見出し画像

「Mixology:ベーコン・ウォッカを漬けこもう」─ていくすりーの酒場学

 バーテンダーでない方でも、最も手軽に試せるミクソロジーといえば、お酒に何かを漬け込んで、味やフレーバーを変化させる楽しみ方です。中でも自家製のフレーバード・ウォッカはオススメで、そのままオンザロックで飲んでも美味しいですし、カクテルにも非常に使いやすくなります。

 ジンジャエールを使ったモスコミュールなどには特に有効で、通常のウォッカですと、ただジュースを水で薄めたような味に仕上がる一方で、この漬け込みをしておけば、例えば生姜ウォッカを作っておけば、1ランク上のモスコミュールが作れます。

 アメリカ圏では、昔から”ベーコン・ウォッカ”なる物が既製品でリリースされていて、これがなかなかに美味しい。ブラッディメアリーなどのトマトカクテルのベースで使えば、冷製スープのように早変わり。しかし、日本でそれらのボトルを安定して手に入れるのは難しい……。

 ならば、この際に自家製のベーコン・ウォッカを作ってしまいましょう。やり方はとても簡単。

 まずベーコンを2、3mmほどの薄切りにして、オーブンなどでカリカリに焼き上げます。僕の場合は、120°で22分。そこから1分ずつ焼き足して調整します。焦げるか焦げないか、薄っすら茶色になったらで大丈夫。少し冷まして、そのままウォッカの中へ。700mlあたりに手のひらほどのベーコンスライスを5~6枚、2週間ほど漬けておきます。

 その後、ウォッカがピンクとオレンジに間のような色に変わり、燻製香と塩味が移ったら、コーヒーフィルターで濾す。これで白く凝固した油が取り除かれて、美味しいベーコン・ウォッカの出来上がり。

 漬け込みの際に大切なのは、材料の質と漬け込みすぎない事。ベーコンならば、ブロックで売っているような香りがしっかりした物が望ましいです。

 ロックスタイルで飲んでも、カクテルにしても、その味わい深い”塩味”は貴方に寄りそう。

『バーテンダーの視(め)』はお酒や料理を題材にバーテンダーとして生きる自分の価値観を記したく連載を開始しました。 書籍化を目標にエッセイを書き続けていきますのでよろしくお願いします。