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歌謡曲レコード その3 アワーコネクション(77)/いしだあゆみ DJやHIPHOPファンにも大ウケ必至!歌謡史に惨然と輝く歌謡的ソウルロックの金字塔!

いしだあゆみがティンパンアレイとタッグを組んだ歌謡史に残る金字塔といえばこの「アワーコネクション」。

キャラメルママ名義で74年に雪村いづみとタッグを組んだアルバム「スーパージェネレイション」でのセンセーショナルなプロデュースワークも十分当時の歌謡界にとっては問題作であっただろうし、いまだにそうであろうと思う。いしだあゆみとティンパンアレイとの馴れ初めは定かではないが、雪村いづみとの系譜を継いだ第二弾的な位置づけかと思いきや、「スーパー〜」が戦前戦後の流行歌からのトリビュート的な選曲だったのに対し、いしだあゆみのこれは完全オリジナルのソングブックになっている。フレンチ・ソフトロックやシャンソンといったヨーロッパの風味や苦みを感じさせる味わい深い楽曲に、いしだあゆみのアンニュイな歌唱とたたずまいが見事にマッチしている。

ヨーロッパの雰囲気がある中でも、シャーデーやアニタベイカーあたりが好きな人にもきっとすんなり受け入れられるだろうし、エリカバドゥやアリーシャキーズなどが好きなR&B・HIPHOP好きな人にも馴染みやすくなっていると思う。それほどグルーヴ感がたまらなく全体を支配し、心と体に染み入り、こびり付いてモゾモゾしてくるのだ。そしてラテン色も濃厚!バラエティに富んだ音楽のおもちゃ箱のようで、一度ハマると永遠となることは必至である。

ティンパンアレイはロックのジャンルになるんだろうけど、これは完全にブラックミュージックと言ってしまう方がしっくりくる。

ドのつく歌謡曲を歌ってきた いしだあゆみにとってもこのコラボレーションはキャリア上重要な転換期だとして臨んだに違いないだろうし、商業的に成功して新たなシンガーとしての可能性に期待してたんじゃないかなと思う。それくらいもの凄い才能が結集した出来の良過ぎるほどの密度の濃さで、ミュージシャンの勢いと集中力が詰まった作品として日本の歌謡史に特異で必然な1枚として存在しているに違いない。いま聞いても古さを全く感じさせない、時間が止まったような不思議な感覚はちょっと他にはない現体験になるのではないだろうか。

いしだあゆみは、作家の琴線に触れまくる歌手であったのか、作品に恵まれていると思っていたけれど、この1枚は本当にクオリティが別格である。

生意気ながらいわせてもらえれば、よくぞこんなアルバムを作ってくれたという思いでいっぱいになる。レコードは案の定市場ではかなり高値がついている。自分の納得のいく価格で見つけた時、それは必然なる出会いであると言い切れるので、是非にとも手にしていただきたい。ひとりでも多く、この名盤のファンが増えればいいと願っている。

そして贅沢をいわせてもらえるなら、いまのいしだあゆみに是非ともこのアルバムからの曲を披露してもらいたい。全曲再現コンサートとかあったら震えが止まらないかもしれない。

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