高埜 志保

季節のうつろいや物語性を感じさせる表現を目指して、休日に写真を撮っています。

高埜 志保

季節のうつろいや物語性を感じさせる表現を目指して、休日に写真を撮っています。

マガジン

  • 季節は巡り、そして私たちはまた光を追いかける

    2021年2月26日〜3月14日に開催する三浦えりさんとのオンライン写真展「季節は巡り、そして私たちはまた光を追いかける」について、2人の言葉の記録をまとめます。

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国家公務員を退職します

この度、国家公務員を退職することになりました。 驚かれた方も多いと思います。本業と写真活動を両立している姿に励まされてきたのに、と、少なからず残念な気持ちにさせてしまった方もいるかもしれません。 ここでは、国家公務員を目指す方や、趣味と仕事の両立に悩まれている方にとって少しでも参考になればという願いのもと、私が国家公務員を退職するに至った理由と、今後の写真活動について、文章を綴ることにします。 はじめに 前提として、ここに記載するのは、あくまで私が所属していた省庁・部

    • ひとりきりという贅沢。淡路島&徳島旅行記

      2022年の夏に国家公務員を退職し、晴れて写真を仕事にできる環境を手に入れた私ですが、転職・写真展・資格試験の受験・結婚式・家の購入と引越しなどの大きなイベントが立て続けにあったため、写真の仕事に本腰を入れて取り組めない時期が長く続いていました。 やっと生活が落ち着いた今年の1月から、本格的に兼業写真家として活動を始めています。 今は、平日は本業の会社員としての仕事に従事し、休日は撮影の仕事に費やすというライフサイクルが定着しつつあり、忙しくも充実した日々を過ごさせていただい

      • 私に影響を与えた写真家を紹介します。

        「好きな写真家は誰ですか?」 これは、写真家の間でよく交わされる質問だ。 相手が誰の撮った写真を、どのような理由で好きだと感じているのかを知ることで、その人が写真を撮る上で大切にしている核の部分が自ずと見えてくる気がする。 私も、写真好きな友人やクライアントから、そしてインタビューの場に至るまで、何度もこの問いを投げかけられたことがある。 そして、その度に複数の写真家が頭に浮かび、どう答えるべきか頭を悩ませてしまう。 ちょうど1年前に、好きな本を紹介する記事をnoteに書い

        • 「女っていいよね」と言われ続けてきた写真家が、久しぶりにざわつく心と向き合った

          先日、フォローしている写真家さんのnoteを読んでから、ずっと心がざわついている。 彼女の、真摯に言葉を選びながら紡ぐ文章と、日常を愛おしむまなざしが伝わってくるような写真が好きで、いつもnoteが更新されるのを楽しみにしていた。 けれど、今回公開されたnoteはいつものnoteとは違っていて、傷口が乾かないままの心から溢れ出る感情が滔々と綴られており、ひりひりとした切迫感が伝わってきた。 その発言をしたとされる男性は私も知っている方だが、本当に彼女のことを指しての発言な

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        国家公務員を退職します

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        • 季節は巡り、そして私たちはまた光を追いかける
          3本

        記事

          借り物ではない、自分の言葉で語りたい

          秋と冬のはざまの、穏やかな休日。 約1ヶ月間に渡って苦しめられてきた後頭神経痛がだいぶ和らいだため、東京の一番西のあたりまで、カメラを持ってお出かけした。 約9か月前に訪れたお気に入りの場所、もともと旅館だった場所が美術館として生まれ変わった「河鹿園」。 この季節に足を踏み入れるのは初めてだったのだが、建物に入った私を出迎えてくれた光景に息を呑んだ。 窓の向こう側で風に揺れる紅葉、畳に落ちる木漏れ日、光と影が織りなす模様が広がるカーテン。 「美しい」では言い表せないほど、視

          借り物ではない、自分の言葉で語りたい

          こんなはずではなかった。首のコルセットと鎮痛剤が手放せない今の現状。

          10月29日、日曜日の明け方。 今頃私は、長い付き合いのあるモデルさんと一緒に、琵琶湖のほとりで作品撮りをしているはずだった。 それなのに、実際の私は薄暗く散らかった部屋で、首にコルセットを巻きながら痛みに唸っている。 叩きつけるようにキーボードを打つ両手の傍には、ロキソニンSプレミアムの抜け殻が散乱している。 こんなはずではなかったのに。 どうしてこんなことになってしまったのか、順を追って筆を進めていきたい。 事の経緯 最初に首の違和感を覚えたのは、4日前(木曜日)の

          こんなはずではなかった。首のコルセットと鎮痛剤が手放せない今の現状。

          国家公務員を退職し、兼業写真家になって丸一年が経ちました。

          去年の8月末に国家公務員を退職してから、ちょうど1年が経ちました。 その時、ご報告という形で執筆したnote記事には、現職の国家公務員や国会議員の方々をはじめ、大変多くの方から反響をいただくことができました。 ただ、退職後のその後、私がどのように生活をして、どんなことを考えているのかについては、あまり発信ができていなかったと自覚しています。 退職して約1ヶ月後、写真展の振り返りも兼ねて書いた「国家公務員を退職してからの実際のところ」という題のnoteでは、「今のところ、

          国家公務員を退職し、兼業写真家になって丸一年が経ちました。

          ことばが思考に与える影響と、鑑賞者に解釈の余地を残す写真表現について

          京都への旅の途中で、今井むつみさんの「ことばと思考」という本に出会った。 「異なる言語を使用する人は、世界を異なる仕方で見ているのか」というこれまでに何度も論じられてきた問いを、いくつかの実験結果を紹介しつつ、科学的なアプローチから再検討した一冊である。 (以下に綴るのは本書を読んで私なりに解釈した内容であり、今井さんの意図とは異なる可能性がある旨を予めご了承願いたい。) 外国語を学習した方なら実感されると思うが、母語で当たり前のように使用している単語を外国語にそのまま訳そ

          ことばが思考に与える影響と、鑑賞者に解釈の余地を残す写真表現について

          和洋の魅力を併せ持つ貸切宿で、山梨のワインと15年来の友情に酔いしれた旅

          体が溶けてしまいそうな猛暑の日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私はここ1ヶ月ほどで、週末は山梨(2回)、千葉、福島に足を運び、また、最近は花火撮影が立て続いたこともあって目まぐるしい毎日を過ごしてます。 そして、今は京都での撮影を終え、灼熱の太陽から逃げるようにホテルに引き上げてこの記事を書いています。 通常の夏もそうなのですが、今年の夏は特に日常が戻ってきたということもあり、街も人もギラギラと落ち着かない様子です。 そんな熱気にあてられ、この夏を全力で楽しま

          和洋の魅力を併せ持つ貸切宿で、山梨のワインと15年来の友情に酔いしれた旅

          日記を通じて自分と向き合うことで、言葉と心を守ることができるようになった

          3ヶ月くらい前から、日記をつけている。 誰にも急かされることもなく、期待されることもなく、ただ気の向いた時に、心の赴くままに文字を綴る。 こんな体験がいかに贅沢なものであったのかを、私は忘れかけていたのだと実感している。 文章を書くことは幼い頃から好きで、よく読んでいた童話を真似て短い物語を書き散らしていた。 それから、少し長めの小説、そしてギターの音色にのせた歌詞と、形は変われど、言葉を編み出すことの喜びは常に私の隣にあった。 当時は、「自分を表現すること」がペンを走らせ

          日記を通じて自分と向き合うことで、言葉と心を守ることができるようになった

          レコードにクリームソーダに手持ち花火に。昭和レトロな雰囲気に浸れる古民家宿

          私のnoteを読んでくださっている方は、私が古民家宿るうふさんの大ファンだということをよくご存じなのではないかと思います。 初めてるうふさんを訪れたのが、2年前の夏。 古民家宿とはまた別に運営されているキャンプ施設に足を運んだのが、るうふさんとの出会いのきっかけとなりました。 それからは、仲の良いモデルさんと一緒に、撮影がてら宿泊させていただいたほか、 周りの人を意識せず気兼ねなく過ごし、なおかつ大好きなお酒を存分に楽しめるので、夫との旅行ではよく利用させていただいてい

          レコードにクリームソーダに手持ち花火に。昭和レトロな雰囲気に浸れる古民家宿

          5月の緑に生きる力を分けてもらった休日

          皆様、今年のGWはどのように過ごしましたか? 行動制限が大幅に緩和されたこともあり、多くの方がお出かけを楽しまれた一方で、のんびりと自宅で過ごした方も、社会活動を支えるためにお仕事に励まれた方もいらっしゃることでしょう。 私は、自然と触れ合う日々を過ごしていました。 実はGW前の数週間、心が悲鳴を上げながらなんとか日々を過ごしているような状態でした。 色々と要因はあるのですが、信頼していた方の行動に矛盾を感じ、不信感を抱いてしまうような出来事が立て続けに起きたことが大きかっ

          5月の緑に生きる力を分けてもらった休日

          桜満開の尾道は、「好き」との出会いで溢れていました。

          新緑の美しい季節の訪れを感じる日々ですね。 もう遠い昔のようにも感じられてしまうのですが、今月の上旬に、桜が咲き誇る春の尾道を訪れた思い出を書き留めようと思います。 朝早い飛行機に乗るため、まだ薄暗いうちから空港に向けて出発しました。 夫が運転する車の中で、太陽が昇る瞬間を目にすることができ、良い旅になりそうな予感に胸が高鳴ります。 空港で夫と別れ、美味しい朝ごはんがいただけると評判のHitoshinayaにて、お粥御膳をいただきました。 旅行への期待感と緊張であまり眠れ

          桜満開の尾道は、「好き」との出会いで溢れていました。

          エホバの証人2世として育てられた私が、今伝えたいこと。

          私は、エホバの証人の2世として育てられました。 このことは、今までに一度も公言したことがありません。 宗教2世であることまでは、去年の秋に書いたこの記事で明かしているのですが、具体的な宗教の名前について言及するのは、これが初めてです。 私がnoteを始めたとき、いつかはこのことを書こう、と決めていました。 宗教2世であるという事実は、今の自分を形成している核のようなもので、価値観や考え方、そして作品としての写真にも、その影響は色濃く表れています。 宗教2世という属性を抜きに

          エホバの証人2世として育てられた私が、今伝えたいこと。

          江戸時代から伝わる伝統的な藍に触れて

          先日、三重県いなべ市にある藍染工房∞伊勢藍さんに伺い、 染師修行中の神野さんが布を染色されているところを撮影させていただきました。 神野さんは元々舞台俳優としてご活躍されており、約1年前には、とても大切で思い出深い作品撮りに出演いただくといったご縁がありました。 そんな神野さんは今、将来的には都内で自身の工房を設けることを目標に、日々藍染めの修行に励まれています。 撮影前の車の中でお話を聞かせていただいたのですが、伊勢藍さんは、江戸時代から伝わる伝統的な「灰汁発酵建て」

          江戸時代から伝わる伝統的な藍に触れて

          長い時間をかけてじわりと効いてくる、私の好きな本を紹介します

          私は本を読むことが好きだ。 特に前職を退職して時間に比較的余裕ができるようになってからは、月に4〜5冊は読んでいる。 自分自身、幼い頃から童話、小説、詩、短歌、歌詞、エッセイなど、文章を書くことが趣味で、今でもずっと続けている。 長めの文章を書いていると、普段の生活の中でも執筆のアイデアを探したり、一度書いた文章の細かな言い回しに思い悩んだりと、なかなか自分の世界から離れることができなくなってしまう。 そんな時に第三者の綴る文章に触れると、自分の世界に没入して凝り固まっていた

          長い時間をかけてじわりと効いてくる、私の好きな本を紹介します