はじめての秋田。男鹿半島は青と緑。
ふと思い出した、去年の夏仕事ではじめて訪れた秋田のこと。
東日本で唯一、まだ足を踏み入れたことのなかった場所。
季節は八月のど真ん中、夏まっさかりで、どこへ行っても日差しが煌々と眩しかったのを憶えている。
同僚とわたしは、自転車に乗って男鹿半島を駆け抜けた。
自転車を、漕いで漕いで漕いで。下り坂は、ペダルから足を離して一気にくだってゆく。
日差しはジリジリと熱いけれど、頬を撫でる海風が心地よくて、思わず叫び出したくなる。
半島の先端にたどり着くと、そこには、ただただ青い日本海と夏の空が広がっていた。
海と空の境目には、真白い夏の雲がもくもくと幾重にも連なり伸びている。
みんみんと、どこかで蝉の鳴く声がする。
誰もいない静かな海の家。
夏の忘れ物みたいなソフトクリーム。
遥か昔、まだ子どもだった頃の夏の記憶が薄ぼんやりと蘇る。
夏の男鹿半島の思い出は、一言でいうなら青と緑。
ひたすらに色濃く、青らしい青と、緑らしい緑。
今も目を閉じ耳を澄ませば、遥か遠く蝉の声が聴こえてくる。
むせ返るような青草の匂いと潮風の香りを思い出す。
やっぱり、東北が好きだな。
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