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「あわてないあわてない。一休み一休み。」と言える一休さんのネガティブケイパビリティ。

今回は、「決めない」というのも1つの能力だよなぁと思った話です。

きっかけは、

『安心感』って言っても、人それぞれ何を感じているかは違うよね~

と会社の偉いさんとの会話の中でポロッと出た言葉。
「確かにそうだなぁ」と思ったわけです。

例えば、アンケートでサービスやプロダクトの感想をヒヤリングして、「安心感を感じましたか?」と5点満点のアンケートを取ったとしても、それぞれの5点はどれ1つ同じ安心感はない。もし言葉で定義しようとしても、同じである。家族と一緒にいるような感覚と定義する人でも、それぞれの家族の像は違うだろう。

以前、note記事で書いたようにまさに「環世界」というの近い話であり、世界をどう捉えて、どう感じているかは、人それぞれ違うし、おそらく解り合うことも難しい。

普段は、人の感性を引き出し、テクノロジーでWell-beingに貢献する!と息巻いているわけですが、そんな人それぞれ違う感性のような存在を定量化し、「工学的に追いかけることはできるのだろうか?」と改めて考えさせられました。

なかなか難しいな~と思ったわけです。おそらく、強引に定量化することはできるけど、それに意味や価値はあるのか?メンバーとも色々とディスカッションする中でも明確な答えは出ませんでした。

そんなことを悶々と考えたときに、そういえば、前にも同じようなことを思ったことがあったなぁ~とNoteを見返してみると、、、ありました!!

上記の記事を書いたときには、「無理にシンプル化しなくても良いんじゃないか?」という趣旨で書いているので、ちょっと文脈は違うかもしれません。要は、スパッとキレイに、かつ、スピーディーに解まで辿り着く必要はない問題もあるということだと思います。

そんなことを巷では、「ネガティブケイパビリティ」とも言うそうです。

「事実や理由を拙速に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」とも定義されるこの言葉は、100年以上も前にイギリスの詩人ジョン・キーツが提唱した表現した言葉のようです。消極的能力,否定的能力とか訳されたりもするので、私自身は最初にこの言葉を聞いたときには、クリティカルシンキングみたいなものかと思ったのですが、全く違いました。ざっくり言えば、帚木蓬生さんの書籍の副題になっているように、『答えの出ない事態に耐える力』と言えそうです。

やはり「答え」を出したくなるし、「理解」したくなる。これは性なような気もしますし、仕事をする上では、答えを出すこと、決めることが役目みたいなところもあります。

そのために、「一言で言うと」みたいにシンプル化したいし、数値化みたいな形で皆が共通的に理解しやすい方向に持って行きたい。もしくは、複雑で多次元的な現象であっても、代表的な2軸で評価をして、次元を落として、視覚的にもわかりやすい表現をしたりもします。

これはこれで間違っているというわけではなく、世の中の原理原則は意外とシンプルということもあるでしょう。

ただし、問題としてはシンプルであったとしても、その答えはシンプルとは限らない。もしくは、一言で表現できるようなところには大した問題も発見もなく、ビジネス的には強く差別化できる要素にはならないことも多くある気がします。

直ぐさま、問題を解きに掛らず、その問題に寄り添い、共感し、しばらくじっと考える。もしくは、問題と対話をしながら考える。答えを出さないというのは、スピード感を求められる時代になかなか難しいことですが、そんなネガティブケイパビリティが必要なことが増えている気もします。悟りの境地まで辿り着かないといけないかもですね。

一休さんの名台詞。

あわてないあわてない。一休み一休み。

と思えるのは、なかなかのネガディブケイパビリティかもしれません。

一方で、このネガティブケイパビリティは人材育成とかコミニュケーションの文脈でも有効ではないかと思っています。

すぐに答えに行かず、対話して、共感して、悩む。そして、また考え、対話する。

ドミニクさんや平田オリザさんの書籍にもあるように、相手と分かり合えない、伝わらない、ギャップがあることを前提にしたときに、ネガティブケイパビリティというのは、どこまで分かり合えるか、共感できるか、というコミニュケーション能力の一部とも言えるような気がするのです。


あまりネガティブケイパビリティを乱発しすぎると、ただの決めない人、先延ばしにする人になってしまうのですが。笑 要所要所で立ち止まってみること、十二分に本気で迷ってみること、決まっていない不安に耐えること、というのは意図的に織り交ぜていくことも大事なのかもしれません。


では、また来週〜
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安藤健(@takecando)

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