見出し画像

GoToで盛り上がる旅行業界とAI

コロナウィルスの影響で大打撃を受けている旅行業界に対するカンフル剤であるGO TOキャンペーン。色々な問題はあり、当初の想定通りの効果は未だ産めていませんが、冷え切った旅行需要の喚起という点では有効な手段と思われます。
旅行業界と聞くと、人が介在する仕事ばかりでAIが活用される余地は少なそうな印象を受けますが、実は今後大きく貢献をしていくと考えられています。

旅行業界に起こった2つの変革


近年、旅行業界においては、ビジネスを大きく変革させた変革があります。

ダイナミックプライシング
ダイナミックパッケージ

の2つです。

それぞれを簡単に説明すると以下のようになります。

【ダイナミックプライシング】
特定商品・サービスにおける価格設定を、その売れ行きやその他の要素を反映して同的に変動させるもの。航空券やホテルの客室などには以前から導入されている手法

【ダイナミックパッケージ】
日程や目的地、人数などの条件に対する交通手段や宿泊先などの選択肢を複数提示し、その中から利用者が自由に組み合わせて旅程を組める旅行商品。
交通手段や宿泊先などが固定だった従来のパッケージツアーと比べると、より個人の趣味趣向に合った旅程が組みやすい特徴があります。

これまでは航空券やホテルなどの個別の選択肢においてはダイナミックプライシングが適用されていましたが、ダイナミックパッケージの普及に伴い、近年では旅行プランそのものにダイナミックプライシングが適用されつつあります。

これまでは利用者が旅行を計画する際には

自分好みの旅行をしたいが、交通手段や宿泊施設などはそれぞれ手配するのは面倒
色々考えるの面倒だからパッケージツアーにしたいが、本当はもっと自由度が欲しい
といったように、それぞれに不便が発生していましたが、ダイナミックパッケージの登場により、大きな改善が望めます。旅行者にとってだけでなく、都度都度の最適価格で申し込めることは、旅行業界にとってとても大きなビジネスインパクトが生じます。

私は比較的旅行が好きで国内外問わず出かけることが多いのですが、以前は航空券とホテルを別々に抑えていたため多少手間がかかっていたものが、ダイナミックパッケージのおかげで随分便利に予約できるようになったと実感しています。なおかつ、手間を削減しつつ価格もこれまでと同じく個別で押さえていたものと遜色ない価格で利用できています。

テクノロジーの発展がサービスの進化を支える

2つの変革が起きた背景には、テクノロジーの進化があります。

ダイナミックパッケージの進化を支えたテクノロジーは、APIで各種交通機関や宿泊施設のシステムを結びつける技術や、即座にオンライン画面に結果を反映できるような表示系の技術です。

利用者は今では一つのインターフェースを介して複数のシステムに繋がり、その結果をリアルタイムに見ることが出来るようになっています。これがダイナミックパッケージが普及したひとつの要因です。

そして、ダイナミックプライシングの発展にはAIの技術的進化が大きく影響をしています。

従来はその商品・サービスの人気度や昨年実績などを考慮して値付けがされていました。その為、昨年の販売実績が高かったという理由で高めに設定された価格は、場合によっては価格が原因で売れ残るリスクが存在していました。

ところが、AIの発展に伴いプライシングの要素として出発の期間や在庫状況、市場動向・社会情勢などを変数として加えることが出来るようになり、よりフェアな条件で売り手と買い手を結びつけることが可能になりました。

そのため利用者が一層手軽に、適正価格で旅行を楽しめるようになった背景にはテクノロジーの進化が有り、AIも非常に重要な役割を果たしていると言えます。旅行業界は、実は利用者がAIの恩恵を大きく受けているケースと言えるでしょう。

今後、AIに投入されるデータとして個人の意信用情報などが加われば、キャンセル実績が多い利用者には高めの価格設定をするなども可能になるわけですね。

旅行業界の需要回復が望まれる今だからこそ、テクノロジーの更なる発展が貢献できる余地はまだまだありそうです。
旅行に行く際の消費者としての選択の裏側には、AIが隠れていることに思いをはせてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?