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シンガポールで「なぜサービスロボットの開発をしているのですか?」と聞かれた話

行ってきました、シンガポール!!
2年ぶりの海外です。

滞在時間は45時間くらいだったので、ゆっくりという訳にはいきませんでしたが、多くの現場で、様々な人とお話しすることができました。

空港、ホテル、図書館などで配送、掃除、警備などのロボットの活用を見たり、政府系の組織のロボティクスへの取り組みを教えて頂くことができました。
個人的には、どうやってサービスロボット産業を大きくしていくのか、そして、産業と国策との関係についても色々と考えさせられる出張でした。

ローカルエンジニアとの会話

出張の中で最も印象に残ったのは、移動中の車の中で受けたローカルのロボットエンジニアからの質問でした。

『安藤さん、どうしてサービスロボットの開発をしているのですか??』

最初はどういう意図の質問かがわからなかったので、いろいろと話していると、素朴な疑問として、「なぜ??」と思っているようでした。

彼の話を聞いていると、シンガポールで生活していて、人手不足ということを感じたこともない※。コロナで海外からの労働者の数は減って、建築現場などでは困っているようだけど、一時的なものだろう、という意見を持っているようでした。
※日本においても日常生活で人手不足を切に感じているという人は少ないかと思うので、近い感覚なのかもしれません。

日本では、地域や職種によっては本当に人が集まらない状況にもなりつつあるよという話をしたら、interesting!と繰り返し言っていました。

少し調べて見ると、シンガポールの人口はピークに近い状態がしばらく続き600万人くらい。高齢化率は、現在は14%程度なものの、すぐに20%を越え、30%も超えるという状況のようで、高齢化のスピードは日本を凌ぐレベルかもしれません。政府レベルで考えると、テクノロジー含めて何かしらの対策を考えたくなる数字です。

しかし、それでも日本ほどの悲観論が少ないのは、やはり外国人労働者が労働力全体の約40%を占めていることも大きな一因のようです。製造業で5割、建設業で7割強を占めているとのことなので、確かに多い。

しかし、その海外からの労働力も、国民感情やコロナの影響を受けたかはよくわかりませんが、ある程度絞り込みが掛っていくようです。さまざまな現場レベルでどのような状況になっているのか、そして、一時的なものなのか、また増やすのかはわかりませんが、少なくともローカルのエンジニアが日常生活で感じ取るほどの人手不足感はなさそうです。サンプル1なので、信頼度は低いですが。。。

国によってベストミックスは異なるという当たり前

シンガポールに行く少し前、同世代の方々と、これからの日本の行く末に対して、戦略的縮小か移民受け入れか、はたまたロボットか、みたいな話を聞いたり、話したりする場がありました。当たり前の話なのですが、各国で置かれている状況は全く違うのだなぁと改めて感じた次第です。

日本では、少し前にパーソルが発表したデータによると、2030年には644万人分の労働力が不足するとされており、女性の仕事復帰の促進や海外からの労働力確保などの施策を打っても、298万人分の労働力を確保するためにロボットなども活用して生産性を上げないといけないというロジックを使ったりしますが、あくまでも日本の話でした。


パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」


上図の数値はそれぞれの国で一体どのような数値になるのだろうか。

そして、
人はいくらでもいると言われた時に、どんな提案をしたら響くのだろうか。
人件費削減だけだろうか。
どんな付加価値が喜ばれるのだろうか。

そんなことは深く考えずにとにかくやってみてから考えるという文化なんだろか。
などなど、質問を受けてからいろんな考えがグルグルと巡りました。

先日のNoteでまとめ始めた「ロボットの提供価値とは?」について、改めて考えるキッカケになりました。アプリケーションによってもロボットが提供すべき価値は異なりますが、同じアプリでも国によって求められる価値は違うという気づきも得ることができました。

何はともあれ、シンガポールは世界トップレベルのロボット密度(Robot density:労働者1万人あたりのロボット利用台数)を有する国です。2019年は世界1位、2020年は世界2位です。


ロボット普及に数百億円が毎年投入されるこの国が、サービスロボットに対して、どのような目的で、どのような戦略を取るのか要注目ですね。

そして、ロボットのみならず、他の手法も含めたベストミックスは国によって異なります。シンガポールにおける解は何なのか?ローカルのエンジニアとの協力しながら、追求していきたいと思います。

では、また来週〜。
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安藤健(@takecando)

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