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アンブシュアについて(口の中編)

アンブシュアとは、マウスピースを咥えるときの口の形、というニュアンスの言葉ですが、
ここでいう『口の形』とは、口の外側の状態と、口の内側の状態を含めての意味になります。

この記事では、口の内側の状態についての考察を書いていきます。

まず口の内側の状態を考えるにあたって、その口の内側を変化させるとどうなるかを整理します。
口の内側を狭くしてまとめた場合、口の中の容積を小さくするということになるため、息のスピードが速くなり、鋭い、速いスピード感、強い、などのニュアンスの音色を出ることになります。
口の内側を広くして固定した場合、容積が大きくなるため、息のスピードが遅くなり、ふくよか、包み込む、優しい、というような音色になると思います。

どちらがいい、ということは絶対にありえません。
ポップス系だと前者、吹奏楽だと後者が大事にされがちですが、
曲によって、曲の途中でも場面や心情によって、音色を変化させた方が、より面白い音楽になるのは間違いないので、どちらもできるのが望ましいです。

それで、口の内側の状態、つまり容積を変化させる方法ですが、これも整理していきます。


あなたの舌で、口の中の"前の方" の上と下を触ってみてください。




硬いですよね?
動きませんよね?


そこは自分の意志ではどうすることもできません。
この部分を動かして口の中の容積をどうこうするのは諦めてください。


もうお察しの通りかもしれませんが、
次は、あなたの舌の奥の方で、口の中の"後ろの方"の上と下を触ってみてください。


柔らかいですよね?
動きますよね?

口の内側のアンブシュアの要素を決めるのは、そこだけです。
意識して口の中の動きを感じて、どう動かしたときにどんな音色になったか研究して、臨機応変に使いこなせるといいですね。
息を入れるときに、広げたままキープして息を出す、狭くしてまとめたのをキープして息を出す、ということをするための練習というのは、毎日の『この音色が欲しい!』と意識することの積み重ねでしかないので根気よくやるしかありません。

一つだけ注意点があるとすれば、口の中を広くしたうえで、速い息を入れる練習、と、それとは逆の、
狭くしたうえで、遅い息を入れる練習はした方がよいというところでしょうか。

前者のイメージならば、(昔はよく言われましたが)寒い時に手を温めるときに吐く息を、すごく速く外に押し出す感じです。優しくて鋭い、ような音が欲しい時によく使います。
後者の方は、あっつあつのラーメンを冷ます息を、超弱風にするイメージですが、心細い心情を表せるような音が欲しいときによく使います。

口の内側の容積を広くしたのをキープしたうえで、マウスピースを咥えて速い息を出すのは、意外に結構難しいですが、めげずにやってみてください。


アンブシュアを考える際、『息を入れるときに、ほっぺたが膨らむのはgood or bad問題』が、しばしば聞かれますが、どちらでも大丈夫だと思います。
昔は、ほっぺたが膨らむのは良くないという風潮でしたが、昔は昔です。

解説すると、ほっぺたが膨らむのを良しとする場合の注意点となってくるのが、口の外側のアンブシュアをしっかり筋肉を固めておかないと、ほっぺたの膨らんだりしぼんだりする動きと連動してしまい、音がぶれる、という点です。
が、
ほっぺたが膨らむ膨らまない以前に、いずれにせよ、口の外側の筋肉をキープできないといけないのは変わらないので、どちらでも大丈夫、という話になります。


口の内側のアンブシュアについてのアウトプットはこれくらいかな~

文章にして、私の中でも改めて考えがまとまりましたが、口の中のアンブシュアは、『息の量とスピードの掛け算をコントロールしている場所』ということになるのかな、と落ち着いたところで今回のオチ。


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http://www.kodajibi.com/page_nodonoshikumi.htmlから引用させていただきました。

口の中の上側だけの話にはなるのですが、前の方の上の名称が「硬口蓋(こうこうがい)」、奥の方が「軟口蓋(なんこうがい)」と呼びます。

硬い、軟らかいという字が入っていてとても覚えやすいですよね。

こだま耳鼻科さん、お世話になりました。ありがとうございました。



こだまさんと、音色のひびき、とかで何かうまいことを言えたらなと思いましたが、私の硬くなってしまった頭では無理そうなので諦めます。



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