【教育研究家に聞いてみた!】早稲田大学名誉教授の喜多明人先生が考える多様な学びの現場の課題とは?Vol.2
皆さんこんにちは! 文部科学省の2020年10月の発表によると、小・中学生の不登校生徒数19万6127人に上り、過去最高を記録しています。多様な学びの需要が増している中で、「子どもの権利」や「多様な学び」について長年研究されている喜多明人先生に、今回は多様な学びの現場が抱える課題についてお伺いしました!
フリースクールなどの多様な学びへの需要が高まる一方で、なかなか普及しない理由とは....
主に、「人手不足」「財政不足」の2つの理由が挙げられます。
1つ目の人手不足に関しては、フリースクールをはじめとした多様な学びを実践している現場では、教師やカウンセラーなどの人材が足りていないことです。実際、それらを求める子どもたちの数は年々増加しているのに関わらず、運営側で人手不足が起きているため、全ての子どもを受け入れるのが難しい状況です。
2つ目の財政不足については、多様な学びを行っている現場には、義務教育と比べて財政的な支援が少ないということが挙げられます。これは、日本国憲法第89条により、「公の支配に属さない教育事業」には公金の支出ができないことが壁となっています。しかし、憲法第26条では、小中学校で行われる普通教育を受ける権利を保障し、「義務教育」は無償とされています。本来なら、その無償性はフリースクールにも適用される必要があると思います。
2016年に普通教育機会確保法ができたことで、フリースクールなどの多様な学びにも支援しようという自治体は少しずつ増えてはいます。しかし、実際に私学助成金などの財政支援を受けられているフリースクールは、東京シューレ江戸川小学校、東京シューレ葛飾中学校のみで、その他の多様な学びの現場では、保護者等からの授業料や寄付金などで財源を確保して運営していることが多いのが現状です。
以上のインタビューから、多様な教学びの場には財政と人手不足という課題があり、特に財政支援に関しては憲法などの壁があることが分かりました。これらの課題を解決するために今後必要な要素を喜多先生にお聞きしたところ、①学校改革、②法制度の整備といったことが必要なのではないかとのことでした。今ある課題を解決し、多様な学びを望む全ての子どもたちが教育を受けられるような環境づくりをしていけるよう、どのような改革をすべきか考えていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!