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(小説集) 剣鬼悪辣

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よく分からん奇行短編小説と、連載長編小説です。 暴挙とも思われる事を書いてしまうが、それすら誰かの救いになるのなら、我悪辣の名の下に、太刀を振るう事鬼の如し、そういう事です。
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#掌編小説

FRIEDCHICKEN EGOISTIC

FRIEDCHICKEN EGOISTIC

足りない。その不足分を補ってこの身を維持する一連の行動に、何か意味を見出すことがあるだろうか。そんな事を考えた。

若鶏の塩レモン唐揚げ、焼売、骨無し鶏のササミ揚げ、肉団子の黒酢だれ、チキンカツ甘酢あんかけ、若鶏の竜田揚げ、秋刀魚の竜田揚げ、甘海老の唐揚げ、カニ玉甘酢あんかけ、合鴨のスモーク、ソーセージアンドポテトフライ。

迷わず僕はカゴに放り込む。欲望というのは、正直に生きさえすればどこまで行

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Septembers

Septembers

朝から機嫌が悪いことは知っていた。
授業中、何度も机にシャーペンの芯を押し付けてボキボキ折って。
その間ずうっと黒板だけを見て、一度も目を移さなかったから、無意識でやっているんだろうことは分かったけど、怒りとも憂鬱とも取れないその行為が、彼にとってどういう意味をもたらすのか、私には分からなかった。
窓辺から風が吹いた。カーテンが大きくたわみ、一瞬目の前が真っ白になった。

そんな日には、働かないと

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