90年代の音楽を知らないアナタへ その15 BUTTERFLY(97)/MARIAH CAREY 身も心も女になったマライアの最高傑作
ファーストシングル「HONEY」はポップフォールドに、R&Bとヒップホップの要素をブレンドした当時としては新しいタイプの音楽として業界に一石を投じたボムソングとして、マライアのキャリアの中でも重要な1曲。「IT'S JUST LIKE HONEY WHEN YOUR LOVE COMES OVER ME」なんてかなりエロい歌詞。これまでここまで露骨な歌詞はあまり目立ってなかったが、「新しいマライア」を訴えるにはこれ以上ないほどのシフトチェンジになっている。サンプリングはWORLD FAMOUS SUPREME TEAMの「HEY DJ」。電子ピアノによるキュートなイントロとサビコーラスの要素ほぼそのまんま使われていてる。もろにヒップホップな歌をここまでマライア流に料理できたってことも、かなりのセンスとチョイスのマニアックさが凄い。プロデュースはショーン・パティ・コムズとマライア。今でもライブで必ずと言っていいほど歌われている。
2曲目はアルバムタイトルにもなっている「BUTTERFLY」。マライアはことあるごとにバタフライを自分のシンボルに使っているけど、そのはじまりがまさにこのアルバムであり、この曲。「SPREAD YOUR WINGS TO FLY MY BUTTERFLY」という歌詞から、彼女の決意や新たな世界へ飛び立つ意志が垣間見えるコンセプトを汲んだ1曲。荘厳なバラードで、キーがあちこち飛ぶので歌うのめちゃ辛そう。今となってはもはやフルで歌えないと思う。残念だけど。
3曲目は「HONEY」に次いで全米1位になった「MY ALL」。正直この曲が1位になるなんて思ってなかった。歌そのものが良いのは当然だけど、かなり地味。でもプロモーション勝ちというか、積極的にメディアに出て歌ってたし、ラジオフレンドリーなマイナーキーソングということもあり見事トップに。今でもライブで必ず歌われる名曲。ファンじゃない人も大好きなんじゃないかな。
4曲目は「THE ROOF」。これはマライアの歌の中でもトップに入る名曲と思っている。アルバムの中では地味だけど、アンダーグラウンドな音と歌詞、ムーディなPVは今みても格好良い。サンプリングは、これまたヒップホップの伝説的曲として歴史に残っているモブディープの「SHOOK ONES PART II」。当時リアルタイムでヒットしていたけど、取り入れるの早すぎ!?って思うくらい早くてびっくりした。フックはそのまま使われているし、あのヤバいサウンドもそのまま使われている。とにかくクール。クール。クール。
その16に続く
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