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VOLTA -ハワイ発のIPO!?-

こんにちわ!今回で4回目となりました、ハワイのスタートアップ紹介!1回坊主の私がなんと4回目も続きました!今日はカリフォルニアのスタートアップですが、ハワイ発で大成功したスタートアップ「Volta」のご紹介を、スタートアップのゴールのひとつと言われる「IPO」と、今話題の「SPAC」の説明を交えて、徒然したいと思います。

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※VoltaのHPから

スタートアップ名:Volta ボルタ

何をしているの? : テスラなどの電気自動車(EV)のチャージステーション。他ののチャージステーションとちがうのは、充電期間中に充電ステーションについているディスプレイに広告が表示され、広告費用をスポンサーからとる。

カテゴリー:EV充電と広告業

業種:エネルギー

サイズ:シリーズD 

スタートアップのサイズに関する話(シード〜シリーズA, B, ・・)は前のブログをご覧ください。ちなみに筆者の調査によると今年の1月に2.5億(約250億円)ドルほど資金調達をした模様です。こちらのシリーズのサイズ感は何度も言いますが、まちまちです。調べたところ、シリーズDのスタートアップのバリュエーション(企業価値)は5億ドルー10億ドル(500億円-1000億円)だそうです。

市場のニーズ:最近日本でも話題のEV市場。日本の自動車会社も続々と電気自動車市場に進出する中、あのソニーも「VISION-S」という電気自動車を発表し、話題になりました。

※SONYの「Vision-S」テスト走行のビデオ​

アメリカのEV市場はコロナ渦の影響もなんのその。米国市場でEV市場が占める割合は、2020年第1四半期の4.8%だったところから、2021年の第一四半期には、7.8%まで伸びました。EV全体の売り上げはは81%増加と、車両業界全体の成長をはるかに上回ったそうです。

なぜここまでEV事業が成長を続けるかと言うと、バイデン大統領の影響が強大きいそうです。というのも、大統領は2兆ドル相当のインフラ投資と雇用投資を発表しているのですが、そのうちなんと、1,740億ドル(およそ17.4兆円!)相当を、EV関連の事業に割り当てる予定で、既に、150億ドル(約1.5兆円)が電気自動車の充電ステーションの建設に使用されています。

そんな追い風でブイブイ(EVだけに。なんちゃって)のEV事業。株式市場の観点から見ても、EV関係の株は肯定的な分析が多いです。こちらのNasdaqの記事では、EV充電事業を行う企業の株について「自動車メーカーが前例のないペースでEVを生産する中、トップEV充電企業の株を買うことは、 数十年前のシェブロンやエクソンモービルの株購入をしてるのと同じで 、非常に理にかなった判断である」と記述しています。

今回ご紹介するVoltaは、その充電チャージステーションの中でもめずらしく、”広告”に特化したEV充電事業のスタートアップです。

電気自動車があまり主流でない日本ではちょっと想像が難しいかとは思うのですが、EVの充電器ってガソリンスタンドみたいに、スタンドにいくと、そこにたくさんのスタンドがある。とか、スタッフのお兄さんが入れてくれる。て感じじゃないんですね。(そもそも米国はガススタに人がいないので、全部セルフサービスでやんす。)

ショッピングセンターとか、マンションの駐車場の1角に、2-3台ポツーンと置いてあって、充電している間に買い物に行くとかそんな感じなんですよ。というのも充電時間が平均92分もかかるからです。

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※アラモアナ・ショッピングセンターにあるVoltaの充電ステーション

このVoltaは、今からその93分の時間を潰しに行くEV所有者に、周りにある小売店やショッピングセンターの広告を充電器のディスプレイに表示することによって、効果的な宣伝をできる広告プラットフォームとしての働きもあるわけです。

ここで面白いのは、EV充電としての性能や技術を売りにするよりも、EV消費者の動向を上手く捉えて、充電+広告を商売にしているということです。

例えが難しいのですが、このモデル、JRの電車内の広告とちょっと似ているな。と思いました。JRは電車運営がメインですけど、電車の中吊りや画面にあらわれる広告で相当儲けているそうです。これも、電車で目のやり場がなくて、読みたくもない広告を見てしまう消費者動向をよく捉えた広告ビジネスですよね。

ハワイ発!IPOなるか:先にも書いた通り、この会社、現在の本社所在地はカリフォルニアなのですが、元々ハワイ発で、ハワイの*アクセラレーターに入り、まだ初期段階の充電ステーションをハワイのショッピングセンターなどいろんなところに置いて、テスト的に事業を開始したんですね。

*アクセラレーター:かなり初期段階にスタートアップに、少額投資や事業支援で、スタートアップの促進(Accelerate)をして、事業が跳ねたときに大きなリターンをねらう事業。これもまたどっかで詳しく説明しますが、とりあえずは、知りたい方はおなじみWikipediaで調べましょう。

そこで得たフィードバックやデータでカリフォルニアに出て、ドーンと大成功!

というわけでFounder達本人も、「From Hawaii」と言っているのですが、そろそろ「SPACでIPOをする」ということで今、業界では話題沸騰というわけです。

‥‥ SPACIPO??なんじゃそりゃ?はい!終了〜!このブログ読まない〜って思ったあなた!ちょっと待ってください。このブログ、15歳の高校生から70歳のおばあちゃんが読んでもわかる!を目指しているので、今からわかりやすーく説明しますから、まだ諦めずについてきてください!

IPO:IPOは英語でIntial Public Offeringの頭文字をとった省略語で、日本語では「株式公開」を意味します。企業が自社の株式を証券取引所に上場し、一般投資家が売買できるようにすることです。

スタートアップのゴールってなんだ?:まずはスタートアップにとっての「IPO」と「SPAC」の細かい話をする前に「スタートアップのゴール」について話したいと思います。

「企業」のゴールって色々ありますよね。もしかしたら「長く続けること」がゴールの企業さんがいれば、社長さんが「とにかくお金儲けがしたい!」とか「地域の人を助けたい」というのもあると思います。

スタートアップももちろんそういったミッション(使命感)的なゴールはありますが、まずは「事業を大きくすること」が第一目標です。なぜなら、ほとんどのファウンダー(創業者)が、自分のテクノロジーやアイディアをできるだけたくさんの人に使ってもらいたい!と思って始めるのがスタートアップですので、事業が大きくならない限り、何も達成できません。

だからこそ、事業をスタートアップ直後、あるいは、創業前にでも、莫大な資金投資を外部から受けることによって、本来、事業拡大に必要な資金を自前で用意するプロセスをすっ飛ばして、超スピーディーに拡大できるのがスタートアップなのです!

しかし、お金を投資してもらうからには、投資家にそれ相当のリターンが必要になってきます。その投資家にリターンできるポイントを「Exist(イグジット)」と言います。

まさに「出口」。要するにスタートアップから卒業して、ある程度の規模の事業になりえたかどうか?というものを図るターニングポイントになります。主にスタートアップのイグジットは主に2つあります。1つは「Buy Out」企業を売却すること、そして「IPO」株式公開になります。

この2つどちらかで、イグジットを果たしたスタートアップに初期段階で投資した投資家は、自分が投資した額より高い額でスタートアップ株を売ることによって、リターンをいただく。スタートアップは無事、初期投資家への「負債」を返済したことになり、晴れて、一層の事業拡大に努め、本来の企業ミッションに集中できるというわけです。(売り切った場合は、莫大な資金をいただいて、ラリホー!なだけですけれども。)

そういった意味でスタートアップにとって「IPO」や「Buy Out」などのイグジットは事業拡大への大きなステップアップであり、スタートアップにとって一つの「成功」と呼べるマイルストーンなのです。もちろんIPOして上場企業となってからの方が事業としてはもっと大変になるので、企業としてのゴールではないですけどね!

スタートアップと投資家:上記に書いたスタートアップの関係はかなり簡素化したものです。本当は投資家がどのタイミングでリターンえられるのかとかは契約によって違いますし、投資の目的が共同事業などの戦略的な場合もあるので、もっと複雑です。ここはまだ私もかなり勉強中の域‥。、下記のサイトさんがスタートアップへの投資を生業とするVenture Capitalとスタートアップの関係について上手に説明していました!

それで「SAPC」ってなに?:さて、Voltaに話を戻します。上記の説明でVoltaが「IPO」目前であり、スタートアップとして成功と言われるひとつのマイルストーンを築こうとしているのは分かりましたが、ここで面白いのはSPAC「Special Purpose Aquisition Company」を使って上場しようとしているところです。

「Special Purpose Aquisition Company」とは日本語で言うと「特別買収目的会社」と言い、合併及び上場のみを目的とした会社、つまり空箱会社です。アメリカでもa blank check companyと言われます。つまり名前がないのに上場の目的のためにお金(Check)だけ集めた会社だよー!っとことです。

まずはこのSPACで空箱会社だけ作って資金を集めます。そしてこの会社を上場させちゃいます。そしてこの上場空箱会社に狙っているスタートアップを合併か買収させちゃえば、はい!あっと言う間にスタートアップを上場できちゃう!!というわけです。

アイドルで例えると(例えるな)「超大型新人」デビューさせちゃいます!って言って、グループだけデビューさせちゃって、中身のメンバーはデビューした後で発表‥的な感じでしょうか?(いまいち伝わってなかったらごめんなさい。)

これだと、本来IPOに必要な手間やコストなどをほとんどかけずにスタートアップが上場することができるため、最近は、SPACでいろんなスタートアップが上場しまくっております。

えー!?そんなの合法なの!?いいの?!って思いますよね!私も思いました!!

いいーーんです!!!これが!

さすが資本主義の国アメリカ!!!

Voltaの場合は、SPACとなる空箱会社は Tortoise Acuisition Corp II という名前で2月にVoltaを買収することをを発表しております。ただ、まだVoltaの合併には至っておらず、調べたところによると今年の秋ぐらいの予定のようです。ちなみにSNPRの銘柄でニューヨーク証券取引所で取引されています。

SPACに関して:筆者の知る限り、この文字を頻繁に見るようになったのは作円の12月ごろだった気が‥。ちなみに1993年にDavid Nussbaumという人によって作られた手法らしいのですが、不正が多かったりして下火になり、また今回ブームがきていると言う感じ‥。でもターゲットとしていたスタートアップと契約できず、買収できなかったりということもあり、必ずしも良いだけの方法とは言えない模様。SPACについてもっと知りたい方はいろはに投資さんの下記の説明がわかりやすかったです!

個人的の感想:というわけでこのハワイ発のVoltaが「SPACを使ってIPO」をしてスタートアップのゴールである「Exsit」間近なのはご理解いただけたでしょうか?

ハワイはEVの所有率が一人当たりで数えるとNO.1のEV大国(国じゃないから大州)であります。筆者としてはぜひともこのIPOで大成功を収めて、ハワイ発&初の大成功スタートアップとなって欲しいものですが、このEV業界、先にも述べたとおり、超注目業界の言え、超競争も激しいのです。実際、合併先である Tortoise Acuisition Corp II がVoltaの名前を発表してから株価が急上しましたが、それから3ヶ月かなり下がってきました‥。(40%減)

とはいえ、まだまだ動向は気になるので、今後も注目しながら何か面白いアップデートがあればまた更新していきたいと思います!

がんばれハワイ!がんばれボルタ!




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