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ビートルズ "Run For Your Life"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 115回目、今日の楽曲は...

アルバム RUBBER SOUL B面 7曲目 "Run For Your Life"

サウンド:★☆
メロディ:★☆
リズム :★
アレンジ:★
第一印象:★★
スルメ度:★☆
独創性 :★★
演奏性 :★★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

軽快なリズムのアコースティック・ギター・ストロークから始まり、続いてエレクトリック・ギターのリフ、ドラムとベースが入る。そのあとに、ジョンのボーカルが続き、よくある素直なパターンのイントロである。

曲の構成から考えると、16小節の Aメロ "Well I'd rather see you dead..." のメロディを単純に 4回くり返すだけという、言ってみればなんとも手抜きな曲である。唯一の聴きどころとして、ボーカルはジョンのソロで始まるが、Aメロの後半部分 "You'd better run for your life..." からは、ポールとジョージが加わった 3部コーラスとなっており、得意の絶妙なハーモニーを聞かせてくれる。

メロディ・ラインは相変わらずシンプルの極みで、最初の 4小節と次の 4小節は同じメロ、その次の 2小節とその後の 2小節も同じ、最後の 4小節も直前の 2小節パターンからの派生である。さらに 2コーラス目のギターソロも、同じような短いフレーズをくり返し弾いているにすぎない。

演奏もシンプル。ギター 2本とベース、ドラムといったごく標準的な編成。ドラムに至っては、フィルインが全く入っておらず、リズムマシンのような単調な 8ビート・パターンを延々と叩いている。あと目立つのは、始終鳴っているタンバリンか。

キーは、Dメジャー。コード進行は、Aメロでは D→Bm→D→Bm→E→Bm→E→Bm→G→F#... といった感じで、わりと普通ではあるが、Eコードがやや特徴的な響き。ギター・ソロでは、D→G→D→A→D という進行で、若干ブルース進行を意識しているのか。

エンディングも、"Na-na-naa ..." を繰り返しつつフェードアウトするのみ。RUBBER SOUL 最後の締めくくりとしては、ちょっと安易というか、寂しい幕切れのような感じがする。

これで、アルバム RUBBER SOUL は終わりです。前作の HELP! から次作の REVOLVER へ、音楽的な変革をもたらすべく、過渡期的な意味合いが多かったアルバムではないだろうか。ライブ会場での観客の絶叫に耐えられず、「自分たちの音楽そのものにもっと耳を傾けてほしい」という意志が、次第に明確になってきた時期かと思う。それゆえ、メンバーの個性が強く前面にあらわれた楽曲が増えていったのだろう。大衆音楽から芸術的な音楽へ、彼らの「進化」が垣間見れるアルバムである。

次回からは、アルバム HELP! です。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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