takai_

Project design by Draft design for Business…

takai_

Project design by Draft design for Business design. 現代アートと鹿島アントラーズが好きです。

マガジン

  • Draft Design & Project Design

    理想のゴールを仮構する「ドラフトデザイン」と、ゴール実現の道筋を描く「プロジェクトデザイン」。振り子のように行き来しながら理想を実現するこの二つの相補的な概念について、実践する手法やその価値について考えていきます。

  • 鹿島アントラーズについて考える

    超不定期更新。twitter(現X)に書くには長くなりすぎたコメントを記事にして供養するだけの場所です。

最近の記事

#14 スコープ、コスト、スケジュール、品質が描く四角形

誰だって「多く、安く、早く、いいもの」がほしい突然だが、プロジェクトデザインはどこから始まるのだろうか? それは、プロジェクトを開始する前の提案やプロデュースの段階に他ならない。クライアントとの最初のコミュニケーションであるこのフェーズで期待値のすれ違いや認識の齟齬を抱えたままスタートしてしまっては、いくらプロジェクト開始後に軌道修正をしようとしても正しいゴールにたどり着くことは難しいからだ。 だからこそ、この提案やプロデュースのフェーズは繊細な駆け引きと真剣な交渉の場に

    • #13 SFはオルタナティブな可能性のドラフトデザイン

      別に誇るほどのことでも数でもないが、フィクションや物語に類するものは比較的よく見る方だ。 ざっと計算したところ、小説は年に10冊くらい、アニメや映画は年に50作程度、漫画はアプリでなんとなく読んでいるものも含めると少なくとも年に200作以上は読んでいることになる。 これらポップカルチャーの魅力の一つは「時代の写し鏡」である点だ。衆目を集めるコンテンツは、やはり時代が反応する「何か」を映し出している。 その中でも小説・漫画・アニメは、実写や演劇とは異なり、たまたま奇跡的なショ

      • #12 MVVは組織のドラフトデザイン

        これまで具体的な制作物があるプロジェクトを例にドラフトデザインを説明してきたが、ドラフトデザインの範疇はそれだけに留まらない。例えば、組織のような無形のものにも適用可能だ。 「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務」というプロジェクトの定義に照らすと、100年続くかもしれないし来年潰れるとも分からない組織の運営や開発は、有期性という意味では完全には当てはまらないかもしれない。それでも、必ず終わりは存在するし、年度や中期経営計画などでフェーズを

        • #11 いいプロジェクトマネジメントは透明になる

          ここ2回にわたって、プロジェクトの要件整理の仕方からプロジェクトステートメントのつくり方という、プロジェクトデザイン&ドラフトデザインの言わば「ステップゼロ」について言葉を割いてきた。 それは、それほどプロジェクトの意義や価値をきちんと伝えることが難しく大切だからだ。ここが曖昧だったり目線が揃っていないと、どれだけプロジェクト進行に心血を注いでも報われないものになってしまう。 このように以前書いた通り、逆に言えば、そこさえ揃っていればプロジェクトが大きく失敗することはほとん

        #14 スコープ、コスト、スケジュール、品質が描く四角形

        マガジン

        • Draft Design & Project Design
          14本
        • 鹿島アントラーズについて考える
          3本

        記事

          #10 プロジェクトミッションのつくり方

          前回は「プロジェクトを正しく理解する要件定義の構造」について紹介した。 先に述べた通り、プロジェクトの背景や課題、目的と目標などは、正しくその定義と構造を理解しなければ混同してしまったり微妙な認識のズレにつながりやすいため、こうして図に落とし込みながら整理していくといい。 しかし、プロジェクトの中で認識を揃えるために毎回この図を持ち出すのはあまり現実的ではないだろう。 整理したプロジェクトの存在意義は、端的な一文で言語化しておくとチームを束ねるのに取り回しがしやすくなる。

          #10 プロジェクトミッションのつくり方

          #09 プロジェクトを正しく理解する要件定義の構造

          前回「ドラフトデザインのコツ」の中で、プロジェクトを正しく理解・整理することを最初のポイントとして挙げた。 プロジェクトを正しく理解・整理することは、理想のゴール像を描くドラフトデザインの第一歩でもあり、同時に理想のゴール像を実現させるためのプロジェクトデザインとの接続点でもある。今回はその接続点となるプロジェクトの要件定義について、要素分解しながら構造を紐解いていく。 要件定義の構造まずは改めてプロジェクトの要件定義に登場する言葉の意味を整理しよう。 背景:プロジェク

          #09 プロジェクトを正しく理解する要件定義の構造

          #08 ドラフトデザインのコツ

          前回は、理想のゴール像を描く(ドラフトをつくる)前の準備としてリサーチの重要さを紹介した。 今回はいよいよ実際にドラフトをつくるプロセスについて触れてみたい。 ここで改めてドラフトの定義を振り返っておくと、「理想のゴール像を可視化し、具体的なイメージを描いたもの」となる。 ドラフトデザインは、ゴールイメージをドラフトとして具体化・精緻化していきながら、同時にプロジェクトへとフィードバックを与え、それをもとにまたドラフトを更新していく、という反復を繰り返しながら徐々に理想を手

          #08 ドラフトデザインのコツ

          #07 理想のゴール像を描くための準備

          ドラフトデザインとは、「理想のゴール像を可視化し、具体的なイメージを描く行為」であり、それによってプロジェクトの北極星となるゴール像を共有し、議論の土台をつくることができる。そして理想のゴール像を解像度高く描くためにも、プロジェクトをドライブさせてリードするためにも、自分の内にある「自主性」と接続することが重要となる。 このように、ここまで「理想のゴール像(ドラフト)を描き提示すること」の大切さについて語ってきたが、改めて「理想のゴール像を解像度高く描く」には何から始めればい

          #07 理想のゴール像を描くための準備

          #06 ドラフトデザインの原体験

          #04と#05で、理想のゴール像を解像度高く描くためにも、プロジェクトをドライブさせてリードするためにも、「自主性」が重要なキーワードになると説明してきた。 今回は、自分の内に自主性という火がなければプロジェクトは駆動しない、ということを実感した原体験について触れてみたい。 KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭あれはクリエイティブディレクター/プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトに携わり始めて3年ほど経ち、徐々に仕事にも慣れて、ギリギリ一人前と言っても差し

          #06 ドラフトデザインの原体験

          #05 イントレプレナーのジレンマ

          ここまで、理想のゴール像を解像度高く描くことで、実現の道筋をプロジェクトとして描けるようになること、そしてプロジェクトをドライブさせるためのモメンタム(勢い、推進力)を保つには、管理ではなく自主性の最大化が重要であることについて触れてきた。 ではそもそも、最初の「理想のゴール像を解像度高く描く」にはどうすればいいだろうか? ここでもまたキーワードになるのが「自主性」だ。 起点がなければゴールも描けない理想のゴールを描き、その実現に向けて邁進する。そんなリーダー像の最たるもの

          #05 イントレプレナーのジレンマ

          #04 プロジェクトを「管理」してはいけない

          管理することの意外な弊害#02で、「プロジェクトマネージャーなど、プロジェクトをリードする者の最大の仕事は、その共通の目的となる『プロジェクトの北極星のようなゴール=終わり』を示すこと」と述べたが、プロジェクトマネジメントといえば「しっかりきっちり管理すること」というイメージを持っている人もいるだろう。 もちろん、管理は大事だ。しっかり管理すればするほど、プロジェクト失敗のリスクを低減させ、プロジェクト成功の確率を高められるように思えるかもしれない。 しかし一歩引いた目で見

          #04 プロジェクトを「管理」してはいけない

          #03 理想のゴール像を実現する基本プロセス

          今回は、「ドラフトデザイン」と「プロジェクトデザイン」の二つの概念がどのように相補的に作用し合うのかについて掘り下げていく。 ドラフトとプロジェクトを更新しながら未来を引き寄せるドラフトの出番は最初に理想のゴール像を描くだけではない。理想から逆算し、設計したプロジェクトを実行する中で、ドラフトは様々な形で何度も繰り返すことになる。 プロジェクトが進行するに伴い、日々刻々と状況も移りゆく中で、理想のゴールイメージも当初のものから徐々にその輪郭を確かに、あるいは姿を変えていくだ

          #03 理想のゴール像を実現する基本プロセス

          #02 「ドラフトデザイン」と「プロジェクトデザイン」

          前回、理想のゴール像の仮説をドラフトとして提示すること、物事の理想の「終わり方」を思い描くことを「ドラフトデザイン」、そしてドラフトとして描いた理想のゴール像から、現在に向かって実現の道筋をプロジェクトとして組み立てることを「プロジェクトデザイン」と定義した。 今回はこの二つの概念について、もう少し掘り下げて考えていきたい。 理想のゴールを仮構する「ドラフトデザイン」なぜゴールが描けると、前向きなエネルギーが生まれるのだろうか? ゴールを描き「終わり」を設定することで、そこ

          #02 「ドラフトデザイン」と「プロジェクトデザイン」

          #01 はじめに

          「プロジェクトデザイナー/ドラフトデザイナー」という肩書きTakramというデザイン・イノベーション・ファームで、「プロジェクトデザイナー/ドラフトデザイナー」という肩書きで働いている。どちらも聞き慣れない職種だと思うが、それも当然だろう。 入社した当初は「ビジネスデザイナー」という肩書きで始めたのだが、Takramでは個々人がプロフェッショナルとして既存領域を越境・拡張し、新たにカテゴリメイキングすることを推奨していることもあり、自ら「プロジェクトデザイナー/ドラフトデザ

          #01 はじめに

          岩政監督の「4-4-2回帰」の先に未来はないのか?

          2023明治安田生命J1リーグ 第11節の札幌戦は、苦しみながらも優磨の4戦連続ゴールを守り抜き1-0勝利。これで岩政アントラーズは3連勝となり、順位も8位まで上げてきた。 上向く調子を喜ぶサポーターがいる一方、「4-4-2に回帰するなら大岩・ザーゴ・相馬・レネでもよかったじゃないか、このサッカーを続けても未来がない」というコメントもちらほら見るが、個人的にはそうは思わない。 スタートポジションの形こそ同じ「4-4-2」かもしれないが、「それしかできない」のと「それを選ん

          岩政監督の「4-4-2回帰」の先に未来はないのか?

          エヴェラウドはなぜ輝けなかったのか?

          タイトルを誓った今年も無冠に終わってしまった鹿島。 今季の最も大きな誤算のひとつがエヴェラウドであることに異論はないだろう。 実はターゲットマンよりフィニッシャー4月に戦線離脱してから最後までコンディションが上がらなかったという見方もあるが、最大の要因はやはり彼の「使い方」にあると思う。 昨シーズンのエヴェラウドのゴールを見返してみると、対空時間の長いクロスからのヘッドや、相手DFを引きちぎってのミドルなど、「スペースがあり、前を向けている」シーンが多い。 また、ゴール前で

          エヴェラウドはなぜ輝けなかったのか?