金融庁

「2000万円不足」報道は風説の流布?

「2000万円不足」は報告書の一部を切り取ったもの

今日の日経の社説は、金融庁の報告書に端を発した一連の騒動に対してのお説教ですが、私にしてみれば、「おまえが言うな」という感じです。

なぜなら、報告書が公表された時の報道が、報告書の趣旨を歪めて読者に伝えるものであったからです。下の報告書の抜粋とそれを報道した記事の比較を見て下さい。

報告書では、「2000万円不足」というのはあくまで平均値から導き出したものであり、重要なことは各自が自分の生活設計を具体的に検討しよう、ということを述べているのに対して、記事の方は、「2000万円不足」を3回も繰り返し強調し、報告書が「重要なこと」として述べている部分についてはほとんど言及されていない、いうことが見て取れるでしょうか。

結局マスコミのこのような報道を受けて、年金は当てにならないとネットやSNSで炎上→それに乗じた野党が年金問題で2匹目のドジョウ狙い→昔のトラウマで与党は金融庁を批判し報告書の撤回を求める、といったカオスな状況に陥ってしまったわけです。

そして今日の社説、日経は自分でまいた種であるにも関わらず、しれっと、政府を批判し、最後に年金改革の自論「支給開始年齢の引き上げ」を唱えています。

また、別の記事では、今回の騒動のために現在議論されている年金改革(マクロ経済スライドのフル適用、適用拡大)が今回の騒動のために遅れてしまう懸念が生じている、と言っています。日経は自分の誤った報道が火種であることを自覚しているのでしょうか。

もしかしたら、現在の年金制度にたいする信頼失墜させ、誤った自論を世に認めさせるために、このような報道をしたのでしょうか。だとすれば、風説の流布ですね。

生活者の皆さんには、「2000万円不足」という報道に踊らされずに、自分自身のライフプランを考えてみて欲しいと思います。参考に先日こちらにあげた記事を紹介させて頂きます。

また、日経が唱える「支給開始年齢の引き上げ」が年金改革として的外れであるということは、下の記事をお読みください。

金融庁報告書の足りない部分

ここまでは、今回の件に関する日経の報道に対する批判を述べましたが、一方、金融庁の方にも問題がなかったわけではありません。

報告書の中で、「公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いない」と述べていながら、公的年金に関する情報提供が不十分であったからです。

例えば、「マクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることになっている」という一文があるのですが、これだと将来の給付水準は今より低下してしまうことは避けられないという印象を与えてしまいます。

しかし、マクロ経済スライドのフル適用や短時間労働者の適用拡大といった年金制度改革を着実に実行することや、年金の繰下げ受給によって、給付水準を上げることができるということについては、説明されていません。

これが、縦割り行政の弊害によるものなのか、金融庁が投資による資産形成を促進したいための意図的なものであったのか、理由は分かりませんが、老後の生活設計は、様々な制度が関係してくるものなので、そこら辺は改善の余地があるのではないかと思いました。

あるいは、このような報告書の足りないところを補足して読者に情報提供することがマスコミの役割ではないでしょうか、なんて、ちょっと期待しすぎですかね。

政治問題にまで発展した今回の騒動は、私からしてみると意味がなく、時間の無駄だと感じるのですが、これがきっかけとなって、一般生活者の皆さんが各自のライフプランをより具体的に考え始めるようになるなら、まあ良かったのではないかと思います。

#COMEMO #NIKKEI

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