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散文詩

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そのまま。もうちょっと若いころ(十数年前)書き散らした散文詩です。短歌の収納は今後考えます…。
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2021年8月の記事一覧

【詩】 夏が終わる

疲れ果てて 眠りに落ちた 過ぎし日に 取り戻せるものはなくても 積もりゆくものはある …

高梨 蓮
2年前
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【詩】 川遊びの舟

山の際に くっきりと 際立つのは 山か空か それとも どこまでも混じり合わない 天地の境か …

高梨 蓮
2年前
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【詩】祖母の記憶

明治生まれの 亡き祖母は 俺が物心ついたとき 既に足が悪かった いざって移動して 台所の…

高梨 蓮
2年前
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【詩】オレンジ色の躑躅

昔 庭に オレンジ色の躑躅があった そんな色の躑躅を よそで見たことがなくて 親に聞いた 「ど…

高梨 蓮
2年前
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【詩】 声を殺せ

傷付けそうな 声を殺せ 怒りに近い いっそ思いを殺せ 熱い鉄の塊を 滾る鉛を 喉の奥に呑み…

高梨 蓮
2年前
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【詩】古びたノートを開く

酒と音楽と、文学があれば良いと思っていたあのころ つい昨日のように思っても もう既にふた…

高梨 蓮
2年前
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【詩】心の臓が止まる

その男の訃報が 同期の間を駆け巡ったとき そいつはまだ三十五歳で 突然心臓が止まったと聞いた つまりは心臓発作 誰も言わないが 誰もが思っていた 過労だと そいつは研修の同期で 優秀賞で 俺とは反りが合わずに 罵り合ってばかりいた 真面目な奴だった 人生を生き延びることの僥倖 (再投稿2020年12月8日)

【詩】74歳の足跡

74歳が 自分の生きて来た足跡を 少しでも残したいとそう言った それも良い 足跡どころか…

高梨 蓮
2年前
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【詩】上に月

月の 高さを思い出す 白い月の 真上に 夜 見上げるという行為の意味を思い出す 俯くこ…

高梨 蓮
2年前
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【詩】己を偽らないでいくこと

なにもかも 時が過ぎれば 風に吹き散らされる そんなことはもとより知っていることだ 結…

高梨 蓮
2年前
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【詩】内心の渦巻くさま

渦巻く ことばが さまざまに 渦巻く 逆巻く まず何から始めればいいのかすら見失うこの…

高梨 蓮
2年前
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【詩】生き急ぐ

さて 生き急ぐという単語を どこかで見た しかしそれ以前にそれを見て もう何年も前自分…

高梨 蓮
2年前
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【詩】夏の抜け殻

そこに 脱ぎ捨てられた 蝉の抜け殻が 置き去られている 今はもう 夏は過ぎた頃合い あ…

高梨 蓮
2年前
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【詩】 詩人で

例えば 言葉がこぼれ落ちる時に 何者でありたいかと そう問われたら どうしても 詩人なのだろう 何もかもをこの目に焼き付けておきたいなにひとつ歪めることもなく