業/学習サービス)】における講師業務を委託することに関する当事者間の権利義務関係を定めることを目的とする。

(業務の委託)
第2条 甲は乙に、本契約及び本契約とともに締結される業務仕様書に記載の委託業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託するものとする。
2 乙は、本業務に関して甲から書面又は電子メール等により示される指示内容及び業務仕様書の規定に従い、本業務を実施しなければならない。
→セミナーの具体的な実施日、場所、テーマその他必要事項や特約については、末尾の仕様書にまとめてください。仕様書は契約の一部を構成しますので、その都度正確に記載してください。(記載例あり。)

(再委託の制限)
第3条 乙は、本業務の実施を第三者に委託してはならない。ただし、あらかじめ書面による甲の承諾を得たときは、この限りでない。
2 乙が、前項ただし書の規定により業務の一部の実施を第三者に委託する場合には、甲は、乙に対して、受託者の名称その他必要な事項の通知を求めることができる。

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竹永 大 / 契約書のひな型と解説
1973年東京生まれ。平成15年から契約書専門の行政書士。著書2冊「わかる!使える!契約書の基本」(PHPビジネス新書)「契約書の読み方・作り方」(日本能率協会マネジメントセンター)。ホームページ https://www.thebestagreement.com/