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ロボットフレンドリーはヒューマンフレンドリーか!?

10月5日に「一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構(Robot Friendly Asset Promotion Association:RFA)」が設立されました。

ロボットフレンドリーというのは、先日の国のロボット政策を纏めたときにも紹介したように、簡単に言えば、『ロボット活用の促進に向けて、ロボットそのものの性能を高めていくだけではなく、ロボットが性能を発揮しやすいように環境の整備も進めていきましょう!!』というものです。

施設関係という意味では、今年度は、ロボットとエレベータ・扉との連携標準化、施設の物理環境の標準化、複数ロボットの群管理制御の標準化などの取り組みが進められています。

ここからは経産省はRFAとは全く関係の無い個人の意見です

では、このロボットフレンドリーな環境というのは、ロボットだけにフレンドリーなのでしょうか。

結論としては、
『結構多くの場合は、ヒューマンフレンドリーでもある』
と思っています。

そもそもなぜロボットフレンドリーな環境を整備するかと言えば、現状のロボットの実力としては、どんな環境でもバシバシと理想通りに動くというのはほど遠く、できるだけ統一した環境で同じような動作をさせるようにしたいという思いがあるからです。多くの人にとっては楽にこなせそうなタスクも、ちゃんと出来ないというのが現状の実力値でしょう。

「多くの人」という表現を使ったのは、現状の環境などで苦労していない人がいないかというとそういうわけではないからです。足の上がりにくくなった高齢者にとっては少しの段差にも躓いたりしますし、ピンハイヒールを履いた人が点字ブロックで捻挫するという話も聞いたことがあります。特に、障害者、高齢者は健常者が気にしていないような環境で苦労しています。

そこで、バリアフリーというのを調べて見ると

例えば、スロープ、段差解消、幅広い改札・通路、自動ドアなどと色々と出てきます。
移動ロボットにも嬉しい言葉が並んでいます!

というわけで、実はバリアフリーという環境にすることができれば、ロボットフレンドリーな環境というのにも近づくのではないかと思いますし、もっと広い定義の言葉でいうと、ユニバーサルデザインというのが実現できれば、それは実はかなりロボットフレンドリーであると言えるのではないのでしょうか。(そもそも本当の意味でのユニバーサルデザインを実現することが難しいという問題もありますが・・・)

もちろん、移動ロボットだけではないでしょう。
高齢者のように持つ力が弱くなった方、そして麻痺の人や義手の人など細かい手作業がしにくくなった方でも、掴みやすく、ハンドリングしやすいモノができれば、それはきっとロボットにも掴みやすく、扱いやすいモノになるようなきもします。

視力や聴力が低下した方でも見やすかったり、聞き取りやすかったりする、大きく、ハッキリとした文字や音声も、当然ロボットにとっても認識しやすいはずです。(ロボットの場合には、視覚情報は文字よりもQRコードの方が良いとか言われるかも知れません)

ロボットフレンドリーな環境というのは、ある意味ではインフラ的な存在です。それなりの投資も必要になるかも知れないインフラもあるかもしれません。それをロボットだけでシェアしたら、非常に割高になってしまいます。人にとってもロボットにとっても嬉しい、そんなロボットフレンドリーな環境がたくさん生まれたらなぁと素直に思います。

もちろん、単純にロボットだけに効果があるロボットフレンドリーに意味がないとは思っていませんし、それでも効果がでるようにしっかり推進していく必要もあります。そのためには、QRコードを張ったり、規格を作成したりと、逆に人側がこれまでの作業に一手間かける必要がでてくるかもしれません。このコストや変化をメーカーだけなく、ユーザや社会としても受け入れていくことが重要になります。

バリアフリーの話を調べていたときに、こんなことが書いてありました。

「バリアーフリーというのは、物理的な障壁だけでなく、社会的、制度的、心理的などの広い意味での障壁を取り除くこと」

ロボットフレンドリーというのは、たぶん同じなんだと思います。

「ロボットフレンドリーというのは、物理的にロボットにフレンドリーなだけでなく、社会的、制度的、心理的などの広い意味でのロボットにフレンドリーであること」

労働力不足をなんとかするためにロボットを活用しようという流れは間違いなく強くなっていくと思います。それを受入れられる社会、制度、心理も醸成できるような進め方を考える必要があるということを改めて思った、今回のコラムでした。

では、また来週〜。

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安藤健(@takecando)

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