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リスクを取るとは言うけれど

おはようございます。

リスクを取ろう!

何もしないことがリスクだ!
という言い方が経済界では主流です。

その考え方に私は一票です。

ただ、その背景を知っておくことは大切です。

経済界は株式会社を軸に展開されています。
株式会社は株主が出す
お金(=株式・資本金)で
開始されます。

そして、仮に事業が失敗したら倒産となります。
ただし、株主は出したお金以上の損失を
補填する必要はありません。

例えば、100万円のお金を出して、
1000万円の損失を出しても、
株主は100万円の株式が紙くずとなる
以上の損は負いません。

専門的には株主の有限責任と言います。
この責任が有限であるのだから、
何を恐れている、リスクを取って勝負しろ
となるわけです。

東京電力は原子力発電所の事故で、
莫大な損害を福島周辺にもたらしました。
しかし、東京電力の株を持っている人は、
株価が下がる損害は受けましたが、
それ以上の損害は受けていません。
そればかりではなく、株を買ったからと言って、
事故が自身の責任だとまで思っている人は
皆無でしょう。

それが、株式会社です。

だからこそ、リスクを取って、
宇宙にロケットを飛ばすこともできるのです。

株式会社にも、
コインの表裏、長所と短所があるのです。

一方で、医療はどうでしょうか。

チャレンジして、失敗したら大変です。
やったこともない思い付きの手術で
命を落としたら取り返しがつきません。
病院が倒産して済む話ではありません。

ですから、医療界では、
経済界のようなリスクは取れないのです。

医療技術の先端を開拓するには、
治験という、人体での開発実験は、
様々なルールがあって、
専門家が認めるやり方でなければ
実施できません。
リスクを取るにはそれなりの資格がいります。

リスクを簡単に取れない分野は他にもあります。

教育もそうです。
新しいチャレンジングな教育方法を試して、
失敗したけどごめんねと子供には言えません。

国の安全や街の安全もそうです。
気合で戦争したり、
勇み足で逮捕されたりしたのでは
たまったものではありません。

社会のインフラという
共同体の全員が
等しく享受すべき生活の基盤は、
リスクにさらすわけにはいかないのです。

どのようなものが社会のインフラかと言えば、
難民キャンプを思い浮かべて、
皆がその地で生活を始めようとしたときに、
まず初めにそろえるものです。

水の確保、食糧の確保、住む場所の確保、
治安のための警察、諍いを仲裁する裁判所、
子供たちに勉強を教える学校、
病気を治す病院などです。

こうした社会インフラは、
株式会社のように
リスクを取るわけにはいきません。
保守的に運営しなければなりません。

世の中には、
経済運営のようにいかない部分があることに、
経済人は意識的でありたい。

そして、経済界の中では、
縦横無尽にリスクを取って
チャレンジを恐れずに活動したい。

自身の経済活動ではリスクを取らずに
既得権益にしがみつき、
社会のインフラ分野に
リスクを取れとけしかけるような
経済人にはなりたくない。

今日もよろしくお願いします。

安島

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