社長の隣に「編集者」を
今回お伝えしたいことは、これです。
社長の隣に「編集者」を。
今年から力を入れているのが「顧問編集者」という仕事です。
企業には「顧問弁護士」「顧問税理士」などがいることが多いですが、ぼくはこれから経営者の隣に顧問としての「編集者」が必要なんじゃないかと思って始めた仕事です。
経営者は「未来をつくるクリエイター」
ぼくは本の編集の仕事を主にやってきました。
いろんな著者・クリエイターの方と組んで本をつくってきましたが、ぼくのなかでは顧問編集者も、対象が「経営者」になり、アウトプットが「インターネット」中心になっただけで、本質は変わらないと思っています。
図にすると、こんな感じです。
経営者が未来をつくる「クリエイター」だとすれば、その隣に「編集者」がいるのは自然なのではないか。この仕事は「経営者の思考を適切な言葉、適切なメディアで届ける」のが主な目的になります。
具体的な事例をご紹介します。
経営者の思考をあらゆるメディアでアウトプット
「識学」という組織マネジメントのコンサルティング会社があります。そこの社長の安藤さんの顧問編集者を今年からやらせていただいています。
具体的な動きとしては、毎月1〜2回取材をさせていただき「いま何を伝えたいですか?」「いまモヤモヤしていることはありますか?」などと「取材」させていただきます。
それをもとに、こちらで言葉を整理させていただいて、ツイッターやnoteなどでアウトプットしていくという感じです。
場合によっては、新聞広告のコピーを考えたり、本のライティングにも携わったりします。
※顧問編集者をつけると、すべてのケースで新聞広告が出せたり、本が出せるわけではないので予めご了承ください。「こういうケースもあります」ということです。
もう一社、「RICHKA」というベンチャー企業があります。そこの社長の松尾さんの編集者もやっています。
左のような経営者個人のnoteをまとめさせていただいたり、場合によっては敏腕のライターさんにご協力いただきながら、右のような求人に特化した社員紹介のnoteも作成しています。
他には、単発の仕事になるのですが、
UUUMの鎌田さんの社史のnoteだったり、gumiの国光さんのnote、sioの名物シェフ・鳥羽さんのnoteなども編集させていただきました。
※現在は「単発」でのお仕事は基本的にお受けしておりません。
企業は「メディア化」しているが、編集者がいない
顧問編集者の立ち位置をイメージにするとこんな感じです。
これまではメディア側にそれぞれ編集者やディレクターがいたので、企業が「編集」について考える必要はありませんでした。
でもネットができて、自分たちがメディアをコントロールできるようになりました。というより、企業自体がメディアになってきたとも言えるでしょうか……。
ただそうなってくると不在になるのが「編集者」。そこで企業側に編集者がつく必要性が出てきたというわけです。
経営者側に編集者がつくと「伝わる力」が高まるので、いろんな効果が期待できます。それについてはあとでお話しします。
そもそも「編集」とはなにか?
さて、そもそも「編集」というのがけっこう捉えにくい概念なので「編集」についてぼくなりの定義をお伝えしておきます。
まず前提として、書き手が「伝えたいこと」と読み手が「読みたいこと」はズレていることがほとんどです。
書き手が「これはいい商品ですよ!」ということを伝えたくても、読み手は「その商品には何の興味もないなあ」ということはよくあることです。
編集の仕事は、この「伝えたいこと」と「聞きたいこと」をすり合わせる仕事、というのがぼくなりの定義です。
で、実はこの「編集」がこれまでのビジネスシーンでは意外となかったように思うんです。
たとえば企業が何かを伝えたいときに、自費で本を出したり、おしゃれなブランドブックをつくったりします。
でもこれはわりと「主観」が強くて、あんまり読み手のことは考えられていなかったりします。
一方で、広告やPRの世界は、読み手・マーケットに迎合しすぎてしまう場合もあります。(もちろんそうじゃない場合もあります。すみません。)
この「主観」と「客観」のちょうどまんなか。「伝えたいことを伝える」というシンプルなことを達成したい、というのが顧問編集者の思いです。
顧問編集者、3つの役割
顧問編集者の役割は、以下の3つです。
まずはコンテンツ化。
よく「情報化社会」と言いますが、すでに情報は飽和状態なので、これからは「コンテンツ化」が必要だと思ってます。
コンテンツ化というのは、ひとつは役に立つこと。「ノウハウ」ですね。もうひとつが「おもしろい」こと。おもしろいの定義はいろいろあると思いますが、ようするに感情が動くということです。「エモい」というのもここに入ります。(コンテンツ化についてはまた改めてnoteにまとめます。)
2つめは、ふつうの言葉へ翻訳することです。
「デジタルとアナログの融合によって顧客にソリューションを提供します」などといった書き方ではなく「だれでも、かんたんに、発信ができる世界がつくりたい」みたいなふつうの言葉にする、ということがビジネスのシーンでは意外とできていません。そこをある意味「翻訳」するのが仕事です。
3つめは、コンテクスト(文脈)の構築です。
短くて速報性が必要なときはツイッター、エモくて感情的なのはnote、みたいな感じで、メッセージとメディアを選択すること。どのあたりに人が集まっていて、どこにどんなコンテンツを投下すると効果があるのかを考えるのも顧問編集者の仕事です。
顧問編集者がいると、どんないいことがあるの?
「顧問編集者をやると、どんな効果があるの?」ってことなんですが、、、まだ1年目なので明確に「これがスゴい」というのは言えないのですが、こういう効果が出始めてますというのをご紹介します。
まず、社外への効果です。
直接的な売上ということも期待できると思いますが、いちばん効果があったのが「採用」です。
特に先ほどご紹介したカクテルメイクさんでは、入社希望者の「会社へのラブ度」がめちゃくちゃ上がったらしいです。
入社する前に会社の情報、社長の考え・人柄を知ることができる。だから、入ってからもミスマッチが減るんです。
あと、これは今後期待されることかなと思いますが、投資家、VCさんとかに届けば「この会社を応援しよう」「この会社に投資しよう」というきっかけにもなると思います。
次に社内への効果です。
社長の考えが見えるようになるとモチベーションが上がったり、結束力が高まったりします。
あとは社外から経営者の発信が評価されることで「自分たちは社会的にいいことをしてるんだ」という確信が高まってやる気につながったりします。
で、実はいちばん大きいのが、社長自身が自分たちの価値を再認識したり、「何が伝わっていないか」といったことに気づいたりする。思考自体をブラッシュアップしてもらえる効果もあるかなと思います。
カッコよく言えば「社長の言葉」を起点とする「社内」と「社外」へのブランディングに寄与するのが顧問編集者というわけです。
なぜ「広報」じゃなくて「社長の言葉」なの?
「それって広報なんじゃないの?」という声も聞こえてきそうです。
たしかに広報の機能に似ているのですが、大きく異なるのが「社外の存在」なのに「社長のすぐ隣」にいて「社長の言葉」にこだわっていることです。
というわけで、最後に「なぜいま社長の言葉が大切なのか?」をお話しします。
すごく雑に言うと、これまでは「売上目標を発表していればうまくいく」というケースも多くあったと思います。「対前年比◯%達成するぞ!」とか「売上◯倍を目指すぞ!」みたいな感じです。でも今は、それだけでは限界が見えてきています。
それよりも、そもそもの「ビジョン」「パーパス(目的)」が重要になってきている。そんな実感があります。
簡単に言うと「どこまでいくか」から「どこへいくか」が重視されている時代です。そのときに企業トップが「こっち」と行き先を指し示す必要が出てきてる、ということです。
しかもいまはある意味で「有事」だと言えます。
これからどうなるかわからない。荒波で遭難しそうなときにはやはり「船長」が重要です。
「トヨタイムズ」で社長が自ら話したり、星野リゾートの星野さんやユニクロの柳井さんが最近は自らメディアに出ることが多くなっていますが、それはそういうことだと思います。
いまは、言葉に人とお金が集まる時代です。
だからこそ言葉を磨く必要があるし、逆に言えば、言葉を磨けば人もお金も集まってくる時代だと思います。
社長が企業を取り巻く生態系の「どまんなか」で言葉のパワーをアップさせていけば、社員、求職者、お客さん、投資家を引き寄せることができるようになります。
顧問編集者は、この「求心力の核」を経営者と一緒につくりたいと思っています。
※
ご相談は以下のフォームよりお願いいたします。費用感は「自社に編集部を設けて2〜3名雇うくらい」だとお考えください。
また、現在ありがたいことに多数お問い合わせいただいております。場合によっては、お待ちいただいたり、見送らせていただくことがあることを予めご了承ください。
作図協力:佐藤沙弥
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?