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中殿筋(Gluteus Medius)

今回は骨盤の安定性に関与する、中殿筋について。

バランス機能に関わる筋として有名ですが、
硬くなりやすい筋でもあります。

股関節の外転作用だけでなく、回旋にも関与する中殿筋。

今回はなぜ中殿筋が硬くなりやすいのかも含めて考えていきましょう!

中殿筋の起始停止

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(Visible bodyから引用)

起始:腸骨後面
停止:大腿骨大転子
支配神経:上殿神経L4~S1
作用:股関節の外転・内旋/外旋・屈曲/伸展
(基礎運動学第6版)
起始:腸骨翼の外面、腸骨稜外唇、殿筋筋膜
停止:大腿骨大転子の尖端を被ってその外側面
支配神経:上殿神経L4~S1
作用:大腿を外転、前部だけが働けば大腿を内旋し前方に曲げ、後部だけなら外旋し後方に曲げる
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:前殿筋線と後殿筋線の間の腸骨翼の外表面
停止:腱となって大転子の外方に付着
支配神経:上殿神経L4~S1
作用:股関節外転・内旋・外旋
(オーチスのキネシオロジー第2版)

起始部は腸骨稜に広く付着をもつため、骨盤のアライメントの影響も受けやすい筋といえるでしょう。

筋機能

中殿筋の股関節外転作用は有名ですが、回旋作用は前部線維と後部線維によって変わります。

また、股関節屈曲位になると筋の走行が変わるため内旋作用がほとんどになるという報告もあります。

筋電図による報告では、股関節20°屈曲位での外転では中殿筋の関与が少なくなるとも言われています。

中殿筋をトレーニングするときは股関節中間位か伸展位で行うようにしましょう。


片脚立位時には対側下肢と上半身の重量によって、
支持側の股関節に内転モーメントが作用します。

それに拮抗するように中殿筋が働き、骨盤を水平に保持します。

中殿筋の筋力低下によって骨盤を水平に保持できない状態をトレンデレンブルグ徴候と呼び、その状態での歩容をトレンデレンブルグ歩行と言います。

歩行中に遊脚側に骨盤が下制するとバランスを崩して転倒のリスクも高くなるため、体幹を支持側に倒すことで代償することも多いです。

これを逆トレンデレンブルグ、またはデュシェンヌ徴候と呼びます。


また、変形性膝関節症などと中殿筋の筋力低下も指摘されています。

これは筋力低下が痛みを引き起こすのか、
痛みの結果として筋力低下が起こるのかはまだわかっていません。

ただ、股関節の安定性が低下することで膝へのストレスが増加することは理論的に考えてもわかりやすいと思います。

筋膜連結

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中殿筋は、ラテラル・ライン(LL)に含まれます。

腓骨筋⇒中殿筋、小殿筋、TFL⇒大殿筋⇒外腹斜筋⇒(中略)

長腓骨筋や大殿筋からの影響も受けやすいので、過去の記事も参考にしてみてください。

ここに、中殿筋が硬くなりやすい1つの要因があります。

つまり座っている時間が長い現代人は大殿筋が硬くなりやすく、
筋膜連結を持つ中殿筋も硬くなりやすいという要素もあります。

他にも、ラテラル・ラインは身体の外側の安定性を担っているので、
Knee-inなどのマルアライメントによっても外側の緊張は高くなりやすいです。

中殿筋の周辺組織

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中殿筋は大殿筋の深層、小殿筋や梨状筋の表層にある中間層に存在しています。

また、上殿神経や上殿動脈なども周囲を走行しているので、
触診の際は気をつけましょう。

表層では、大殿筋や大腿筋膜張筋との滑走不全が、
深層では梨状筋や外旋6筋との滑走不全が起こりやすいので丁寧に評価してみましょう。

中殿筋が直接大転子に付着することや、腸脛靭帯との関係からも大転子拘縮との関係も深いと考えられます。

股関節屈曲時に外側の緊張が高まる場合や、
内転制限がある場合にも中殿筋は要チェックポイントです。


ラテラル・ラインの硬さ、骨盤のアライメント不良による硬さ、周囲の筋との滑走不全、骨盤や股関節が不安定なことによる硬さなど、非常に硬くなりやすい筋の1つです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

骨盤に付着しているため骨盤のアライメントにも直接的にかかわる中殿筋。

実際のスポーツ場面では内転筋や外旋筋などの股関節周囲筋と共同して股関節の運動に関与します。

全体から考える前に、まずは1つ1つの筋について丁寧に整理しておきましょう。

それではまた来週!

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