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デザイナーに学ぶ「〇〇スニーカー」誕生の背景 アシックスに直接聞いてきた|後編

こんにちは。TAKE・スカイウォーカーです。

本日は前回に引き続き、兵庫県神戸市にある株式会社アシックスの神戸本社にお邪魔して、どういうわけかアシックスのスニーカーデザイナーの方々にお話を伺いに行っています↓

前編では「そもそもデザインってどういうこと?」、「GEL-QUANTUM(ゲル・クォンタム)の制作秘話(原画が本当にテンション上がる)」など貴重なお話を聞いたわけですが、後編はさらに首を突っ込んだ話を聞いていきたいと思います。

|インラインとコラボモデルの役割の違い

TAKE「後編ではもっとユーザー視点でズバスバと聞いていきたいと思っております(笑)よろしくお願いいたします!(荒い鼻息」

今回は円卓で座っていただく

上田氏「わかりました(笑) なるべく答えられるようにがんばります!」

TAKE「アシックスではこれまで様々なブランドやショップ、またデザイナーなどとコラボレーションという形でスニーカーを世に送り出してきましたよね。僕含め、スニーカーファンの多くはそうしたコラボレーションモデルが大好物なわけです。」

上田氏「ありがとうございます。」

TAKE「ありがとうございます。(?)」

TAKE「そうしたコラボレーションモデルとインラインモデル(ここでは”広く流通しているモデルの意”)、それぞれの役割って言うんでしょうか、皆さんから見て『違い』ってなんなんだろうなって思うんですよね。」

河野氏「そうですね、”ブランド視点”か”マーケット視点”の違いというものがあると考えています。アシックスがこれまで行ってきたイノベーションだったり、ヒストリーだったり、我々として今、何を届けたいかという視点に比重が置かれているのがインラインということですね。」

TAKE「なるほど。GEL-LYTEⅢ(ゲル-ライト スリー) 30周年!などのアニバーサリーなんかも”ブランド視点”ということになりますかね。」

河野氏「おっしゃる通りです。一方、コラボレーションは”マーケット視点”に比重が置かれているケースが多いですね。」

TAKE「マーケット視点というのが具体的にどういうことですか?(ここ聞きたい!

笑顔でガッツリ答えてくれる河野氏

河野氏「言い方を変えるとコラボレーションパートナーの表現したい意向をアシックスというレンズを通して、実現させるイメージです。それはスニーカーのデザインだけではなく、パートナーがこのコラボレーションでのブランディングや市場へのインパクトなども企画として重要視する項目になるということですね。」

TAKE「へぇー!そういう違いがあるんですね!!!」

河野氏「例えば、パートナーAというショップとアシックスがコラボレーションやります、となったとします。アシックスから『今、アシックスとしてはGEL-LYTEシリーズを推しています。』と伝えて、その中でパートナーAから『それでは、ウチとしてはGEL-LYTE V(ゲル-ライト ファイブ)で行きます。』などのキャッチボールがあるわけです。これ、めっちゃ簡単に説明しちゃってますケド(笑)。」

TAKE「大きな流れのイメージとして話してくださったんだと思います。ありがとうございます。」

比重が置かれているポイントに違いがあるんだなぁ

河野氏「コラボレーションとなると本当にケース by ケースになることもありますからね。あくまでベーシックな流れとしてご理解いただければ。Kiko氏(※1)なんて、こっちのデザイナーが一目ではわからない過去のアーカイブ画像もってきて、『これでやれないか!?』って提案されたりしますからね(笑) 」

※1:Kiko Kostadinov(キコ・コスタディノフ) ロンドンを拠点とするファンションデザイナー。これまでアシックスと複数のコラボレーションを展開。現在はキュレーターとして定期的に彼が監修したスニーカーがアシックスから世に送り出されている。

https://corp.asics.com/jp/press/article/2020-10-02

TAKE「そういうこともあるんですね(笑)!!!」

河野氏「いやぁ刺激的です(笑)」

|最近注目されている"再構築モデル"

TAKE「Kiko氏の話が出てきましたが、Kiko氏が監修したスニーカーの一部は、過去のアシックスのアーカイブモデルを組み合わせたモデルですよね。」

上田氏「そうですね。彼も先ほどのアーカイブ室に一日中こもって研究した日もあるくらいです。」

TAKE「Kiko氏もあのアーカイブ室を訪れたんですね。スゲェ・・・あ、でもそうい意味ではインラインでも”再構築”といった形でスニーカーが出ていますよね。」

このあと語られる歴史の当事者 上田氏

上田氏「実はアシックスのスポーツスタイルでこういう”再構築”と呼ばれるモデルの動きは本当にごく最近できあがったものなんです。元々、僕がパフォーマンスのチームにいて、河野はスポーツスタイルにいたんですね。当時は分かれて仕事に取り組んでいたんですけど、あるとき同じチームになったんです。」

TAKE「あ、化学反応が起こる予感・・・!」

河野氏「そうです(笑)。上田さんと『パフォーマンスのアウトソールにスポーツスタイルのアッパーのせてスニーカー作るのよさそうだよね』と、話してたりしてたんですよね。」

上田氏「そして、Kiko氏がアシックスとのコラボレーションで『GEL-BURZ』というものを生み出したんですね。あれはまさに過去のアーカイブを融合して新しいライフスタイル向けのスニーカーに昇華して、市場へのインパクトも大きかったんです。そこから社内でもこの動きが加速したという背景がありますね。」

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2018年発売 GEL BURZ1(ゲル・バース)

河野氏「そう、それで当時、僕らと上田さんのチームが一緒になって出した、再構築モデルが『GEL-KAYANO5 360』だったんですよね。」

2019年発売 GEL-KAYANO5 360

TAKE「すごい話だ。スニーカーファンからしたら『その時、歴史が動いた』ってやつですよ。でも、元々チームが分かれていて、違う視点でモノづくりをしていたわけですよね。”そんな合体させるなよー!”って言う声って社内から上がってこなかったんですか?」

上田氏「合体させるな!って声はさすがにありませんでしたけど、”パフォーマンスとスポーツスタイルを分けてるのになぁ”って考える人はいたかもしれませんね。分かれているのが当たり前だったので。でも、『GEL-KAYANO5 360』が出て、それがブレイクスルーになって後発ではそのモデルを基にコラボレーションモデルが発売されていったりと。」

河野氏「そのタイミングくらいからGEL-QUANTUMがスポーツスタイルのカテゴリーに加わっていったという感じですね。」

|期待を裏切っていきたい

TAKE「これまでの再構築モデルだと、先述の『GEL-KATANO3 360』のように、別々のデザインソースのアッパーとソールの組み合わせが主流でしたが、最近発売されたこの『GEL-LYTEⅢ RE』で流れが変わった印象です。」

GEL-LYTE III RE (RE-CONSTRUCTION)

河野氏「アッパーとソールで化学反応を起こす方法は、複数展開していくと、”次はどんなアッパー、ソールを使うんだろう”と期待されるんですね。しかし、再構築って上下の組み合わせをすることだけを意味することじゃないと思うんですね。もっと可能性があるよねと。」

TAKE「再構築の役割、ということでしょうか?」

河野氏「そうです。再構築モデルは異なるアーカイブを組み合わせることで、アシックスがこれまで世に送りだしたテクノロジーやカルチャー部分を”新しい体験”として皆さんに楽しんでいただきたいんです。なので、上下の組み合わせだけで語っていくのはもったいないと思っています。」

TAKE「納得です。お話を伺うと今後の展開も楽しみですね。どんな組み合わせになるのか、またその方法になるか。さらに生み出されたプロダクトがどんな体験を届けてくれるのか!」

河野氏いい意味で期待を裏切りたいですね。『えー!そうきたかー!』みたいな(笑)

上田氏「たしかに。ユーザーの皆さんの期待に応えつつも、いい意味で裏切って、楽しんでいただきたいっていう気持ちはみんなあるでしょうね。復刻モデルのチョイスにしてもそういうの現れているよね。」

TAKE「あー!心当たりありますよ!今、上田さんが持っている『GEL-KAYANO14』が復刻した時、いい意味で裏切られてワクワクした経験がありまーす!ファーストのモデルと『5』が復刻しているので、『10』とか、『15』の復刻が来るかなぁと予想していた人多かったですよ(笑)」

河野氏「はははは!(笑)」

もうお気づきだと思うが上田氏は洗礼された雰囲気がカッコイイ

上田氏「ははは!(笑)もちろん、期待を裏切りたいから『14』をチョイスしたというわけではないですが、『14』の復刻への注目にはつながったと思いますね。」

TAKE「はい、履き心地含め私も『GEL-KAYANO14』、大好きです。もう次の『裏切りの復刻』がスタンバイしてたりして(笑)。」

河野さん「・・・・TAKEさん。実は次、ありますよ(笑)

TAKE「マジすか!?!?じゃ申し訳ないすけど、この場でズバリ当てさせていただきます。・・・・・『GEL-KAYANO7』でしょう!! 根拠ならあります。」

上田氏・河野氏「お聞きまします。」

TAKE「ありがとうございます。私はアシックスのドメインページをパトロールするのが日課になってるわけですが、実はヒントは「アシックスの歴史」のページあるんですよ。」

一同「(・・・日課!?)」

2001年発売 GEL-KAYANO7

TAKE「そこで2001年の項目で『GEL-KAYANO7(ゲルーカヤノ7)がフューチャーされています。まさにこのGEL-KAYANO7の復刻がスタンバイしているんじゃないですか???すいません、当てちゃいますケド(ドヤぁ)」
 
上田氏・河野氏
「・
・・・
・・・・・
・・・・・・・・
GEL-NIMBUS 9 (ゲル-ニンバス9)です。

2022年 復刻予定 GEL-NIMBUS9!! 
まずはOGの青白がスタンバイしてるらしいゾ!

TAKE「ブッ‼ 見事な裏切りw(褒めてる)。まさかのNIMBUSがスポーツスタイル登場か!これは裏切られました(笑)」

河野氏「いい裏切りができましたかね!GEL-NIMBUSは初めてスポーツスタイルで復刻されます。今年はこれだけでは終わりませんよ!楽しみにしててください。」

TAKE「はい!今から楽しみです!(財布は悲鳴上げそう)」

|変わらぬこだわりを持ちながら

TAKE「すみません、お聞きしているすべてのお話を記事にしてと届けたいのですが、文字数の限界も見えてきてしまいました(泣)。今後ファンやユーザーはどのようなアシックスを期待して待っていればいいでしょうか!?」

河野氏「僕はチームのみんなに『自分がイイと思ったSNSの投稿や広告、対象は何でもいいんですけど、”イイと思った理由、根本”を考えるようにしようって言ってるんですね。そこには必ず何かヒントがあるし、学びがあるはずなんです。そうした日常からもアンテナを張っている仲間たちでスニーカーのデザインに取り組んでいます。そこから生まれる化学反応で仕上がったデザインで皆さんを刺激していきたいですね。』

竹井氏「お客様の心と体によりアクティブなライフスタイルを提供できるような、スニーカーを目指したものづくりを続けていきます。アシックスにはこれまでパフォーマンスで培った確かな精神とテクノロジーがあります。これからのプロダクトにも注目してほしいです!」

上田氏「スニーカー視点で言うとアシックスは『変わったこと・変わらないこと』があります。先ほども話に上がりましたが、パフォーマンスシューズとライフスタイルのスニーカーには明確な垣根がありました。しかし、パフォーマンスプロダクトもライフスタイルをよりアクティブにする要素としての理解が進み、存在した垣根が変化しました。そうした両面からのアプローチにおいて、アシックスというレンズを通しての”こだわり”や”本物感”へのストイックなアプローチは今後も変わりません!

アシックス デザイナーの皆様に感謝!

今回、お話を伺ったデザインチームのみなさんはそれぞれキャラクターも趣味嗜好も全く異なる”多様性”に富んだチームです、と上田さんがおっしゃっていました。

また、お三方以外にも国内、グローバルで活躍するメンバーもそれぞれのバックグラウンドや強みを生かしてモノづくりに取り組んでいるということがプロダクトにも表れているなぁと再認識する機会となりました。

みなさん、本当にありがとうございました!!!!!!!!

|編集後記

いかがでしたか。
アシックス好きとして驚きと感動でとても気持ちが忙しい取材になっていました。

お三方にお話しいただいた貴重な話を記事にするにあたり、どのようにして皆さんにお届けするかだいぶ悩みました。

だって、本当は全部書きたいんだもん(笑)

でも、ヒトが読める文字量には限界があるし、楽しみながら読んでほしいのでなくなくカットした話もあります。
機会があればこぼれ話として発信できたらいいな。
→こぼれ話をする&感想を聞きたいので今夜26日21時頃からインスタライブします

皆さんの読後感と一緒で、当日の帰りは完全燃焼状態。
駅弁をブチこんで爆睡していたらいつの間にか東京駅についていました。

神戸牛の駅弁を買ったつもりが、「神戸の牛」の駅弁を買っていたようです。

神戸""すきやきとステーキ弁当
普通にめっちゃうまいけどな!

おあとがよろしいようで。


ここまで読んでいただいてありがとうございます!
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