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アイアンナックル──ミリオンテイルズ──

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暴力と悪逆が支配し、あらゆる怪異や眉唾ものの噂──そのすべてが煮られた地獄の釜の底。それがアメリカ合衆国が誇る悪徳都市オールドハイト。街に巣食う奇妙な人々が織りなす様々な話(ミリ… もっと読む
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グリッチマン(完全版)#パルプアドベントカレンダー2023

グリッチマン(完全版)#パルプアドベントカレンダー2023

 

この企画は#パルプアドベントカレンダー2023 の提供でお送りします。

 叙ンは墓場に住んでいる。

 正確には、叙ンは墓場の座標からマイナス数ポイント下に位置している。いつからこうだったのかはわからない。彼はそうあるべしとして作られ、設置された。

 この墓場は所謂没データらしい。世界と繋がることなく、さりとて消されることもなく、プログラムの狭間でただ存在することを宿命付けられた叙ンは、

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インタビュー・ウィズ・クリスマス・チキン #パルプアドベントカレンダー2022

インタビュー・ウィズ・クリスマス・チキン #パルプアドベントカレンダー2022

 あなたはDVDをパッケージから取り出す。古いデッキだ──ディスクを押し込むと、これまた古くて頼りないディスプレイが少しのノイズとともに、映像をなんとか送り出した。

 ザザザッ……ザー

この小説は『#パルプアドベントカレンダー2022』の提供でお送りします。 十二月二十四日、午後十時。

 アメリカ合衆国東海岸。海岸地域に広がる港湾貿易都市として発達したグリーンウェル州。その中でも最も規模の大

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リトルウィッチ・ア・キル・ゼム・オール! 〜ホリデースペシャル〜 #パルプアドベントカレンダー2021

リトルウィッチ・ア・キル・ゼム・オール! 〜ホリデースペシャル〜 #パルプアドベントカレンダー2021

 白い中古車の中で、カーステレオから声がする。明るく甲高い、ハキハキした喋り方──誰にも聞こえない声だが、その車の主にだけは聞こえていた。

『……故郷を捨ててアメリカにやってきた彼女は、今日も仕事に大忙し! がんばって! 魔法少女はみんなの味方。愛と勇気があれば、誰にも負けないんだから! 次回、魔法』

 女は手を伸ばし、ステレオのスイッチを入れた。声はかき消え、ラジオから陽気なDJが、曲の紹介

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都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(終)

都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(終)

Days 4

 サイとドモン、そしてTJの三人は、生きてまた出会うことができた。
 オールドハイト中央区。セントラル・カテドラル近くのダイナー『レッドドラッカー』。いつもどおりに目つきの悪いウエイトレスが無愛想に注文を取っていく。
 デラックスピザにビール──ポテトフライのチーズがけ。カロリー爆弾投下だ。サイの奢りとくればテンションもあがる。
 結局、Vtuberのマリーとは何者だったのか──サ

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都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(8)

都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(8)

「それにしてもわからん」

 廊下を通り、ライブステシージそばのバーカウンターでビール瓶の後片付けをしながら──サイはポツリと呟いた。

「ホロウはどうしてトイレに出てきたんだ? WiFiが届いてたからって理屈はわかる。だがそれだと、鏡に突然映ってた意味がわからん。受信できる機器は何も持ってなかったんだぜ」

「……もしかしたらですが……元ネタがあるんじゃないですか?」

 ドモンは最後の一本にす

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都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(7)

都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(7)

 貸切状態のライブハウスというのは、薄暗く──ほのかにタバコと機材の金属のかおりが漂っていた。まるで、感情の燃えカスが残っているような──どこか物悲しさも感じられる。
 今日の出し物はひとつだけ。殺し屋ドモンと、ホロウと名乗る化け物の、時間無制限デスマッチ。敗北は死を意味する。

「ビールあるぜ。飲るか?」

 返事も聞かずに、サイは客席に併設してあるバーカウンターを漁り、冷蔵庫から瓶詰めのタフ・

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都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(6)

都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(6)

Days3

 また朝になった。
 憂鬱な朝だ。結局昨日はTJを一人にするわけにもいかず、ガレージにあった寝袋で、ドモンとサイの二人は夜を明かした。
 TJがオートミールを用意してくれたので、二人はそれをスプーンでなんとか流し込む。サイはおかわりでもするのかという勢いで皿を持ち上げたが、果たして彼の舌がまともに動いているか疑問だった。恐怖で麻痺してしまっていると言われても、驚かない。
 TJは昨日

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都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(5)

都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(5)

「Wifi使う? うち、ケーブル回線だけど結構速度でんの」

 TJは朗らかに、机の上のWifiルーターを指差しながら言った。

「あー、僕ら今スマホ持ってないんで」

 サウスパークの低所得者住宅街──TJの自宅、一軒家のガレージに招き入れられた二人は、ビールケースにようやく腰掛けて一息をついた。
 彼女はスマホを棒から取り外し、三脚に据え付けた。まだ撮影するつもりらしい。

「マリー&ホロウっ

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都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(4)

都市伝説系Vtuber マリー&ホロウ(4)

 Days 2

 朝が来た。
 とてもサイの家で過ごす気にはなれず、二人は近場の安モーテルに駆け込んで事なきを得た。あれから怪人は現れていない。

「逃げきった──と思うか?」

「思いませんね。ありゃ多分しつこいヤツですよ」

 インスタントコーヒーを紙コップで煽りながら、サイとドモンの二人はお互いのベッドに腰掛けながら顔を突き合わせていた。

「ご同業じゃないのか?」

「少なくとも僕が知っ

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都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(3)

都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(3)

 ドモンは刀を抜いた。抜くべきだと考えた。男はすっくと立ち上がり、首を左右に傾けながら骨を鳴らし、ナタを握った手を前に出した。刃は肩と水平に。ナイフ術に似た構えであった。

「に、逃げたほうがいいか……?」

「少なくともその準備はしといてくださいよ」

 ドモンは自分の額に冷や汗が浮いているのを感じていた。それほど目の前の男には異常な『何か』が感じられた。
 こいつは殺さねば、逃げられぬ。
 男

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都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(2)

 ポップコーン。クラウン・ピザのデラックスステーキピザLサイズ。タフ・ビール4本。
 冷凍庫の中にはバケツアイスを買っておいた。
 それでも、ドモンの気は晴れない。映画を見るなら別だが、今から見るのは殺人オークションだ。
 マリー&ホロウのチャンネルでは、定期的に『降霊会』と称してそうした悪趣味な催しをしている。
 投げ銭と呼ばれる電子的おひねりを対価に、殺してほしい相手の名前を書き連ねる。
 マ

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ライク・ア・ヘル・エッジ・ロード(8)

 思えば、男性と同じ空間でこんなに長い時間を過ごすのは、初めてかもしれなかった。
 少なくとも、ブチ殺そうと考えずにいること自体が奇跡だ。アドにとっては、男性というだけで憎悪の対象。それが普通だった。

「昔──」

「う?」

「昔、好きな男の子がいた。同じ小学校の子で──今思えば、足が早かったとか……そんな程度のことでしかなかったんだけど」

 当時のアドには、その気持ちを示すだけの知恵が無か

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都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(1)

都市伝説系Vtuberマリー&ホロウ(1)

 Days 1

 アメリカ合衆国グリーンウェル州オールドハイト市。その中央区にあるダイナー、レッドドラッカー。その窓際の席に、二人の男が座っていた。
 スーツ姿の男が、向かいの席に座り、突っ伏している男をなだめている。

「あのな、ドモン。そうやって机の上に突っ伏しててもどうにもなんないんだぞ」

 窓の外で車のヘッドライトが煌めいていた。まるで星空のようだ。もっともそんなもの見たことないが──

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(終)ライク・ア・ヘル・エッジ・ロード(10)

(終)ライク・ア・ヘル・エッジ・ロード(10)

 あれから三日が経った。
 色々あったが──とにかくアドもセブンも無事でいる。今はオールドハイトの中央区──その一角にあるダイナー『レッドドラッカー』で、やたらに濃いコーヒーを飲んでいる。

「おかわりは? メイドさん」

 ダウナーな態度を隠しもしないウエイトレスが、コーヒーポットを片手に言った。

「いらない」

「あっそ。どうでもいいけどコスプレイベントかなんか?」

 ウエイトレスが言うの

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