見出し画像

「2つの仕事が相互にプラス」 ビジネスタレント協会 田原彩香さん

多様な働き方について認知や理解が社会で広がっています。なかでも副業やパラレルキャリアが注目されています。自分らしい働き方とはなんでしょうか。ビジネスタレントと企業の人事・広報スタッフという二つの働き方を実践している田原彩香さん(ビジネスタレント協会事務局長)に話を聞きました。

■ビジネスに特化

「大学時代に首都圏のテレビ局で学生レポーターをやっていました。学生の肩書が外れてしまうと、フリーでは生計を立てづらい。大手の人材企業に就職し、4年ほど働いた後、そこから自分らしい生きかたをしたくてフリーアナになりました」
ただ、フリーアナウンサーも多数います。埋もれないために田原さんは戦略を立てました。それがビジネスに特化したタレント、「ビジネスタレント」としての道です。
2017年くらいから活動していましたが、1人では活動にも限度があり、仲間を集めて昨年秋に協会を設立しました。メンバーは全部で5人。事務所に所属しながら一緒に活動しているアナウンサーもいます。

田原さんのもう一つの顔がフィンテックのベンチャー企業、カウンティア(東京・渋谷)の人事・広報担当者です。カウンティアは財務戦略サービスとフィンテック事業を手がけています。
じつはビジネスタレント協会の事務局はフィンテックのベンチャー、カウンティア(東京・渋谷)内に置いています。カウンティアの代表取締役、姥貝賢次さんはビジネスタレント協会の活動も支援しています。

副業でしょうか、と尋ねました。田原さんは首を振りながら「両方とも本業ですね。はやりのパラレルキャリアです」と笑います。カウンティアで仕事しているからビジネスタレントができるし、ビジネスタレントをやっているからカウンティアで仕事できるという相互関係があるといいます。
隣の姥貝代表が続けます。「得意分野で頑張れば人は誰でも輝ける。得意分野を輝かせることが経営で一番大事です。田原さんがカウンティアの枠の外で活躍したら、たぶん、その輝きを会社に持ち帰ってくれる。そう思って協会の活動を支援しています」
それでも二つの仕事を持つのは大変そうです。日々の仕事の流れを説明してもらいました。スクーの放送は週1~2回で番組が始まるのは夜。夕方6時くらいにスタジオに入ります。イベントの場合は夕方に会場に行きます。夜の仕事があった翌日の午前中は休んでいるそうです。会社ともうまく調整しており、過酷な労働ではなさそうで安心しました。
姥貝さんは「カウンティアの事業にも密接にリンクさせています。放送やイベントで一緒に壇上に立つ人って経営者が多い。そこで関係を作って会社に持ち帰って何か提案できないかと考える。それはかなりいい営業ルートになる」と話します。

「ベンチャー企業にとって、ビジネスタレントが事業のスピードを加速させダイナミックに成長していく要素があるんじゃないかと思う。そこを意識して仕事しています」(田原さん)
ベンチャー企業にとって経営者とのパイプを増やすのは容易ではありませんが、田原さんつながりで持ち込まれる案件も多いといいます。「他のベンチャーの経営者から『田原さんみたいな人を採用したい』といわれるようになった」(姥貝さん)

■「キャリアはパラレル、ワークはクロス」

キャリアプランは誰かに決められて決めるという時代ではありません。「一つの仕事だけにまい進するのはもったいないと思います。キャリアはパラレル。ワークはパラレルではなく、本業とクロスしたほうがいい」(田原さん)
協会は最初、女性タレントのセカンドキャリアの受け皿として始めたそうですが、一般企業に勤めている人が応募して働きたいという応募も増えてきたという、男性もいるそうです。いろんな人が働き方を模索しているようです。
タレント業界ではビジネスに詳しい人が少ないそうです。「2つできる人がいないからすごいラクだなあって。競争相手がいないので自分らしく仕事ができる。自分はビジネスが武器としてあります、というとすごくやりやすい。経験が積み重ねられる状況だと痛感します。一番、そこがだいご味です」

田原さんの略歴
2007年 中央大学へ入学。大学生タレントとしてTVやラジオのレポーター業務を行う
2011年 中大卒業後、マイナビへ入社し就職情報事業本部(営業)に配属。その後、セミナー広報を行う部署へ異動しセミナーへの登壇機会が増える
2015年 マイナビを退社し、フリップアップへ所属してタレント活動を本格的に開始。同時にインターネット動画配信サービスSchooのアナウンサーに就任する。その後、数百回を超える番組を担当する
2017年 カウンティアへJOINし、ビジネスタレントとして広報と渉外活動の中心を担う
2018年 ビジネスタレント協会を設立し、ビジネスタレントの啓蒙活動を開始


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?