光の啓示01

光の啓示「第一章 眠れぬ夜」

#cakesコンテスト2020

光の啓示” 第一章 光の啓示のつづき、眠れぬ夜


衝撃的な出来事に、AYUゲストハウスにどのルートで帰って来たのか覚えてないほど、動揺した私は部屋に入るなりとにかく落ち着こうとしてベットに横たわった。

バリ2009 049

天井の裸電球とクルクル回るファンを見つめながら、
あれはいったい何なのか?
本当に起きたことなのか?
いや、幻覚でも見たのか?

なんでおれなんだ?
あれは本当なのか?

さっきおきたことが何だったのか理解できないでいた。

当時の私はスピリチュアルのことは全く信じていない人間。
世にある奇跡など後付けで出来上がったこととさえ思っている、それ系のことは全く信じていない人間だった。

私は信心深い方でもなく、
祖先は尊ぶが宗教については先人の作ったものと思っているほどだ。
目に見えないものは信じない、
極めて現実主義の人間だった。

だいたい絵なんぞは、義務教育で描いたぐらいで
それ以来、筆を持ったこともない。
ましてやアートのアの字もまったく頭に無い。ゼロだ。

絵を描くなんて、全く別世界のことで
美術館に行くこともなく、絵心もない、
アートの考えさえもないくらい、
そんな私に絵を描くことが出来るわけない。

冷静に考えればそういう結論になる。
この先の人生で絵を描くなんてまったくありえないからだ。

しかし、あの時の「これを一生続ければいいのだ!」
「もう他の仕事をしなくていい。」といった感覚はなんだったのか?

いままで味わったことない、
あの解放された安心感はなんだったんだ........。

信じるべきか........。それとも........。

考えも堂々巡り
いまだ理解できず結論が出ないまま、
時間だけが過ぎて行った。

ふと気がつけば、ニワトリの鳴く声。
朝だ。
まいったな。

スタッフのワヤンが、いつものごとく
”マカーン パギ”(朝ご飯)と部屋に来た。

朝ご飯?
もうそんな時間なのか、
そういえば昨日の昼からショックで何も食べていなかった。

なにも解決せず、モヤモヤしていたが
腹が減ってはいきさは出来ぬと、とりあえず何か腹に入れよう。

部屋の外のテーブルのイスに座って、ぼボーとしていた。

バナナハニートーストとオムレツ、そして紅茶をワヤンが運んできた。
そして、いつもの通り私の前に座りコピ(コーヒー)を飲みながら、
タカ、今日はなにするの?どこへいくの?と聞いてきた。

私:うーん........。
今日は何もしない、部屋にいるよ。

ワヤン:えっ、どうして、タカ。

私:昨日寝てないし。

食が進まない、いつもと違う私の様子にワヤンが

ワヤン:どうしたタカ、大丈夫?病気?
と聞いてきた。

私:いや、そうじゃないけど........。

ワヤン:帰る準備?

私:ううん違うよ。

二人ともしばし沈黙
いつもノリノリな私の重い空気に
ワヤンも気づき

ワヤン:タカ、何かあったのか?
と聞いてきた、

私:うーん........別に........。

ワヤン:タカ、私たち友達、なんでも話してね。

私:ワヤン、ありがとう。

とはいったものの、昨日の出来事話す気になれなかった。
また、二人ともしばし沈黙

そして、煮詰まらない私に

ワヤン:大丈夫?

そうだ、バリのことはバリ人に聞いてみよう。
急にそんな事を思った私は、
せきを切ったように昨日の出来事をワヤンに話し始めたのだった。

つづく

#cakesコンテスト2020

ここから先は

0字
このマガジンを購読すると、光の啓示を毎週お届けします。月に2ほん以上読むなら、購読のほうがお得です。

光の啓示

¥500 / 月 初月無料

1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになったある出来事から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていきます。

この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!