【小説】光の三分間と声と言葉の青春⑩「くうきにんげん」
前回
勉強合宿まで残り一週間を切った。自室の勉強机には、学校でもらったプリントが散乱している。先ほどから、一時間ほど椅子に座ってシャーペンを片手にプリントの裏に文字らしきものを書いてはいるが、それが意味のある形になることはなかった。
おもむろに、ジャバラバの裏に書いた詩を見返してみる。しかし、これをみんなの前で発表して果たして観客に受けるだろうか。いや、受けないだろう。五十人の観客の前で誰にも届かない言葉を空に投げている自分の姿が容易に想像できた。そっと、ジャバラバを机