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リモートワークは社会を救う -instant team-

本業が忙しくなり、しばらくおやすみしてました‥。すいません。これからは1週間に1回はなかなか難しいですが、2週間に1回の更新頻度で攻めていきたいと思いますので、お付き合いいただけたら幸いです。

さて久しぶりに、今回紹介するは、instant teamというスタートアップです。

何をしているスタートアップなの?

インスタントチームという名前が示している通り、簡単にチームを作るためのソリューションを提供しているスタートアップです。

もう少し詳しく説明すると、カスタマーサポートや事務・管理などを中心にプロジェクトマネージャーや営業サポートまでリモートでも完結できる仕事に特化してアメリカ軍の配偶者を中心にリクルート、トレーニング、紹介、配属まで、企業のチームビルディングを助けるためのスタートアップです。

カテゴリー・業種

企業のために、リクルートや人材紹介をする企業なので、HR、人事っていうのが妥当でしょう。経営者の方は、ご存知かと思いますが、日本の大企業で人事部っていうとあまり重要ポジションだと捉えられないイメージですが、むっちゃ大事な部署なんです。なぜかというと、優秀な人材を探してきて、会社にはいってもらったり、トレーンニングしたり、いかに快適に働いてもらえる環境を作れるかって、人事部1箇所でどーのこーのできる問題ではなく、まさに経営の根幹に関わる問題なんです。そにプラスして、就職、社内規定の改善、日々ある社員からのセクハラ、パワハラの相談、退職希望者のペーパーワークから新入社員の研修みたいなプロジェクト管理まで盛りだくさん‥。

全国の人事ご担当者様、本当にご苦労様です😥

最近では日本でもエンプロイーエクスペリエンスと言われて注目されておりますね。カスタマーエクスペリエンス(お客様対応の改善)はもちろんのこと、社員がどうやって企業で働いているのか?そしてその働く環境のクオリティーも企業の社会責任として捉えられるようになっていく時代というわけです。

もはや、企業の人事の仕事はただ人材募集して、面接して、社員の福利厚生をしているだけでは足りない時代になってきました。

それは、アメリカでも同じことであり、優秀な人材のリクルート、育成、と快適な仕事環境作りは、超重要ミッションであると共に、とてつもなく難しく、いろんな企業が頭を抱える、万国共通の大きな課題なのです。(※ちなみに聞いたところにるとアメリカのHRは日本より10年ほど進んでいるそう。)

今回は、社員やスタッフのリクルートの部分を、企業が探している人材のマッチアップだけでもスムーズ且つスピーディーに提供できるよ。というサービスを提供するスタートアップです。

何が他のサービスと違うのか?

上の表現だけ使うと、そんなスタートアップや同じようなサービスを提供している大企業はたくさんあるんですよね。人材派遣の最大手、リクルートも「リクルートスタッフィング」というサービスを大々的にやっていますし、採用支援系のスタートアップも、こちらのMinato Masayukiさんのブログの情報によると、日本に約80社も存在するそうです。

では、採用支援系の人材マッチングサービスは世界中にたくさん存在する中で、このinstant teamが他のサービスとどう違うのか?それを説明させていただきます。

①リモートワーク特化

すでに、冒頭でネタバレですが、こちらのインスタントチームの人材はリモートワーク中心の仕事です。まあ、たまの出張や本社出勤はあっても、基本、アメリカのどこにいてもいいよ。という企業や業種に特化しています。100%リモートは、まだまだ日本では難しいかもしれませんが、アメリカでは元々、ソフトウェアのエンジニアや、カスタマーサポートなどは完全リモートも多く、コロナで「リモート基本」か「週2ー3回、最悪月1回でもいいよ」的な会社も増えてきております。PwCのこちらのリサーチによると、コロナ中に86%もの人がリモートワークでも十分に仕事できていると答え、CNBCのこちらの記事によると、2021年もアメリカの4人に1人がリモートワークに残るそう。また、2025年までにリモートワーカーの数は3620万人、コロナ前と比較して、87%の増になるそうです。

つまり、アメリカでは、人材の適正と優秀ささえあれば、毎日会社に行かなくても、正社員になれる時代が着々と迫っていると言えます。

②紹介する人材がほとんどアメリカ軍人の配偶者

こちらももうネタバレ済みですが、instant teamの一番スペシャルなところ。それは、人材マッチングの採用先のんほとんどが、アメリカ軍の軍人配偶者である。ということです。日本ではあまり馴染みがないと思いますが、軍事ビジネスってすんごい大きいんです。(←表現が稚拙ですいません。)実際に現役軍人だけでいうと、138万人と世界3位の人数で(1位は中国、2位はインド)予備兵などもいれると240万人ほどおります。

等々と、アメリカ軍の話しをしましたが、それだけ人数も多いと、その配偶者もたくさんいるんですよね。

で、何が問題かというと軍人さんの配偶者野方って離職率ものすごい高いんです。なんでって、転勤むっちゃ多いから。ちなみにこのスタートアップのFouderもLizaさんというのですが、旦那様がアメリカ軍にいらっしゃり、10年間で6回も引っ越したそう。夫婦2人なら、別居婚‥なんていう究極の選択も可能ですが、子供があるとそうもいかない。配偶者の配属先に引っ越すために泣く泣く仕事をやめて、家庭に入られる方が多いとのこと。

実際こちらのNCSLのレポートによると、コロナ前ですら、軍配偶者の失業率は22%にものぼり、26%が結婚前の職業との給料に、ギャップを感じているそうです。ちなみにアメリカ軍人の配偶者は92%が女性だそうです。日本に比べると、ジェンダーギャップをあまり感じないですし、女性も多いアメリカ軍ですが、やはり職業柄、男性優位の環境は否めないなと感じます。

instant temaの創始者のLizaさんはご自身も、旦那さんがアメリカ軍にいらしゃり、4人のお子さんをもつ、パワフルな女性です。以前は、テクノロジー系の会社でエンジニアとしてバリバリ働いていたそうですが、旦那さんの転勤とお子さんができたことで、会社を辞め、リモートで働ける企業を探していたところ、同じような悩みを抱える軍人の配偶者をたくさん知り、このスタートアップをたちあげたそうです。

アメリカ軍の配偶者というと、ピンとこない方も多いと思うのですが、働く意欲もバックグラウンドもしっかりしていて、かなり高学歴、高収入だった方も多いそう。

ただ、定住できないだけ。

企業としては、表には出てこない、すばらい人材にマッチングしてもらえるサービスということで、企業にも大変人気がでてきているそうです。実際に、Amazonなどからも雇用需要があると聞いています。

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※instant teamのwebsiteにあった企業の声のページ。

ハワイとなんの関係があるのか?

このスタートアップ。ハワイの会社か?と聞かれるとそうではないです。会社の登録はデラウェアにあります。

では、なぜハワイのスタートアップとして紹介したかというと二つ理由があります。

①ハワイのニーズに応えて大きく成長した

Lizaさんも旦那様の配属に伴い、ハワイに3年住まれていたそうです。その時にハワイ在住の就職問題を抱えた軍関係の配偶者の方々にたくさん出会い、スタートアップの成長に大きく関わったそうです。昨年、ブルースタートアップというハワイのアクセラレーターにも入ったりしております。

ハワイでは3大産業のひとつに軍事産業が挙げられるほど、たくさんの軍関係者、及びその家族が住んでいるのですが、如何せん、太平洋のど真ん中にある小さな島。就職先のチョイスが少ないんですよね。企業にとってみても、その配偶者の方々の滞在期間が3-4年と分かりながらの正規雇用はなかなか難しい。しかも、ハワイの企業のほとんどが観光系なので、ホテルの受付やコンシェルジュなど、リモートワークが難しい職業です。そんな就職難の方をリモートワークで働けて、条件の良い企業を紹介してくれる。しかも在宅で家族との時間も確保できる。instant teamは、ハワイに住むアメリカ軍人の配偶者の救世主となったわけです。問題があるところに解決策があり、その解決策がイノベーションとなりうる、まさにハワイのスタートアップモデルですね。

②ハワイの経済産業省とのコラボプロジェクト

Lizaさんがハワイにいる時にもうひとつ見つけた問題。それがハワイの低所得者層の方々です。ハワイは物価も家賃もものすごく高いのに、平均収入が他の州に比べてもとても低いのが、よく社会問題として取りあえげられます。

そういった低所得者の方がどうやってハワイで暮らしているかと言うと、平家に何世代かで共同生活して、子育てなんかを協力し合いつつ、3-5種類ものの仕事を掛け持ちしてるんですね。そうなると朝から晩まで働きにでて、なかなか家族と過ごす時間もない。勉強や自分のための時間をとる時間もないので、キャリアステップアップも難しい。

そんなハワイの現状に胸を痛めたLizさんはDBEDT(ハワイの経済産業省)と組んで、そういったハワイのローカルに、リモートワークで働けるスキルのトレーニングとそこを活かせる就職先のマッチングのプロジェクトを行いました。

複数の職業を持っていても、それがリモートワークなら効率的に働けますし、就職先のオプションもハワイにいながら、全世界にオプションを増やすことができます。しかも家族との時間の確保もより簡単に。小さいプロジェクトだったとしても、ハワイの問題を的確に捉え、ユニークな解決策となりました。似たような問題が世界中にありますし、まさにハワイがいいモデルケースとなった例だと思います。

instant teamのこれから

instatn teamは、昨年コロナ渦のなかで、なんと約1.5億円の資金調達に成功しております。(全部リモートでやったらしいです!すごい!)

これから、この資金を元に事業を拡大していくわけですが、まずは、アメリカ軍人の配偶者を基本にしながら、事情があってリモートワークでしか働けない方、介護中の方、障害者の方がなど、もっともっと隠れた才能を発掘して、たくさんの方にキャリアの機会を増やしていきたい。Lizaさんはおしゃっていました。

日本についてもLizaさんに聞いてみたところ、今はまだアメリカでの事業拡大に集中していますが、将来的には日本を含めたアジアにも進出したいとのこと。たとえば、ハワイは日本との時差調整もそんなに難しくないので、英語のカスタマーサービスなどのリモートワーカーなどを日系企業にも提供していきたい。そして、日本にいる隠れた才能や人材がもっとグローバルに働けるようなサービス拡大もしていきたいとおしゃっていました。

実は、私の知り合いにもたくさんいるんですよね。超高学歴で、その後、テレビ局、代理店、投資銀行などに長年勤めながら、旦那さんの仕事や転勤で泣く泣くキャリアを諦めて家庭に入られた友達や後輩や先輩がたっくさん。

日本は「人材不足」という問題を叫びながら、まだまだ、女性や、障害者の方や社会的マイノリティの方など、人材を無駄にしているところがたくさんあると思います。

「男性の仕事を優先して、女性が家庭を守る」という固定概念を今すぐ変えることはできませんが、instant teamみたいなプラットフォームがもっと増えて、リモートワークの機会が増え、どんな人でも快適に働ける環境が整っていけば、女性の社会進出も少しずつ進んでいくのではないのか!と思う筆者なのでありました!

追記:日本のジェンダー問題というと、わたし「深夜のダメ恋図鑑」という漫画の大ファンです。「嫁さんがなんで怒ってるのかわからない」「会社で女性をどう扱っていいかわからない」という男性。(つーか男性全員読んだ方がいい。教科書レベルで!!)日本社会に疲れた(?)女性たちはぜひよんでみてください!男性はしょんぼり、女性は大笑いすると思います。(〆が漫画紹介かいw)


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