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JC論:Active Citizen Frameworkの実践②

実践①では流れについて説明しましたが、続いて分析段階について説明します。

分析するということ

何を分析するのか、それは社会的ニーズ(必要性の高いこと)が何かを分析するということです。社会的ニーズがないことをいくらやっても、それは自己満足にすぎません。社会的ニーズもないのに、お祭りやって楽しかった、花火打ち上げて楽しかったというのは単なる自己満足にすぎません。ただし、社会的ニーズというのは常に顕在化(見えている)されているとは限りません。「多くの人は気づいていないけれど、実はそうなってほしかった」そんな潜在的(隠れている)なニーズを見つけ出すことも重要です。

JCには良くひとづくりとまちづくりがあるといわれますが、社会的ニーズを考える上ではひとづくりもまちづくりも関係ありません。どちらも結局は社会的な問題や課題を解決するための手法の違いにすぎません。

議案上では、分析部分が「背景」に記載されることになります。議案では「背景」に問題があると泥沼にはまります。背景こそが、事業実施の理由となるものですから、そこが崩れると「事業計画がゼロベース」になってしまうからです。しっかり分析をしましょう。

分析のための問いかけ

金沢JC用 インパクト

分析のためにすべき問いかけは4つです。

地域にはどんな人がいますか?
地域にどんな人が住んでいるのかということはニーズをつかむうえで重要です。地域の数人にしかないニーズをとらえても、多くの人の賛同を得ることは難しいでしょう。その地域にどんな人がどんな比率でいるのか、ということをまず考える必要があります。もちろん、いわゆる人間だけでなく、法人もこの対象です。地域の企業や各種の団体もニーズの対象となるでしょう。

地域にはどんな問題がありますか?
地域のニーズのほとんどは、地域における問題に存在しています。では、地域における問題はなんでしょうか?報道を調べたり、地域の問題をつかんでいる人に聞いたり、地域の人にアンケート調査をしたりすることで問題を発見することができます。もちろん地域の人が感じている問題だけではなく、「こうあるべき」というところとの乖離から問題を見つけるのも一つの方法です。例えば、IT利用が進むべきだが進んでいない、というのも問題となります。

SDGsから探すのもよいでしょう。SDGsはいわば未来予測です。世界中の人がこの目標に向かって取り組んでいるわけですから、いずれ様々な地域でSDGsは達成されます。その時、あなたの地域でSDGsが達成されていないとしたら、おそらくあなたの地域は全く時代遅れになっているでしょう。そして、たいていあなたの地域の問題はSDGsに含まれているはずです。17個のゴールだけでなく、169のターゲットもよく見てください。きっと見つかるはずです。

誰が最も問題に直面していますか?
地域の多くの人や法人が抱えている問題を見つけたとして、その問題の感じ方は様々です。地域にいる人や法人で誰が最も強くその問題に直面しているでしょうか?問題を感じていればいるほど、力強いパートナーになるはずです。彼らは問題をよく理解しているはずです、もしかしたら一度何かをやって失敗経験があるかもしれません、そんな人と話さない手はありません。分析段階からパートナーと行動するという意味はここにあります。

その問題の真の原因は何か?
いよいよ分析の核心部分です。通常問題というものは複合的な要因で起こっており、表面的な対応で問題は解決しません。例えば、「万引きが多い」という問題があった場合、「万引きはやめましょう」という張り紙をしてもほとんど問題解決にはなりません。万引きが起こる原因があるはずです。万引きが起こる原因を突き止め、その原因に挑むことが必要です。

真の原因の突き止め方

ではどのように真の原因を突き止めたらいいのでしょうか?

まずは調べる
現代は、インターネットで調べれば大抵のことはわかります。「○○ 原因」などと検索するだけで、手掛かりはつかめるでしょう。ただし、しょせんインターネットに書いてあることは、玉石混交であり真実かどうかはわかりません。

次に聞く
次にやるべきことは、その問題に詳しい識者に聞くということです。まずはその問題に最も直面しているパートナーとなりうる人に聞くのが早いでしょう。また、大学などの先生や、行政の担当者といった、普段その問題を考えている人がいるならば、その人に聞くのもよいでしょう。ただし、普段その問題に直面していたり、その問題のことばかり考えている人は、ともすると目の前の問題のことしか見えていないことがあります。また、直接その問題のことを知らないが、同じテーマの問題を扱っている人に聞くときも注意が必要です。条件が違えば問題の原因も変わってくるからです。

そして考える
ここまでやれば、かなり情報は集まってきたのではないでしょうか。しかし、たくさん原因がありすぎて、何をやればいいかがわからなくなってはいませんか?または、理由もなく一個の原因に飛びついてはいませんか?インパクトのある事業を作るためには、数ある問題の原因の中から、ここを押せば問題全体が解決に向かうという原因を見つけなければなりません。

そのためには、メンバーを集めて議論しましょう。3人寄れば文殊の知恵です。まずは集めた原因を分析してみましょう。おすすめは故障木解析と呼ばれるものです。一つの問題に対し、どのような原因があるのかをまず列挙し、その原因について更なる原因を考えていくものです。

金沢JC用 インパクト

例えば上記の万引きならこのようになります。

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もちろんこれ以外にもたくさんあるでしょう。調べたことや聞いたことをどんどんツリーにまとめていってください。ツリーを降りていくと時には同じ原因にたどり着くこともあります。そういう場合は印をつけるなどして同じ原因があることがわかるようにするとよいです。

ここまでできれば分析段階から展開段階に行くことができます。

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Active Citizen Frameworkの実践③

Active Citizen Frameworkの実践

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