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2022年以降の消費行動はどうなっていくのか?Googleが提唱する「バタフライ・サーキット」についてSNSマーケティングの目線で考えてみた

5大SNSで進む「ショッピング機能」実装トレンド

現在KAIKETSUでの取り組みの一つとして、5大SNS(Instagram、Twitter、YouTube、TikTok、LINE)をどのように活用していけばよいのかの体系化や、複数媒体を組み合わせた包括的な施策の提案、実行をしています。

その中でInstagramは既に実装済みだが、YouTubeやTwitterでも「ショッピング機能」の実装がテスト段階を迎えているSNSの世界で、ユーザーの購買導線設計はUX的にも重要なテーマだということは全世界的にも共通認識となっていることになります。

ただ、大手代理店やメーカー企業の担当者と会話していく中で、どのように売上を上げていけばよいのか、どのようにユーザー接点を作り購買につなげていくのかは広告、マーケティング界隈で頻繁に話されているテーマになります。

もちろん今の「物が売れない時代」でも大ヒット商品は生まれるし、逆に売上を伸ばしている企業も多数存在するなかで、ではなぜ売れたのか?や、次の新商品も同様に売れていくのか?については売ってみないと分からないケースもあり、継続成長を前提とする企業にとって売れるはずの商品が売れないことは死活問題にもなりかねません。

そんな中、2022年以降のマーケティング手法を考えるテーマとして、Google社が運営する「Think with google(https://www.thinkwithgoogle.com/)」に興味深い記事があったので、内容を紹介しつつSNSのマーケティングに置き換えたときにどうなるのか考えてみたいと思います。

このサイトには他にもGoogle広告周りの記事を始め、様々な調査データをもとにしたマーケティングメソッドもまとまっているのでぜひいろんな記事を読んで見てほしいです。(サイト右上のサーチ機能からキーワード検索することもできます)

パルス消費について

参考記事:

総集編:スマホによって生まれた新たな消費行動「パルス消費」とは? 4 つの記事で学ぶデジタルマーケティングの可能性

パルス消費はこれまで認知して興味を持ち、比較検討して購買ではなく、購買のされかた自体大きく変わってきている状況を言い表すフレームとしてGoogleが2018年に提唱している言葉ですが、

いまKAIKETSUで検証しているAmazonや楽天のランキング推移との相関、クライアントのECサイトの売上推移との相関などは、投稿が生まれてから翌日や翌々日にランキングの上昇が見られることを分析していますが、認知して、関心を持って、比較検討して、買うというフェーズを踏んで買われているというより、投稿を見てその場で買うもしくは翌日に買うことを測定していると考えられ、まさにパルス消費を可視化している分析になっていると思われます。

逆に、長期的な検討を必要とする商品に関しては以下の「Think with google」の記事でも記載があるように、あらゆるチャネルが複合的に関係しあっているため測定が不可能になっている印象です。

今の消費者の情報探索行動はどのようにしたら分析できるのでしょうか。世の中にはさまざまな情報探索の方法が存在しています。SNS、動画サイト、口コミサイトといったオンライン上での探索行動もあれば、テレビや新聞などのオフラインメディア、あるいは実店舗や知り合いなどからの情報収集もあるでしょう。
しかしながら、そのすべてのデータを分析することは現実的ではありません。では数ある情報探索行動の中で、人が情報を探索する意図をもっとも包括的に理解できる行動とはなんでしょうか。

そうなるといかにパルス消費を引き起こすのか、さらにいうとどのようにパルス消費が起きているのかを理解することはSNSマーケティングと購買の関係性を考える上で重要なポイントになる可能性があります。

どのように消費行動が変わってきたのか

パルス消費について考える上でどのように消費行動が変わってきたのかを整理したいと思います。

いま、生活者の買い物行動はデジタル化によって大きく変化しています。かつては買い物をするために店舗に出向いていた生活者が、現在では自宅内はもとより、電車の中、会社や学校、さらには病院にいる時でさえ、その場で商品を購入するという行動を取ることが可能になっています。このことは、かつてコンビニの登場により、買い物をする「時間的制限(=いつでも)」から開放されたことに匹敵する、買い物をする「場所の自由(=どこからでも)」の獲得という画期的な変化です。

ネット時代以前は、リアル店舗が全てでそこになかったものは変えない状態、そもそも新しいブランドとの接点が限定的だった

コンビニなどの出現でいつでも変える時間的制限からの開放が起こり、ECサイトの隆盛によってどこでも買える場所の自由も獲得

ECサイトの発展、スマホの普及、情報チャネルの多様化(SNSの隆盛)から人々はより様々なブランドとの接点を持つことができるようになり、自分の知りたい情報を取捨選択して生活するように。これによってニッチなブランドも出会い、買えるようになり無名のブランドでも有名ブランドを超える売上を出せる世の中になっていった。

たとえば、あるカテゴリーにおいて、大規模な広告予算を投下して高い認知率を誇るブランドの売上比率が逓減する傾向が認められました。つまりある特定のカテゴリーにおいて4−5ブランドに「集中」していた購入候補が、それ以外のブランドも購入候補になる「分散」状態に変化しつつあったのです。もちろん、まだ兆しであって、全ての人々の意識や行動が変わってきているわけではありませんし、認知に意味が無いというわけではありません。ただ、それだけでは説明できない消費行動が今、生まれてきているということです。

こちらの記事のようにこれまで購買が集中していた4〜5ブランドから売上の分散が起こり、その他のニッチブランドにシェアが分散していることも影響があると考えられます。

ここからも伺えるように、従来のマーケティングセオリーに当てはまらない人々の購買行動につながっていく状況が生まれている(パルス消費)


ジャーニー型消費行動からパルス型消費行動へ

いわゆるAIDMAやAISASのような認知重視のマーケティングメソッドは、もしかしたらマーケター目線で消費者の行動を考えやすいかたちに落とし込んだものになってきている可能性もあります。

現代の日本人にとって、24 時間すべてが買い物のタイミングであり、空き時間にスマホを操作しながら瞬間的に買いたい気持ちになり、買いたいと思う商品を発見し、その瞬間に買い物を終わらせるという消費行動が広まっていることがわかります。

いつでも消費行動に結びつく環境にいて、買いたい気持ちを醸成していく考え方から、なんとなく検索している間に偶然出会った商品をその場で買う、なんとなく検索している間に自分の中でも言語化できていなかったニーズに刺さる商品と出会い、その偶然の出会い(セレンディピティ)によってパルス消費が起こるといった購買行動が生まれているのも実情です。

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われわれはこのような行動を「パルス型消費行動」と呼び、従来のような、ある程度時間をかけて買いたい気持ちを醸成させる「ジャーニー型消費行動」とは区別すべきと考えました。注意しなければならないのは、これらの行動が、趣味的な商品に対する非日常的な買い物行動ではなく、日常的に消費する商品に対して行われている点です。その意味で、従来型の「衝動買い」とは一線を画した消費行動だと言えます。
このパルス型消費行動は、スマートフォン上で展開されるさまざまなショッピング サービスの普及と軌を一にしています。この背景には、スマホによっていつでもどこでも情報収集ができるようになったことや、暇つぶしに検索、SNS、アプリ、動画サイト、マップなどを使って、漠然と気になっている事柄を調べる習慣が広まりつつあることも影響しています( 2015 年以来、グーグルは、このような行動をマイクロモーメントと定義しています )。

特にSNSの中ではTikTokを始めとして、ショート動画の普及も顕著ですが、バイトダンス社が打ち出している「興味からズドン」や「フォロワー0でもバズれる」などもブランドとの新しい出会いの創出や、パルス消費を引き起こすファクターとなるメディアを目指していることが伺えます。

自分の購買行動を振り返ってみても、TikTokでたまたま見た動画ないで、カップルが何気なく会話している中で女性がスチームアイロンでワイシャツのシワを伸ばしていたのを見て「めちゃめちゃシワ簡単に伸びるじゃん」と思いすぐに買った経験があり、なんの関係もない動画で自分のニーズが掘り起こされ、その偶然性に感動してそのモチベーションのまま購買するという流れに特に抵抗なく起こっていくことなんだと思います。(このTikTokの動画のコメントでもシワが伸びる事に関するものもあり、自分だけでなく他のユーザーにも刺さる動画だったのだと感じました)

引用:TikTok_2021Q1_純広告MediaGuide_Ver1.0

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InstagramでもインフルエンサーのPRによってユーザーとブランドの新しい出会いが生まれ、もしそこでユーザー自身の「私のだいじ」と合致すればいつでも購買が起こっていくことも考えられます。

だからこそこれからのマーケティングは、消費者がもっている、言語化される前のこのおぼろげなホープ(願い)を、いかにブランドと関連づけられるかが非常に重要だと言えます。そのために、各々の消費者がこの瞬間にその商品やサービスを手に入れるにあたって、本人でさえ気づいていない「実はだいじ」なことをくみ取り、それに寄り添おうとする不断の努力が必要です。具体的に言うと、ブランドを手に取るとき、あるいは、ブランドからのメッセージを受け取るその瞬間に消費者が感じる、「あ、今の私のだいじ、見つけた。」と言う感覚をどうやって獲得していくかを考える。ということです。

逆に認知重視のマーケティングでは、CMの大量投下やデジタル広告の出向、電車や街のジャックなどが有効な施策とされてきていましたが、よりミクロの世界でユーザーの行動を促していく施策はSNS上でしかできないことでもあります。

CMを打たずに大手メーカーに匹敵するブランド力と認知、売上を出している企業として有名なのがプチプラファッションの「グレイル」がありますが、グレイルはInstagram、WEAR、YouTube、TikTokとあらゆるSNSメデイアでUGCが自然発生する仕組みを作ることに投資して成功している企業になっています。

UGCが発生する状況に持っていくためには多くの先行投資や先見性、ブランディングが必要になりますがうまくSNSを活用することができればパルス消費を引き金として、UGCが生まれそれがWファネルにつながっていく仕組みができてくる世の中に変わってきています。

予算が潤沢にある企業であればもちろんCMやデジタル広告への予算投下を通じて認知をアップさせ、店頭プロモーションで購買へ持っていくこともできますが、消費者の購買が集中から分散へ向かっている中でいかに「購買の波に乗るのか」が2022年以降の購買へつなげるテーマとなると考えられます。

むしろその他の購買導線の力が強まっている中でこれまで通りのシェアを維持できるのか?新しく台頭してくる新興ブランドとどうやって戦っていくのか?についてはナショナル企業であっても経営課題の一つに上がっていくと思われます。

従来型の購買行動から変化の時代を迎えている中で、新しいマーケティングセオリーを考えていく中で理解しておくとアイディアのもとになる「6つの直感センサー」と「8つの動機」についても参考になるのでぜひ読んで見ていただきたいです。

「パルス型消費」を促す 6つの直観センサー

バタフライ・サーキットと 8 つの動機

このパルス消費を考える上で「バタフライ・サーキット」についてもGoogleが提唱していますが、こちらの概要やSNSマーケティングへの落とし込みについては次回の記事でまとめたいと思います。


参考記事

総集編:スマホによって生まれた新たな消費行動「パルス消費」とは? 4 つの記事で学ぶデジタルマーケティングの可能性

買いたくなるを引き出すために:パルス消費を捉えるヒント(1)

データから見えた「パルス型」消費行動——瞬間的な購買行動が増えている:買いたくなるを引き出すために:パルス消費を捉えるヒント(2)

消費者が「ピンとくる」6 つの直感センサー:買いたくなるを引き出すために:パルス消費を捉えるヒント(3)

商品ジャンルごとに購入のトリガーを比較:買いたくなるを引き出すために:パルス消費を捉えるヒント(4)

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