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リニア中央新幹線

 この本は、リニア中央新幹線の反対派の意見を中心にした内容です。

ストロー現象

 新幹線が開通すると、よく言われます。在来線特急や高速道路とは異次元の高速性とその圧倒的な輸送力から地方の人が大都市に向け、移住や移動をします。地方の過疎化に拍車をかけたといわれています。ただ、リニアによってストロー現象をこうむるのは名古屋都市圏のみだと考えられます。名古屋駅から品川駅は1時間半が40分になるのでその速度は所要時間が半分になります。後述するように関西圏はストロー現象はそれほど見られないと思います。

リニアの電力問題

 これは、厳しいですね。特に、原発ありきの計画だったという事は今の日本ではかなり厳しいといわざるを得ないですね。昨今のエネルギー供給に対しては、寒冷期・猛暑期には電力需要が逼迫するにも関わらずです。SDGsを叫ばれる昨今、省エネと反した技術は積極的に活用すべきではないと感じます。

高速性に疑問

 確かに、当初の品川~名古屋間での開業でおよそ40分で結ぶことができます。そして、大阪~東京が必ず名古屋で乗り換えが生じるというのはかなり痛手だと思います。名古屋駅の新幹線ホームからリニアのホームまでかなりの上下動が発生するようです。時間としては10分近くかかるものと思われます。そうすると、リニアと新幹線の乗り継ぎで1時間50分くらいはかかるものと思われます。あくまで品川~新大阪で想定しての話です。現状では最速2時間15分程度なので、25分程しか速くなりません。まして、東京駅などからは、東海道新幹線なら直通ですが、リニアは乗り換えが生じるので更なる所要時間差は縮まります。

輸送力に疑問

 東海道新幹線の輸送力は圧倒的で「のぞみ」12本、「ひかり」2本、「こだま」2本という設定ができるようになっています。しかも、1列車当たり1323名の定員の列車です。片道1時間で2万人以上運べるという(しかも定員乗車で)おそるべき力です。おそらくリニアはそれを補完するほどの輸送力を持たすことは不可能でしょう。

需要に疑問

 特に、東海道新幹線の最大の顧客といえるべき出張需要が大きく落ち込んでいる昨今、かなり厳しい状況です。確かに連休をはじめとする日本の盆・暮れ・正月には大混雑を呈することは必至です。ただ、これはホントに一時的でほんの数日しかも、混雑する方向も偏っている傾向が見られるのです。

資金調達に暗雲

 ここ数年、感染症が流行するとともにJR東海は売上を大きく落とし巨額の赤字を出しています。これで、本当に破格のビッグプロジェクトのリニア建設費を賄えるのでしょうか。かなり疑問です。

私なりの提案

 もし、このプロジェクトを止められないとするならばリニア中央新幹線の施設を使って通常の新幹線を走らせては?と思います。この設備なら最高速度500km/hは無理でも現状の東北新幹線での最高速度320km/hをこえることはできると思います。今の技術で360km/hで走行もできるのではと思います。そうすると、名古屋駅での乗り換え時間の大半を帳消しにできるくらいの所要時間になると思います。

 このようなプロジェクトは新しい技術を導入することが目的であってはならないと思います。地点から地点をいかに早く(速くではなく)結ぶかという視点で考えたらなと思います。

 もし、プロジェクトを止めることができるなら東海道新幹線の運賃・料金を流動的にしてほしいと思います。いくら鉄道がエコといえども空席で何本も走らせるのはもったいないですし、資源の無駄遣いです。そこで、大規模にダイナミック・プライシングを取り入れ繁忙期と閑散期の混雑状況を平準化してはと思います。そうすると、現在、深刻な混雑の帰省ラッシュは幾分改善するのではないかと思います。

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