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「まんじ」ということ(903)

一般的に「まんじ」は、「卍」なのだと思っている人が多いようです。しかし、正しくは「まんじ」は「卍字」と書くべきなのです。中国の唐の時代に武則天(ぶそくてん、則天武后)が統治した時期がありますが、その693年に「卍」を「萬」と読むことが定められたと言われています。

この「卍」は、仏閣寺院を表す地図記号として使われています。なぜ「卍」が仏閣寺院を表すのでしょうか。それは、もともと「卍」はサンスクリット語から出てきたもので、吉祥の印(すなわち、「幸せ」「めでたい」という意味)として仏教で採用されたからです。その説明として、

  「十」 十は十分の意で完全な会得を意味する
  「卍」 卍は十が右回りするという意味であり、
    仏道の現成(げんじょう、完成完成)を表すというものがあります。

このような意味で、卍は吉祥印なのです。現在でも、寺院内の屋根瓦や焼香台などに卍が彫られています。また、奈良の薬師寺の薬師如来像(国宝)の胸の中央には卍文様が線刻されています。

ところで、「卍」とよく似た形状のものに「卍」を左右反転した「逆まんじ(右まんじ)」 (卐) があります。これら二つの記号は、仏教では次のような原意があります。

 「卍」は和の元を表す
 「卐」は力の元を表す(キリスト教では十字の図案の一つと言われている)

とされています。要するに、両者共に幸運の印なのです。「逆まんじ」(卐)は、古代のインド・ヨーロッパ語族に共通の宗教的記号であるという説もあります。

そして、「逆まんじ」(卐)はナチスのかぎ十字(鉤十字、ドイツ語のハーケンクロイツ)として利用されました。したがって、欧米人は卍を卐と誤解することが多いようです。ただし、ナチス党旗は赤地(社会主義を表す)の中に白い円(民族主義)を入れ、その中に黒のかぎ十字を描いているので、前述した仏教における「逆まんじ」とは明確に異なるものなのです。

似たような記号は、いつの世にも出現してきます。その場合には、原点に変えることが必要です。私たちは、「卍」の本来の意味を正しく理解しておくことが大事なのです。

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