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祖父と私はサバイバルを嗜む

山形県の郷土料理に「ひっぱりうどん」がある。B級グルメとしても紹介される。

茹で上がった乾麺を各々がすくい上げ、タレにつけて食べる。タレは、納豆やサバ缶をただただ器に放り込んで作る。

この料理には、山形県の名産品は使われていない。使われているのは乾麺、納豆、サバ缶。主に保存食だ。

冬を越すため、嗜好ではなく必要から産まれた料理なのだろう。まさに郷土が産んだ料理。そしてB級。

私の祖父は、ひっぱりうどんが好物だった。近所には年中無休のスーパーがある。もはや鮮魚も生野菜もいつでも買える。

それでも祖父はひっぱりうどんを所望し、喉鼓まで鳴らしている。

「必要」から産まれた料理を「嗜好」として楽しんでいる。冬にアイスを食べるような贅沢だ。

私といえば、一人暮らしのとき「必要」からひっぱりうどんを食べていた。調理の手間がなくて楽だった。

そんな私もひっぱりうどんが好物なので、祖父の気持ちはよくわかる。

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