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本業で勝負することが理想

15年ほど前、つまりワインツーリズムという地域活性化事業を夢中でやっていた頃、よく投げかけられた質問がある。
「笹本さんの本業はなんですか?」
もし、あなたがこの質問をされたら、「自分は半分バカにされている」と思った方がいい。考えてみて欲しい。他人が何を夢中でやっている姿を見て、その人にこの質問をするということは、「それだけで食っているのかどうか、疑わしいなぁ」と映ったときである。怪しいのだ。この「食っているかどうか」は、日本人が人を判断するときに、非常に重要な要素となる。それは、本気なのか?趣味なのか?つまりその人の信頼度を見極めるときの判断だ。
ただ、なかなか食っていけない本業だって存在する。例えば音楽や映画、つまりアート・芸術のしごと、または工芸のようなしごと。でも、バイトや家業をしながら創作活動を続ける彼ら・彼女らに対して、人は「本業はなに?」とは問わないし、バイトしていると知っても、それは「本業のためのバイト」だと思うだろう。従って、「本業=食っている」ではない。「本業=本気のしごと」だ。ただし、「本業で食っている」のは多くの日本人にとって普通で分かりやすい状態(人生)であり、ほとんどの本業がこれに当てはまる。「食っていけない本業」を続けるのは辛い。それでもやり続けるためには普通の人生を犠牲にするしかない。

15年前の私の場合、家業の自動車修理工場の経営をしながら「ワインツーリズム運動」を主導していた。家業で食っていきながら地域活性化運動に夢中になって、メディアに頻繁に出たり、全国各地で講演会に呼ばれていた。そんな私の講演会の質問コーナーで、必ずと言っていいほど「笹本さんの本業はなんですか?」と聞かれた。私は不思議でならなかった。これだけ一生懸命活動して、成功して、ここでこうして説得力ある話ができているのに、いずれは家業を辞めてワインツーリズムで食っていくつもりでいるのに、どうしておれに冷や水浴びせるんだ? おれのこの活動は趣味のように映っているのか? 
そして私はこう答えた。「実は私の生活は、ワインのようなアルコールとは正反対の自動車関連のしごとで成り立っています。ただ、いずれはワインツーリズムを本業にしていけるように旅行会社を立ち上げて準備をしています」と。しかし、その後の統一地方選挙に立候補して次点となり、旅行会社も閉じた。つまり、食うために選挙に出て失敗し、食えない本業を続けられずに投げ出した、と世間に映っても仕方がない。

だから、この延長線上に私のこれからの人生を置きたくなかった。一度全てをリセットして、とにかく「食っていける本業」を持つ。そして、せっかく一から始めるんだから、本業と地域貢献を分けるのではなく、最初から「本業=地域貢献」と決めて始めよう。
そして試行錯誤と紆余曲折の末に、現在のペレットストーブ事業を柱にしたstudio pelletのしごとが、私の本業になっている。ようやく全面的に勝負できる体制が整ってきた。本業を聞かれることもなくなった。理想に少し近づいてきた。

noteでは、これまでどちらかと言うと過去のことや、過去から現在に至るまでの話が多かった。そこで、今回は過去ではなく、現在進行しているしごとのことを書こうと思う。過去の反省から得た学びが、本当に今のしごとで実現できているのか? 本当の勝負だと思っている。ようやく勝負できている。しかし、これは遅いのか? かっこいいこと言って、その勢いで突き進むことはできる。ただ、その先に待ち構えている現実がある。実態がある。そこで立ち止まって考える。そして次の試みがあって、また現実。これの繰り返し。

以下に私の本業中の本業「ペレットストーブ事業」に関する原稿を掲載する。これは7年前に作った当社のホームページの内容を全面的に更新するために、先日書いたものだ。現在の私の具体的な勝負のカタチだ。


studio pelletのしごと | ペレットストーブについて

『私たちは「地域のつながり」を生かしあい、豊かで自立した地域社会を共につくります』

当社の経営理念です。しごとをとおして地域の多くの人々と信頼関係でつながれたら、この地域に今よりも豊かさを感じられ、今よりも誇りを感じられ、もっと自由で自立した地域社会になるんじゃないか。そんな想いを表現した理念です。

ペレットストーブのしごとは、この理念のために重要な私たちの試みです。なぜなら、このしごとは、ペレットストーブを設置して終わりではないからです。もちろん機種の選定から配管方法の検討など、私たちとお客様との親身な話し合いが大切なのは言うまでもありません。ただ、ペレットストーブは壊れたら買い替えの使い捨てストーブではありません。スイッチ押すだけお手入れ不要の簡単ストーブでもありません。1週間に1〜2回の灰取りお手入れや年1 回の有料メンテナンス作業が必要です。消耗品の交換やエラー表示が出た時の対処が必要になることもあります。燃料の供給インフラの整備も必要です。そうやってペレットストーブ設置後も、お客様の冬の生活を10〜20年お支えすることになるのが、このしごとです。

そしてこのしごとをやり抜くためには、たくさんの方々との協力体制が必要です。ストーブと燃料のメーカーさんと、地域の工務店さんや設備屋さんや設計事務所さんと、燃料の取扱店さんと。そんな方々との信頼関係のおかげで、お客様ひとりひとりと私たちとの信頼関係を守っていけたなら、「豊かで自立した地域社会」が感じられるんじゃないかって、思っています。

ショールームについて
studio pelletにて10台以上のペレットストーブを一年中ご覧いただけます。カフェを併設していますので、買う・買わないはともかく「ちょっと見てみたい」という方でも、コーヒーやジェラートを楽しみがてら、どうぞお越しください。

冬には4台のストーブで室内を暖めているので、実際の暖かさや炎の様子などを体感できます。もちろん夏でもご希望があれば点火してストーブの仕組みをご説明します。

ペレットストーブについて、ネット上の情報や専門家ではない方々の意見など、さまざまな情報がありますが、それでは良し悪しの判断はできません。お手数でも一度ショールームまでお越しいただき、住宅のこと、エリアのこと、デザインのこと、配管のこと、生活スタイルのこと等、ペレットストーブの前で詳しくお聞かせください。

ご提案〜お見積について
ペレットストーブの新築時の導入であれば図面をもとに、リフォーム時の導入や既築の建物への導入であれば実際に現場を見てから、以下の「5つの品質の柱」に則って最善のご提案をします。

  1. ストーブ品質 効率・耐久性・手入れしやすさ・メーカーの信頼性・使いやすさ・デザイン

  2. ペレット品質 ストーブ品質を発揮する認証ペレットと購入方法

  3. 施工品質 安全に効率よく使うための配管・負圧対策・ストーブ配置

  4. 正しい使い方 正しい知識と習慣

  5. メンテナンス品質 長く安全に使うためのアフターサービス体制

具体的なストーブ配置や煙突配管のイメージについては、「ペレットストーブ導入実績」を解説しながらご理解いただきます。その上でご提案内容に則したお見積書をご提出します。

設置工事〜取扱説明について
お見積書の内容をご了承いただきましたら、ペレットストーブ本体とオプション、煙突配管方法を確定し、本体と必要部材の確保と設置工事の準備を始めます。特に設置工事に関しては、ハウスメーカーさんや工務店さん、設計事務所さんとも情報交換をしながら、慎重に対応します。

計画通りの設置工事が終わりましたら、お客様と日程調整して取扱説明に伺います。1時間ほどいただいて操作方法、トラブル時の対処方法、週に1〜2回の灰取り専用掃除機を使用したお手入れ方法、年1回の有料メンテナンスの時期など、正しい知識と習慣をご説明します。

アフターサービスについて
お客様と私たちとの真のお付き合いは、ペレットストーブを設置してから始まります。「5つの品質の柱」に則って設置したペレットストーブを安全に効果的に長年ご使用いただくために、私たちは地域の方々とアフターサービス体制をつくっています。

  1. ペレット(燃料)の安定供給
    ぺレットの質と量の両立が私たちの使命です。国産の高品質ペレット「ALPHAペレット」を独自銘柄としてシーズン必要数量確保し、山梨県内10の取扱店のご協力のもと販売しています。

  2. 日常の相談窓口
    日常的に使用していて、着火しない、いつもと燃え方が違う、煙突が詰まった、エラー表示が出て止まってしまったなど、気がつくことがあったら電話・メール・LINEでご連絡ください。できればその日のうちに、無理なら次の日に、対応します。

  3. 年1回の有料メンテナンス作業
    ペレットストーブを安全に効果的に長年ご使用いただくために、年1回の専門スタッフによるメンテナンス作業が必要です。1台当たり2〜4時間ほどかけて、煙突内にたまった灰や煤をブラッシングし、ストーブ内部にたまった灰や煤や埃を分解掃除します。また機種によっては運転時間・着火回数・エラー回数と発生時刻などを記録しているので、お客様ごとの使用状況を管理します。

この通り重要なメンテナンス作業ですから、毎年春になったらお客様に「メンテナンスおよび点検作業」依頼表を郵送します。こちらのQRコードを読み取って申し込みフォームからご希望日時と質問や相談事項を記入していただき、作業日時の調整ができたらメンテナンス作業の当日を迎えます。

販売エリアについて
私たちがペレットストーブを販売・設置するエリアは、山梨県全域と長野県中部の一部に限定しています。設置後のアフターサービスに私たちが責任を持って対応できるエリアに限定しています。具体的には、当社から車で1時間半以内に行けるエリアが基準です。詳しくはお問い合わせください。

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