2020年度特別展・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)設立10周年記念展示「iPS細胞、軌跡(キセキ)と未来(ミライ)」 訪問記:iPS細胞とそれが作り出す未来に対する熱い思いを知る

詳細はPDFファイル「iPS細胞、軌跡と未来」を参照してください。

第00章 初めに

人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPSC)は人間の皮膚や血液細胞などの体細胞に、ごく少数の遺伝子を導入し、こうした体細胞を培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞である(1)。

京都大学 iPS細胞研究所(Center for iPSC Research and Application:CiRA)は2008年01月にiPS細胞研究センター(物質―細胞統合システム拠点内)として設立され、2010年04月01日にCiRAに改組された(2)。
2020年04月01日、CiRAは設立10周年を迎えた(3)。
CiRAは現在でも日本におけるiPSC研究の一大拠点で、様々な研究成果を世に送り出している(4)。

2020年09月05日、私は『2020年度特別展・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)設立10周年記念展示「iPS細胞、軌跡(キセキ)と未来(ミライ)」』(以下同展)に一般客として参加した(図00.01,5)。

02.iPS細胞、軌跡と未来

図00.01.『2020年度特別展・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)設立10周年記念展示「iPS細胞、軌跡(キセキ)と未来(ミライ)」』のポスター。

同展は、「CiRAが歩んだ歴史」、「人とデータで見るCiRA」、「CiRAの仕事」、「CiRAが目指す未来」、および、「CiRAの研究員になろう」の5部構成である。なお、本記事で各部に関して解説する。

第01章 CiRAが歩んだ歴史

人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPSC)は2006年に人工的に作られた新しい多能性幹細胞で、再生医療や疾患の病態解明などの医療分野での応用が期待される。
その理由は、iPSCは体細胞と異なり、以下の2つの能力を有するためである。1つ目はほぼ無限に増殖する能力で、2つ目は様々な組織や臓器の細胞に分化する能力である。iPSCはこれらの能力から、世界中で様々な研究に使用されている(図01.01,1)。

01.iPS細胞とは

図01.01. iPS細胞とは。

iPSC自体は山中伸弥(以下敬称略)らにより、2006年にマウスの皮膚細胞から、2007年にヒトの皮膚細胞から樹立された(1)。
しかし、iPSCはジョン・バートランド・ガードンによるアフリカツメガエルのクローン、イアン・ウィルマットによるクローン羊ドリー、および、ジェームズ・トムソンによるヒト胚性幹細胞(embryonic stem cell:ESC)などの系譜を継ぐものでもある(図01.02,3,6,7,8)。

02.歴史の上にひろがる

図01.02.歴史の上にひろがるiPS細胞研究。

DNAの発見(1869)からヒトiPSC樹立(2007)までの研究の歴史が記載されている。

日本時間の2012年10月08日夕方、ノーベル財団(本部:スウェーデン)は、ノーベル生理学・医学賞を山中伸弥CiRA所長(米国グラッドストーン研究所上席研究者)に贈ると発表した。共同受賞者は、ジョン・バートランド・ガードン卿(英国ケンブリッジ大学 ウェルカム・トラスト/英国癌研究基金ガードン研究所 教授)である。受賞理由は、両者が成熟した細胞を、多能性を持つ細胞へと初期化できることを発見したためである(9)。
同展で、ノーベル生理学・医学賞の公式ポスター(図01.03)、賞状のレプリカ(図01.04)、および、メダルのレプリカ(図01.05)が展示された。これらから、iPSCは生理学や医学などの生命科学の歴史に大きな足跡を残したことがよく分かる。

08.ノーベル賞・ポスター

図01.03.ノーベル生理学・医学賞の公式ポスター。

ジョン・ガードン博士と山中伸弥教授の受賞概要がスウェーデン語で記載されている。

10.ディプロマ

図01.04.ノーベル生理学・医学賞の賞状(レプリカ)。
山中伸弥教授に授与された。授賞式でメダルと共に授与される。

11.メダル

図01.05.ノーベル生理学・医学賞メダル(レプリカ)。

メダルの表面にはアルフレッド・ノーベルの横顔のレリーフが、裏面にはGenius of Medicineが膝の上に本を置き、病気の少女のために水をくむ姿が、刻まれている。
肖像権対策のため、モザイク処理済。

第02章 人とデータで見るCiRA

パネル「データから見るCiRA」によると、特許登録件数と出願件数(累積)、論文数と被引用数、iPS細胞研究基金への寄付件数と寄付額、ならびに、構成員数は年と共に増加する。一方、年間予算執行は2016年までは増加していたが、2017年に減少した。2018年では微増している。なお、年間予算の大半は国からの競争的資金と企業からの共同研究費である(図02.01)。

03.データ

図02.01.データから見るCiRA。

特徴的なCiRA のシンボル・マークは2008年に作成された。中川誠人CiRA講師による原案を基に、グラフィック・デザイナーの奥村昭夫が完成させた(図02.02)。

04.シンボル・マーク

図02.02.CiRAシンボル・マーク(原案と提案資料)。

第03章 CiRAの仕事

以下の文章は主に、同展で掲示された垂れ幕に書かれていた文章に基づくものである。

iPSC技術を一般的治療に繋げるためには、応用研究を経て臨床試験を行う必要がある。
臨床試験は患者の協力の下、治療法の有効性や安全性を見極めるために重要な研究の段階である。
研究者はまず医師らと協力し、被験者数、投与細胞もしくは薬剤、その量、ならびに、経過観察年数なども詳細な計画を作る。
そして国の機関の審査を受けてようやく実施が認められる。医師が実施し、治験コーディネーターらが支援する。
そして、ある投与細胞や薬剤の臨床試験結果が有効であると国から認められると、こうした投与細胞や薬剤は多くの患者が病院で使用できるようになる。また、治療に必要な投与細胞や薬剤、ならびに、それに関する技術の製造は製薬会社などの企業が得意な領域である。
このように基礎研究から治療までには、CiRA などの研究機関だけではなく、患者、国の機関、病院関係者、および、企業など多くの人が関わっている。
なお、治験は臨床試験の内、新しい薬や医療機器の製造販売の承認を国に得るために行われるものである(10)。
患者は事前にリスクなどの治験の内容に関して十分に説明されたうえで、自由意思に基づき治験に参加する。治験への不参加・中断を申し出ても不利益を被らないと約束されている。


iPSCは、皮膚や血液の細胞への遺伝子導入など、様々な方法により作製される。 しかし、iPSCができる仕組みに関しては、未だ不明なところがある。また、iPSCが様々な細胞に分化していく過程は、受精卵がヒトの体に成長していく過程に似ている部分がある。その成長過程にはまだまだ謎が多い。
CiRA の重要な研究分野の1つが、生命の仕組みを1つ1つ解き明かしていく基礎研究で、これにより新しい研究や医療の分野が切り開かれる。また、CiRAは iPSC技術とゲノム編集など先端の技術を組み合わせて、細胞の運命の制限などの新しい技術の開発にも取り組んでいる。

体内の細胞が正常に機能しなくなったり、失われたりすると病気になる。そこで、iPSCから患部の細胞や組織を作り、患者の体に移植する(再生医療)ことで、 失われた機能を補い、病気の症状を改善できるのではないかと期待されている。CiRAでも様々な病気に関して、再生医療による治療法開発に向けての研究を行っている。現在、CiRAでの研究成果に基づいて、京都大学医学部附属病院でパーキンソン病や血小板輸血不応症などの患者を対象とした治験や臨床研究が始まっている。
同展で、iPSCから作られた心筋細胞の動画が公開された(図03.01)。
なお、マウスの心臓に移植したヒトiPSC由来心筋細胞のナノ構造の評価が初めて成功した。また、移植6カ月後には移植した心筋細胞にT管(心筋の筋細胞膜が細胞内に深く入り込んだ管状の構造物)や2つ組(T管と筋小胞体との接合部がとっている構造)が形成され始めていることが分かった(11)。

12.心筋細胞

図03.01.iPSCから作られた心筋細胞が拍動する様子。

2020年時点で、日本で難病に指定されている疾患は300を超えている。しかし、その多くに根本的な治療法が見つかっていない。難病は、一般的に患者数が少ないため、研究に必要な患者の細胞を集めることが困難である。また、疾患によっては、患部の細胞を採取することで、症状が悪化する恐れがある。
iPSCは、採取が容易な血液や皮膚の細胞から作製し、ほぼ無限に増殖させることができる。更に、iPSCには元の細胞の疾患を「記憶している」という特性があるため、疾患患者由来iPSCを患部の細胞に分化させ、シャーレ内で細胞に疾患の症状を再現できる場合がある。CiRAはこの様に疾患のメカニズムを解明し、新薬を開発する創薬研究に積極的に取り組んでいる。

CiRA が寄付を募る理由は、世界最高水準の研究を推進できる研究環境をつくり、1日でも早く、iPSCを用いた医療を実現するためである。国などからの研究費は一般的に、配分期間が数年で、使用目的も限定される。そのため、研究者を支える職員、実験を担当する技術員、および、契約や特許の専門家などの安定的な雇用には不向きである。また、研究費が途切れると、研究が中断する可能性もある。CiRAは寄付金を活用して、こうした課題を解決し研究を加速させている。
CiRAには基金室があり、マラソンやインターネットを通じた寄付募集、イベント開催、遺言による寄付への対応などを行っている。これらの活動を通じて、「寄付で研究を支える」という社会を創るために貢献したいと、CiRAは考えている。
なお、nature communications誌に掲載された研究論文「Structural and spatial chromatin features at developmental gene loci in human pluripotent stem cells」によると、この研究にはiPSC研究基金が使用されている(12)。

iPSC技術が社会で適切に活用されるためには、どのように iPSCの研究を進め、その成果をどう生かしていくのが望ましいのかを、研究者だけではなく社会全体で考えていくことが大切である。
そのために、CiRA では上廣倫理研究部門が市民の意識調査や倫理的課題の整理・分析などの研究を行っている。この様な研究を通じて、基礎研究から医療応用までを対象に、社会で議論する際の視座を提供したり、政策を提案したりするなど、国内外への積極的な情報発信に努めている。
この件、特にiPSCを用いた動物性集合胚の作製に関して、2016年に一般市民と研究者を対象に行われた意識調査に関する研究論文「Public attitudes in Japan towards human–animal chimeric embryo research using human induced pluripotent stem cells」が、2017年にRegenerative Medicine誌 Vol.12 No.3で発表された(13)。

iPSC技術を患者に届けるためには、医薬品や医療器具と同様に、企業で実用化されることが重要である。このために特許が必要である。技術は簡単に模倣されやすいため、特許権による保護がないと企業は安心して実用化することができない。
一方で、iPSC技術を普及させるには、重要な特許を1つの企業に独占させるのではなく、世界中の研究機関や企業で iPSC研究を進められるようにすることも重要である。CiRA はiPSC技術の普及を促し、かつ、企業による実用化を進めるために、iPSCの基本的な特許を非営利目的では無償で、営利目的では適正な価格で使用できるようにしている。特許使用料の一部は大学に還元され、新たな研究活動のために活用されている。
この件に関して、「日本と欧州における誘導多能性幹細胞の製造方法の特許証」が展示された(図03.02)。

画像10

図03.02.日本(手前にある黄色)と欧州(奥にある白色)における誘導多能性幹細胞の製造方法の特許証。

第04章 CiRAが目指す未来

パネル「iPS 細胞技術の適切な利活用のあり方を考える」では、CiRA の上廣倫理研究部門(以下同部門)が行っている一般の人々への意識調査や倫理的課題の整理・分析などの研究とその実践に関して、以下の様に紹介している(図04.01)。

01.利用方法

図04.01.iPS 細胞技術の適切な利活用のあり方を考える。

1.動物の体内でヒトの臓器を作る
ヒトiPSCを利用し、動物の体内でヒトの臓器を作る研究が国内外で進んでいる。こうした臓器は創薬、疾患の原因解明、ならびに、移植への利用が期待されている。しかし、ヒトの細胞が目的の臓器以外に混ざる可能性も懸念されている。意識調査の結果、多くの人はこの研究への理解を示すとはいえ、ヒトの細胞が動物の脳や生殖細胞(精子や卵子)に混入することに大きな懸念を抱いていることが分かった。
2.iPSCから精子や卵子を作る
iPSCから精子や卵子を作製する研究は、ヒトの発生の理解や疾患の原因解明、更には治療法開発に役立つ可能性がある。しかし、iPSCからヒトの精子や卵子を作製することは許されるだろうか。また、これらから子を生み出すことはどう考えられるだろうか。意識調査の結果、多くの人は病態解明や治療法開発を期待する一方で、子へのリスクやデザイナー・ベビーを目的とした利用を強く懸念していることが分かった。
3.ゲノム編集技術で受精卵の遺伝情報を書き換える
2018年、中国の研究者がゲノム編集技術を使い受精卵の遺伝情報を書き換えることで、双子の女児を誕生させたことが大きく報道された。一部の国では研究目的で受精卵の遺伝情報を書き換えることを認めているが、こうした受精卵から子を誕生させることは国際的に禁止されている。
中国での一件を受け、同部門では倫理的課題を整理し、国際的な学術団体の動向も交えながらコメント「【論点】中国の科学者がゲノム編集技術を用いて双子を誕生させたという報告について/Comments on claims that a Chinese scientist created twin girls using genome editing technology」を発表した(14)。
4.臨床応用に向けた課題を検討する
iPSC技術を医療として実現するためには、ヒト細胞を用いる基礎研究や人を対象とする臨床研究が必要不可欠である。同部門では 人を対象とする研究に伴う倫理的課題や規制上の課題の検討に加え、CiRA が実施する研究計画の事前確認に関する相談や研究者からの相談に応じたり、関連する法令に関するセミナーの実施に協力したりするなど、研究者が倫理的な課題に関して考える機会も提供している。また、研究成果を社会に届けるための方法論をアートやデザインの活用や一般の人々との対話を通じて探索している。

パネル「臨床応用に向けた研究の軌跡」では、再生医療研究としてパーキンソン病の治療研究、および、創薬研究として進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia ossificans progressiva:FOP)の治療研究が紹介されている(図04.02)。
パーキンソン病の治療研究に関しては、2018年08月01日「パーキンソン病に対するヒトiPSC由来ドパミン神経前駆細胞の細胞移植による安全性および有効性を検討する医師主導治験(第1/2相)」が実施された(15)。一方、FOPの治療研究に関しては、2017年08月01日、FOPに対して、京都大学医学部附属病院において医師主導治験が開始されると発表された(16)。

04.研究の軌跡

図04.02.臨床応用に向けた研究の軌跡。

CiRAは多数の疾患研究を実施している。図04.03で示されるものは、研究対象である疾患の一部である。
脳・神経の疾患に関しては、家族性アルツハイマー病を対象とした治験が開始される(17)。
肝臓・腎臓・膵臓の疾患に関しては、劇症1型糖尿病患者由来iPSCを用いることで、その病態メカニズムの一端が解明された(18)。
自己免疫疾患に関しては、エリスロポエチンが骨髄の血管内皮細胞の免疫複合体取り込み能を誘導することで、血中の免疫複合体の除去を促進することが分かった。なお、この研究は、骨髄が血管内皮細胞の働きを介して免疫応答を制御するという新しい機能を示し、かつ、過剰な免疫複合体の産生が引き起こす自己免疫疾患の病態解明や新しい治療法の開発のための新たな基礎的知見を加えるものである(19)。

07.疾患リスト

図04.03.疾患リスト。

パネル「新たな生命科学と医療の開拓」では、CiRA の研究者が取り組んできた以下の研究成果の一部が紹介された。
1.多能性が生まれる仕組みを調べる
iPSCの中には、他の細胞へ変化させようとしても変化しないものがある。これにはゲノムに内在しているウイルスが関与することが示された。細胞の初期化に重要な仕組みの一端が解明され、高品質な iPSC作製の効率化にも繋がる知見が得られた。
2.細胞の運命を変える
iPSC技術により、がん関連遺伝子(APC遺伝子)の働きを変化させることが可能であることが示された。更に、iPSC技術を使ってがん細胞の運命を変更できる可能性が示唆された。
3.絶滅危惧種の保護
研究当時、地球上にわずか 3 頭のみが確認されていたキタシロサイの絶滅を回避するため、iPSCをはじめとする幹細胞技術と生殖補助技術を組み合わせる保護方法について、国際的な研究者の連携で検討し、工程表が作成された。CiRA からは沖田圭介が参加した。
4.人工 RNAで細胞の機能を制御する
細胞内の複数種のマイクロ RNA を検知して、出力として任意のタンパク質の発現を制御することに成功した。これにより、特異的に狙った細胞の機能を精密に制御することが可能となった。

09.開拓

図04.04.新たな生命科学と医療の開拓。

同展では、CiRAの活動を紹介する動画も上映された。

第05章 CiRAの研究員になろう

同展では、CiRAの研究室が一部再現された(図05.01)。

05.実験器具

図05.01.再現されたCiRA研究室の一部。

ピペットマン、小型遠心機、光学顕微鏡、および、キムタオルなどが展示されている。

また、CiRAの刊行物、CiRAの教職員が執筆した書籍、および、iPadアプリケーション・ソフトウェア「iPSマスター」(20)も展示された。

パネル「CiRAの未来を共に描こう」には、CiRAの教職員だけでなく、間接的とはいえ賛同者などの熱い思いが込められていた(図05.02,21)。

14.CiRAの未来を共に描こう01

図05.02.「CiRAの未来を共に描こう」。

CiRAの教職員だけでなく、間接的とはいえ賛同者などのメッセージが記載されている。

第06章 纏め

私は同展を訪れたことで、iPSC研究の最前線、CiRAの歴史、ならびに、CiRAの教職員などのiPSCとそれが作り出す未来に対する熱い思いを知ることができた。

一方、2020年09月12日、JT生命誌研究館が催したオンライン・ライブ配信「生命誌から生命科学の明日を拓く」で、山中所長が講演「iPS細胞 進捗と今後の展望」(以下同講演)を行った(22,23)。
同講演は、以下を言及した。
 細胞とウイルス(特にコロナウイルス)の違い。
 ヒトに感染するコロナウイルスの種類。
 SARSコロナウイルス2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2、2019年新型コロナウイルス感染症を引き起こす)の特徴、現状、および、それに対する「ハンマーとダンス」対策(24)。
 C型肝炎とその治療薬であるハーボニー配合錠。
 ESCとiPSCの歴史、iPSCを利用する研究、ならびに、こうした研究の展望。
山中所長は特に、C型肝炎で亡くなった父親に対する想い(25)、研究者として多くの患者を救いたいという情熱、ならびに、iPSCを利用する研究とこうした研究の展望を熱く語っていた。

同展と同講演から、CiRAの教職員などのiPSCとそれが作り出す未来に対する熱い思いを改めて思い知ることができた。これが私にとっての、大きな収穫である。
そして、パネル「CiRAの未来を共に描こう」に書き込むべき言葉の代わりとして、本記事を世に送り出すことにした。

参考文献
1 国立大学法人 京都大学 iPS細胞研究所(CiRA).“iPS細胞とは?”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.もっと知るiPS細胞.よくある質問.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html,(参照2020年09月08日).
2 国立大学法人 京都大学 CiRA.“設立趣旨・沿革”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.CiRAについて.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/about/mission.html,(参照2020年09月08日).
3 国立大学法人 京都大学 CiRA.“京都大学iPS細胞研究所設立10周年”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/cira-10th-aniv/j/#/,(参照2020年09月08日).
4 国立大学法人 京都大学 CiRA.“研究成果”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.研究活動.http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/finding.html,(参照2020年09月08日).
5 国立大学法人 京都大学総合博物館.“2020年度特別展・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)設立10周年記念展示「iPS細胞、軌跡(キセキ)と未来(ミライ)」” .京都大学総合博物館 ホームページ.企画展・特別展.特別展.http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/special/0076-html/,(参照2020年09月08日).
6 国立大学法人 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部.“山中研究とガードン研究:分化と未分化、カエルとヒトをつなぐ「初期化」”.東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 ホームページ.総合情報.概要・基本データ.刊行物.教養学部報.555号.2020年05月11日.https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet-gazette/bulletin/555/open/B-2-2.html,(参照2020年09月09日).
7 幹細胞情報データベースプロジェクトSKIP(Stem cell Knowledge & Information Portal).“ガードン教授とクローン”.SKIP ホームページ.幹細胞のいろは.幹細胞の基礎知識.https://skip.stemcellinformatics.org/knowledge/basic/04/,(参照2020年09月09日).
8 学校法人 近畿大学医学部附属病院 輸血・細胞治療センター.“第20回  「基礎から学ぶ再生医療」”.近畿大学医学部附属病院 輸血・細胞治療センター ホームページ.血液学を学ぼう.過去集(第1回~第20回).https://www.med.kindai.ac.jp/transfusion/ketuekigakuwomanabou-20.pdf,(参照2020年09月09日).
9 国立大学法人 京都大学 CiRA.“山中伸弥所長がノーベル生理学・医学賞を受賞!”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2012年.その他.2012年10月08日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/other/121008-183500.html,(参照2020年09月09日).
10 国立大学法人 長崎大学病院 臨床研究センター.“臨床研究ってなに?(Q&A)”.長崎大学病院 臨床研究センター ホームページ.「臨床研究」のページ.患者さん・一般の方へ.http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/research/rinsho/patients/whats_qa.html,(参照2019年09月15日).
11 国立大学法人 京都大学 CiRA.“マウスの心臓に移植したヒトiPS細胞由来心筋細胞のナノ構造の評価に成功”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2018年.研究活動.2018年10月30日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/181030-100000.html,(参照2020年09月17日).
12 Springer Nature Limited.“Structural and spatial chromatin features at developmental gene loci in human pluripotent stem cells”.nature ホームページ.nature communications.articles.article.2017年11月20日.https://www.nature.com/articles/s41467-017-01679-x,(参照2020年09月17日).
13 Future Medicine Limited.“Public attitudes in Japan towards human–animal chimeric embryo research using human induced pluripotent stem cells”.Future Medicine ホームページ.JOURNALS.Regenerative Medicine.Archive.2010s.2017.VOLUME 12, ISSUE 3 / APRIL 2017.2017年03月02日.https://www.futuremedicine.com/doi/10.2217/rme-2016-0171,(参照2020年09月18日).
14 国立大学法人 京都大学 CiRA 上廣倫理研究部門.“”.京都大学 iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門 トップページ.新着情報. 2018年12月07日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/uehiro-ethics/news/comment181207/,(参照2020年09月19日).
15 国立大学法人 京都大学 CiRA.“「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」開始について”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2018年.研究活動.2018年07月30日.http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/180730-170000.html,(参照2020年09月19日).
16 国立大学法人 京都大学 CiRA.“進行性骨化性線維異形成症(FOP)に対する医師主導治験の開始について”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2017年.研究活動.2017年08月01日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/170801-140000.html,(参照2020年09月19日).
17 国立大学法人 京都大学 CiRA.“家族性アルツハイマー病を対象とした治験開始について”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2020年.研究活動.2020年06月04日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/200604-120000.html,(参照2020年09月19日).
18 国立大学法人 京都大学 CiRA.“患者さん由来iPS細胞を用いて劇症1型糖尿病の病態メカニズムの一端を解明”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.研究活動.研究成果.2017年08月22日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/finding/170822-150000.html,(参照2020年09月19日).
19 国立大学法人 京都大学 CiRA.“エリスロポエチンが骨髄の血管内皮細胞による免疫複合体の除去を促進する”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2020年.研究活動.2020年09月16日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/200916-100000.html,(参照2020年09月19日).
20 国立大学法人 京都大学 CiRA.“iPadアプリ「iPSマスター」”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.もっと知るiPS細胞.教材紹介.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/ips-master.html,(参照2020年09月20日).
21 国立大学法人 京都大学 CiRA.“CiRA設立10周年記念特別展の一部をオンラインで公開します”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2020年.イベント・セミナー.2020年07月31日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/200731-140000.html,(参照2020年09月20日).
22 株式会社 生命誌研究館.“オンライン・ライブ配信「生命誌から生命科学の明日を拓く」”.JT生命誌研究館 トップページ.催し.2020年09月12日.https://www.brh.co.jp/event_lecture/detail/761,(参照2020年09月21日).
23 国立大学法人 京都大学 CiRA.“20200912_BRH CiRA共催シンポジウム  限定公開”.京都大学iPS細胞研究所_CiRA ホームページ.2020年09月12日.https://www.youtube.com/watch?v=baQ-xrKnNjA&feature=youtu.be,(参照2020年09月21日).
24 山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信.“解決すべき課題”.山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信 ホームページ.https://www.covid19-yamanaka.com/cont11/main.html,(参照2020年09月21日).
25 アイティメディア 株式会社.“iPS細胞の生みの親・山中教授が講演 「研究者になったワケ」「ゲノム編集への危機感」など語る(1/2)”.ITmedia News ホームページ.科学・テクノロジー.2019年08月23日.https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/23/news068.html,(参照2020年09月21日).

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