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ロボット開発者が京都市美術館で現代アートに出会い、『で??』と思った話。

「考えるな、感じろ!!」

そんなことを昔、言われた気もする。もしかすると、アートというのはそういうものかもしれない。

でも、そんなこと言われたって考えちゃうんですよね。

『アートとは何なのか??』

初めての美術館展示

きっかけは京都市美術館。リーダーを務めるAug Labでコネルさんと作ったゆらぎかべTOUを展示させて頂ける機会を貰えた。

12/6まで展示中なので、もし宜しければ是非!(宣伝ですっ!

バリバリの理系というか芸術とか美術とかにはほぼノータッチの人生でしたが、まさか自分が携わったモノが美術館に展示されることになるとは夢にも思ってませんでした。

新しくなった京都市京セラ美術館は明らかに美しい。展示準備が終わって帰る時に見た景色はなんとも幻想的かつ表現しがたいパワーを感じました。

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そして、展示準備、内覧会を含めて何度も他のアーティストの方の展示物を見る機会がありました。今回の展示会"KYOTO STEAM"は

アーティストと企業・研究機関のコラボレーション作品と、芸術系大学等と企業・研究機関のコラボレーション作品を再構成し、さらにKYOTO STEAM-世界文化交流祭-と同じく、アートとサイエンス・テクノロジーの融合を通じて新たな価値の創造を目指している企業の作品を展覧します。
アーティストと企業・研究機関のコラボレーションによって切り拓かれる、アート×サイエンス・テクノロジーの可能性をどうぞご覧ください。

ということで、テクノロジーも活用した現代アート的な展示が沢山。

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インタラクティブなものも多く、楽しい。個人的には市原えつこさんの「サイバー神輿」、「ナマハゲ」の展示はなんか面白いというか楽しいし、技術的には”Substitutional Reality System”という過去と現在とかが融合されるものに可能性を感じた。

ただし、誤解を恐れず言うと、展示エリアにあった殆どの作品を見た後に

『で???』

という気持ちになった。

恐らく逆に今回我々が展示した『ゆらぎかべ』を見た人も、「で?」「だから?」「何がしたいの?」と思ったのではないだろうか。

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なぜ、「で???」と思ったのか?

なぜ私は「で??」と思ったのか。展示が始まってしばらくモヤモヤが消えなかったので、少し考えてみた。すると、答えはシンプルで、

「で??何が言いたいのか?」

「で??何の役に立つのか?」

という2点に尽きるんだと思う。

前者は解釈力であり、これは個人の考えや感性、更には妄想力に依存してしまうのかもしれない。展示物やその近くにある説明文だけで理解できるものもあるし、そこから自分で勝手に感じ取り、妄想し、解釈するものでもある。そして、この妄想力を掻き立てる余白こそアートの魅力な気もする。

後者は実用性の観点である。このモノは何の役に立つのか?誰かの役に立つのか?ソリューションとしてベストの方法なのか?。ここでかなり「ハッ」とした。無意識かつ反射的に「で?何の役に立つのか?」と考えてしまっている、というか「直接的に何かの役立つことが必要だ」という思考回路が頭の中にこびり付いてしまっている。企業人としては良い思考経路なのかもしれないけど、ある意味物事をありのままに受け入れず、役に立つ、立たないの視点でジャッジが入っているというのが、今の自分なんだなぁ~と改めて認識した。

では、アートとは何なのか??

とりあえず、私にはアートというものが何なのか?というベーシックなものがない。文字通り、リベラル”アーツ”がない。というわけで、少し検索したり、勉強。すると、アート(Art)の語源はラテン語の「ars」であること。(やっと、アルス・エレクトロニカという展示会の名前の意味が分かった。笑) arsは技術や資格、才能といった意味を持ち、「技術」や「技」という意味合いで使用され、学問・学識など人間の手で施されるあらゆる術を表す言葉として意味合いが広がっていったこと、その後の「科学」の発展により、科学の力を駆使した技術を「technology」と表すようになり「art」とは区別されるようになったこと、などが分かった(論文などで、”state of the art”と表現する意味もやっと理解)。

そして、さらに2冊の本を読み始めました。初心者向けっぽいのと、ちょっとビジネスパーソン向けっぽいやつ。

すると、いずれもかなり最初の方にこう書いてありました。

「すべては問いから始まる」

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引用: アート思考――ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法

「新たな問いを生み出す」

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引用: 「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

そうか、アートの本質は『問う』ということなのか。個人的には、かなりスッキリ。エンジニアリングやデザインの目的は、解決すること。そこが身体に刷り込まれているから、アートを見たときに不思議な感じを受けたということだったんだなと。

今回の展示を一緒にさせて貰った出村さん(Konel Inc. プロデューサー / ファウンダー)や本田さん(マインドクリエイターズ・ジャパン株式会社 代表取締役/Ziba Design)との話の中でも、そんな会話が出ていました。

どうやらクリエイティブ業界では当たり前の話かもしれませんが、エンジニアリング業界に属する私から見ると、アートは『問い』自体を問うデザインは『問い』を解決する、という話は非常に新鮮でした。

そう考えると、あまり接点のなかったアートという世界、これからの時代、社会においてもっと重要性が高くなっていくような気がします。

『で??』と見た人に思わせることができる作品は、もしかしたら良い作品なのかもしれません。余白があり、見ている側に感じさせ、考えさせてることができる作品。それこそがアートなのかもとも思いました。

もちろん、ピュアに作品を見て、美しい、スゴい、楽しいと感じるありのままの感受性も高めたいと思いますが、同時にその裏にある『問い』の内容も感じていければ良いですね。

では、また来週~。

追記(2020.11.22)
ミラツク西村さんがKYOTO STEAMの展示内容を非常に丁寧に解説されています。もし宜しければご覧ください。

安藤健@takecando

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