アメリカの自動運転事故のレポートをざっと見てみる。
アメリカのNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration、運輸省道路交通安全局)が自動運転の事故に関する最新のレポート”Standing General Order on Crash Reporting”を公開しました。
アメリカでは、2021年6月に自動運転と運転支援システムが事故ったときに必ずNHTSAに報告が行くようになり、今回の分析が公開されるようになったようです。
なお、いわゆるレベル3以上を自動運転と呼び、あくまでも運転手主体のレベル2を運転支援と定義しているようです。技術的なこと、ビジネス的なことも色々と書籍はできているので、興味ある方はそちらも参照ください。
というわけで、「自動運転」と「運転支援システム」のそれぞれの事故レポートをざっと見てみましょう!
自動運転
21年7月から22年3月15日の期間における事故は、「130件」だそうです。これを多いと見るか、少ないと見るかは、個人の価値観なような気もするので、そこは議論から外します。のべ走行距離がわかれば、普通の車の事故率との比較はできますが、走行距離はよくわかりませんでした。
州別で見ると、90/130がカルフォルニアということで、いかにこの地域が先端的な取り組みで先行しているのかがわかります。
メーカー別で見ると、Waymoが62件でトップ、Transdev Alternative Services34件、Cruise23件が続いていています。Waymoはこの市場を引っ張ってきた立場であるので、走行実績含めて1番なのではないかと推測します。Transdevはあまり知らなかったのですが、フランスの会社ですね。
衝突相手はクルマ関係が108件と圧倒的に多く、11件が交通弱者(自転車7件、二輪車2件、非自動車2件)。108件は負傷者なしと、ダメージも軽度のものが大半ですが、1件重度の被害が起きているようです。
衝突部位は、後方関係が多いのが、技術的にはちょっと気になりますが、理由は良く分りませんでした。
運転支援システム
こちらは件数としては、『367件』です。自動運転が130件だったので、3倍弱という感じですね。州としては、やはりカルフォルニア!!テキサス、フロリダ、ニューヨークも結構多いんですね。
メーカーでいうと、テスラが圧倒的です。まぁ、ソフトの性能について色々と言われることもありますが、出荷されている台数としても圧倒的かと思いますので、件数が増えるのは妥当です。その次が、ホンダ、スバルとなっており、日本勢が出てくるのは意外でした。
事故の深刻度という点では、3/4くらいが不明となっているのは気になりますが、明らかになっている中でも重篤な事例が5件、死亡が6件と自動運転の時よりも深刻な事故が多い印象です。
接触対象自体は、大半が車両になっていますが、自動車1件、歩行者3件、動物10件となっています。
接触部位は、前方が支配的で、ここも自動運転が後方が主だったのと大きく異なります。前方で接触しているというのも被害が大きくなっている理由の1つかもしれません。
詳細データ
いずれもサマリーデータを紹介しましたが、詳細データもCSVで公開されています。こんなに事故を起こしやがって!!と怒る方もいるかもしれませんが、このようなデータが公開されること自体が非常に重要かと思います。データ自体の精度とか、フォーマットに関しては、まだまだ課題があるとNHTSA自体も言及しているので、そのあたりはどんどん改善していくものと思われます。
自動運転の詳細データへのリンク:こちら
運転支援システムの詳細データへのリンク:こちら
過去の事故などは、以下などで纏められていました。もちろん、どんな技術も完璧では無いので、日進月歩とは思いますが、事故(特に重篤なもの)は決して起こしても良いというものではないです。一方で、現状のクルマとのリスクの比較も行いながら、そして、必要な安全技術が適切に開発・搭載されながら、社会としてどのように実装していくかというのを考えていかないといけないですね。
では、また来週〜。
「フォロー」や「ハートマーク(スキ)」を押して頂けると喜びます。笑
安藤健(@takecando)
==================
頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。