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『スモール・リーダーシップ チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー』(和智 右桂 著) 〜チームを動かすのは「テクニック」だ。〜

スモール・リーダーシップ
チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー  ー和智 右桂

【どんな内容の本?】リーダーになってお悩みの方へ

現場でプレーヤーとして活躍していた人が、教育係や数人のチームを束ねる立場になる。よくあることだと思いますが、いきなり管理する側になってチームをまとめられなかったり、部下の力をうまく引き出せなかったりと悩むのはこれもまたよくあることでしょう。かく言う自分もその一人で、悩みの中でamazonで検索してレビューの評価が高かったことと、「チームを動かすのは「テクニック」だ。」という紹介文に惹かれて選んだ一冊です。

著者の和智右柱(わちゆうけい)氏は総研会社やシステム開発会社などで数多くの大規模システム開発のマネジメントを従事してきた方。これまで数々の訳書を多数出版されていたり、カンファレンスでの講演も定期的に実施されている方です。

【目次】

第1章 スモールリーダーの心構え
第2章 チームに火を入れる
第3章 チームで「正しく考える」技術
第4章 対立は意見を掘り下げるチャンス
第5章 チームの活動を「見える化」する
第6章 問題を解決しながら前へ進む
第7章 仕事が回るサイクルを作り出そう

1〜4章は概念的・姿勢的な内容ですが、5章以降はかなり具体的な方法や身につけるべきスキルに言及している印象です。とはいえ全体的にハウツー的な内容ではないため、きっと何度も読み返すことになるでしょう。

【読んでみて刺さった言葉】

・メンバーを「横着な賢者」だと考える
「賢者」とはつまりメンバーは自分と同じくらいの知性(持っている能力ではなく学習して身につけられる能力)を持っている人間であり、「横着」とは継続的にコツコツ積み上げてミッションを達成するには独力では難しいということと解説されています。メンバーに敬意を払い、同じ情報と対処方法を伝えればみなそのミッションが達成できると信じると同時に、横着であるがゆえに「規律を守る」ことが大切だと説かれています。

・リーダーは常に調停役
チームで1つの方向性に向くということは多様性を尊重しつつ意見をみながら出してもらうことがまずは大切。そのうえで意見の食い違う場合にどうやってほぐして同意点と相違点を探して、調停して決断するかがリーダーの役割と説いています。そのなかでリーダーが身につけ実践すべきポイントとその行動が具体的に記載されています。

・「思考を晒す勇気」と「間違いを受け入れる謙虚さ」
いまの自分にとって一番刺さったのがこの言い回しでした。自分の思考を晒すということは間違いの指摘を受けやすくなるということ。言い訳の余地がなくなります。自分の意見が間違っていた場合はメンバーからの反論を受けるわけです。その勇気と謙虚さを持つことこそが協調型リーダーとして必要なことだと、本書のかなり前半で説かれています。またそれは非常に精神的な、あるいは心の鍛錬も必要ということにも言及されています。

チームがGOALに近づけることこそがリーダーの役目。
正解を出すことが必ずしもリーダーの役目ではない、ってことですね。
身に沁みます。

総評:おそらく何度も読み返す本

たとえ少人数であってもチームをまとめるべき立場になった人、リーダーになって悩んでいる人、そしてリーダーになりたい人は読んで損はない内容だと思います。
かなり具体的な方法を解説されているので実践で役に立つ内容です。ただし、一朝一夕で身につけられる心構えやスキルではないので、きっとおそらく何度も読み返すことになるでしょう。
「リーダーシップ」というのは、実践して失敗して、身につけていくべきことなのではないでしょうか。日々鍛錬、がんばりましょう。

スモール・リーダーシップ
チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー  ー和智 右桂

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