「成長する上場企業の組織論、独自の人事評価」株式会社ビジョン 代表取締役兼CEO 佐野健一氏 前編 経営者の輪 財部誠一

海外旅行に行った時に“グローバルWiFi”のお世話になった日本人は少なくないだろう。インバウンドの外国人も“グローバルWIFi”にどれだけ助けられたかわからない。
このサービスを提供してきたのが(株)ビジョンだ。
言うまでもなくコロナ禍でグローバルWiFi事業は瞬殺。年率22%平均で成長してきたスタートアップが危機に直面した。だがビジョンの佐野健一社長は意気軒高だ。理由のひとつはビジョン独自の営業管理にある。部署ごとに競い合う昭和的な競争原理は一切捨てた。部署間が連携して協力しあう協調原理でビジョンは動いている。
「一人の営業マンが商材を販売して終わりなら、プロセスコストが高い。しかし他部署の営業マンが別の商材を同じお客様に提供できれば契約コストは圧倒的に下ります。結果、お客様へ価格をおさえて提供できる」と佐野さんは言う。営業マン一人あたりの生産性アップに直結するが、そこで問われるのは人事評価だ。理屈だけでは本当の協調など生まれるわけがない。
「そこがポイント。ビジョンは他部署に顧客を紹介して成約となった時には、紹介した側された側、双方に50%ずつ評価がつく」
自律・分散・協調型の組織運営がシステムとして定着しているのだ。まだ苦戦が続くグローバルWiFi事業を全社でカバーしようという大きなムーブメントが生まれている。
なにかロールモデルがあったのか、佐野さんに尋ねた。
「何もなかった。すべて社員と話し合いながら創ってきた。いまは競争ではなく協調の時代。それが体現している」
迷いなき経営に惚れ惚れする。

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