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新作 「冷光」 発表のお知らせ(一部追記)

 ・・・といっても、次作長編出版の告知ではございません(笑

 この一年いろいろありまして、実は肝心の執筆のほうをかなりサボっていたのですが、このたび誠に良い機会があり、短編ではありますが、新作を発表させていただきました。


 7月20日(水曜)発売、インディーズ系の電子版文芸誌「BEKKO」の時代小説増刊号の巻頭に、新作「冷光」掲載の運びとなりました。

BEKKO時代小説増刊 (BEKKO BOOKS)

 私にしては、かなり静かな印象の作品だと思います。なにしろとても文芸寄りの掲載誌なので、他の実力派執筆陣に埋もれてしまわぬよう、一生懸命、そちらに寄せて書きました。

 内容は・・・有名な厳島合戦の一年ほど前、大内氏に対する毛利氏の造反により、否応なく戦火に巻き込まれる山里の武装集落の一揆と、その終焉とを描いたものです(実際にあった事件です)。

 戦国史に詳しい方なら、「折敷畑の合戦」と書くと、ピンとくるかもしれませんね・・・これは、山上に陣取った敵軍六千を、麓から攻め寄せた毛利軍三千が撃滅したと伝わる、およそ戦理にあわぬ不思議な合戦なのですが(注:最近の研究では、実は兵力は毛利優位だったとも)、とにかくその合戦絡みで有名なものに、山麓の蛍の光が消えるのに気付いた知将・毛利元就が、敵の奇襲を察知し未然にこれを防いだ、という逸話があります。

 もちろん、かなり後付けで中国古典から引っ張ってこられたような匂いがプンプンするエピソードなのですが(笑)、本作は、このネタを逆手にとって、そのとき蛍光のたもとに居た敵兵の運命を描いています。


 幸いなことに、掲載誌の編集長や、先んじてお読みいただいた地元の歴史研究者の方などには、とても高い評価をいただいております!

 私は現地(広島県廿日市市)近くの海岸線を歩いたことはあるのですが、物語の舞台となる山間地域に行ったことはありません。しかし先日、地元のネットラジオ番組に出演させていただき、そのメインパーソナリティ、名越さんのご一族に様々なご協力を賜ることができました。ここに改めて深く御礼申し上げます。

 やっぱ、地元の土地勘や情報って大事ですね!


 ちなみに、他の掲載3作とも実力者の筆による素晴らしい力作揃い。従来の王道史観に沿ったソリッドな関ヶ原モノ「鬼、前へ」、とにかくシュールな戦国独自世界が展開される「落城」、捻って捩ったようなスリリングな情念時代劇「ひとり道行」など、飽きることなく読めると思います!!

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