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農水省のロボット推進のパワーというか想いがスゴイ!と思ったという話。

今回は農水省のロボット関係のプロジェクトを改めて見てみたいと思います。正直、取組み数、情報開示のレベルともかなり凄いなと思いました。

例えば、『スマート農業実証プロジェクトによる実証成果(中間報告)』【リンクという資料。ロボットなど導入し、スマート農業にトライしたときの、収入や支出の状況が、割りと生々しい数字も公開されています。

さすがに多くの事例では単年度で黒字化するスマート農業というのも難しいという結果のようですが、下記のピーマンの事例のように、単年で機器代も回収して、利益を上乗せしている取組みもあるようです。スゴイっ!!!

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そんな注目のスマート農業ですが、最近、『野菜をロボットが収穫しました!!』というニュースをよく見るようになりました。そして、収穫そのもの以外も毎日のように話題になっています。

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このnoteでも『農業×ロボット』ということで、アスパラ収穫ロボット搾乳ロボットの紹介、そして、国の農業ロボット政策について紹介もしてきました。

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ただ、最後のnote記事で紹介した農水省の取組みに関しては、恥ずかしながら、自社でやっているトマト収穫ロボット以外はあまり気にしたことがありませんでした。。。


というわけで、農水省のプロジェクトをちゃんと見てみたいと思います。特に、スマート農業実証プロジェクトという令和元年から毎年行われているプロジェクト。


「スマート農業実証プロジェクト」は、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用した「スマート農業」を実証し、スマート農業の社会実装を加速させていくという農水省の事業。実際に生産現場に導入し、技術実証を行うとともに、技術の導入による経営への効果を明らかにすることを目的としている、ということで、冒頭に上げた生々しい数字というのも、このような背景があるからでしょう。

これまでに全国179地区(令和元年度69地区、令和2年度55地区、令和2年度補正24地区、令和3年度31地区)において実証を行っています。農業だけで約180件という数!!かなり多いですね。。。そして、素晴らしいのは全ての事例で、効果も含めてしっかり公開されています。

おそらく特に何かを掴む系のロボットはまだまだ性能も安定していないでしょうし、効果ももっともっとというところがあるような技術の成熟度かもしれませんが、それも含めて公開していこうというのはとても良いことかと思います。

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ということで、流石に179事例をここには纏めきれませんでした。ゴメンナサイ!!、興味ある方はホームページから辿ってください。

179件の内訳を作目別、年度別に図にしてみると、以下のような感じです。

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ざっくり言うと、件数が一番多いのは水田作ということで、米作りです。さすが日本!!ただし、初年度の令和元年にかなり偏っていて、徐々に減って行っている感じです。一方、コンスタントに多いのは、露地栽培で、トータル件数も2番目に多い。それに続くのが、果樹や施設園芸という内容になっています。

ロボット系では、やはりトラクターの自動運転やドローンを使ったものが目立ちます。下町ロケットの世界ですね。

水田作や路地野菜の数が多いのは、トラクターやドローンと搬送ロボット、センシング、そして生育管理、出荷予測などのシステムが上手く組み合わさっているためかと思います。

施設園芸では、いわゆるロボットアームを使った収穫、選果などが事例としては見受けられました。対象となっているのは、トマト(ミニ含む)が一番多い印象ですが、きゅうり、イチゴ、ピーマン、アスパラアス、ホウレンソウなど多様です。さらには、露地野菜と同様かそれ以上に生育管理システムなどとの連動が強くなっている気もしました。これは、施設ということで、環境の制御も事業者側がかなり自由に変更できるということが影響しているのかも知れません。

果樹におけるロボット活用の中で目立ったのは、草刈りロボットや運搬ロボットなどの移動ロボットです。これは足下環境が悪い、場合によっては斜面ということも起因しているかも知れません。運搬や農薬散布をドローンで行うタイプをそれなりにあった気がします。一方で、ロボットアームを使ったモノは少なく、ゆずの収穫?とナシの収穫を目指したものくらいしか見つけられませんでした。悪路でピンポイントで果実を収穫するのは、まだまだ技術的にも難易度が高いのかも知れません。

全体をばーっと見て感じたのは、もちろん多様な取組みを進めているなという印象ととともに、着実に年度毎に進化して行っているなぁということです。

初年度から、生育管理システムなどとのシステム連動が行われていたのですが、それがドンドン広がっていくというか、天気予測システムとの連動出荷量予測まで広がり、さらには冷蔵システム、輸送システムなどのコールドチェーン・サプライチェーン、直近では移動型販売システムなどと農業・食全体に広がっていきそうな雰囲気を醸し出しています。

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もちろん、冒頭の事例のようにコストなどに課題はあるかもしれませんし、途中で書いたように実証事例があるから技術として完成しているレベルからはギャップがあるものも沢山あると思います。ただし、全ての実証結果がかなりのレベルでオープンになっていて、日本全体として農業を何とかしようとする推進力というか、強い想いを感じました。

というわけで、

纏め記事としては、非常にザックリした纏めですが、纏めにくいほどの取組み量、そして、情報量を公開する心意気に感服いたしました。

【参考図書】


では、また来週~~

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安藤健(@takecando)

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