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八角への恋煩い

二度おいしいとは、このことなりの一席。

あれは3年前。

「こんな角煮をつくってみよ」との命を受け、試作を重ねてできました一品。

角煮はもちろん、一緒に煮込みますあの子を食べたら「え?うまっ」と声が漏れたあの日。

二度おいしいとはこのことだ。

さらには、八角を投入するだけで、香りもお味もあなた色に染まってしまう。

そんな私は、依存と言う名の恋煩いをしているのでしょうか?そんな一品をご紹介。

さて本日は、「豚バラブロック」「お醤油」「酒」「塩胡椒」「梅酢」「ザラメ」「人参」「ねぎ」「生姜」「ニンニク」「あれば八角」をご用意くださいまし。


材料

●お肉と下処理●
豚バラブロック 200gくらい 
塩胡椒 豚肉の両面にさっさとかけられるくらい
酒 スプーン3杯分くらい

●旨味たち●
ザラメ スプーン1〜1.5(お好みの甘さ)
人参5cmくらい
ねぎ青いところ
生姜の薄切り2、3枚
にんにく1、2かけ
酒 100ml
水100ml

●味付け●
薄口醤油 スプーン2くらい
濃口醤油 スプーン0.5くらい
梅酢 お好きな酸っぱさ
八角(あれば)

●お好み●
お好みで、筍やお揚げ、半熟卵をつけるのもよろしいかと


作り方

1、お肉の厚さはいかがしましょう?

厚ければ厚いほどに食べ応えがありますが、煮込むのに時間がかかるのが難点だ。うーむ。悩みどころですねぇ。
存分に悩んで、厚さを決めてゆきましょう。

2、下処理大事

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↑漢字が並ぶと漢文みたいでかっこいいですね。
お肉の下味についての重要性は何度も申し上げておりますが、今回もお伝えいたします「下味大事だよ」。しっかり両面に塩胡椒を振りましょう。
そのあと、酒を両面にささっと振りまして10分ほど休憩。

3、脂よグッパイ

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バラ肉は、火入れをするとこれでもかと脂がでてくる。故に、焼き上げる時は油などをひかずにそのまま火入れを!
こんがり美味しそうな焼き色がつくまで焼きましょう。この工程をしてあげると、どっさり脂とさようなら。

4、味付け前にやわらかく(酒、水、旨味たちをどーん)

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お肉をやわらかくする前に味付けをしてしまうと、キュッと身が締まりすぎて、えらいこっちゃになるんだよ!そんなことを頭の片隅にいれておいてもらえましたら嬉しい限り。まずは酒とお水を同量くらい、お肉が浸るくらいまでいれましょう。
同時に旨味の材料たちをどーんと投入。味付けはまだしませんっ!

(ザラメの分量)
攻めすぎるとたるくなっちゃうので、なんだか甘いはくらいにとどめてあげるのがよろし。たまにザザッと勢いよく飛び出るザラメの応酬を受け、激甘な角煮を完成させてしまうわたくしです。

(余談)
初めてはいった飲食にて、ビーフシチューをしこめと言われたわたくし。
特に指示もなく、右も左もわからぬままレシピ通りに仕込みを終えました。翌朝。上司から鬼電がきておりましてね「肉がクッソ硬いんだよ」と激おこされたのがトラウマです。電話越しにどうすんだよ?と言われ続けて、おっかなかったな。
この経験のおかげで、お肉は柔らかくなるまで煮込む、自分の身は自分で守るということを学びました。

5、はじめは強火、次は弱火(火にかけます)

アルコールを飛ばさないと、見た目は美味しそうだけど「あれ?酒が…」となってしまうので、最初は強火でグツグツ。アルコールが飛んだら(香りを嗅いでみましょう)、弱火にして蓋をして柔らかくなるまでコトコト。


6、苦労は買ってでもしろ

爺さんによく言われていたな。そんな苦労ってほどでもないのですが、お肉が柔らかくなりましたら、粗熱をとって冷やしてくださいまし。

7、脂をすくいましょう

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この図は何度みてもゾッとします。
私のお腹周りの脂肪たちも、こんな感じなのでしょうか?
そんな良からぬ想像を振りはらい、丁寧に脂をすくうわたくし。
この地味な工程が非常に大切でしてね、脂が多すぎると味付けをしても全て脂のバリアにはじき返されます。


8、味付けの妄想

ここから味付けのターン。味付けしてから15分くらいは煮込みたいところ。となると何が起きるか。
YES!
「蒸発」ですね。ので、あまり攻めすぎない味付けがよろしいかと。

(梅酢について)
いれすぎると酸っぱくなっちゃうので、チロチロビビりながらいれてあげるくらいがよいかと。お好きな酸っぱさをチェケラ!

9、あぁ八角よ!私は八角色に染まりたい。
あなた(八角)を投入するだけで、香りもお味もあなた色に染まってしまう。そんな私は依存と言う名の恋煩いをしているのでしょうか?

10、コトコト(15分〜30分くらい)

脂をスッキリさせたお肉たち。どんどん味を吸い込んでゆきます。
蒸発しやすいので、落し蓋などしてあげるとよいですね。


11、冷ましてあげるとなお美味しい

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煮物と同様、冷める時に味が染み込みます。できたら一晩寝かせてあげたら言うことなし。待ちきれぬ方はそのままでもよし!

12、二度美味しいのターン
一緒に煮込んでおりましたお野菜たち、この子たちが絶品でしてね。
特に人参には度肝を抜かれます。私はこの子たちをカレーにするのが好物です。野菜の水分をもう少し飛ばし、蒸したお芋と合わせてコロッケにするのも美味しそうだ!二度美味しいとはまさにこのこと。


以上。


今日のツボ
・お肉の厚さによって完成時間が異なります
・下味大事
・脂はしっかりとりきりましょう
・味付け前にじっくりコトコト
・ザラメの量は多すぎないこと
・肉は柔らかく、やわらかくです(怒られちゃうから)
・味付けは蒸発することを予測してつける
・八角に恋患いする
・煮込んで寝かす

先日お家に届いた美しい梅たち。

今は梅干し用に追熟していた数日間。

部屋全体がなんとも柔らかな初夏の香りに包まれ、目覚めがよかったです。

今年は気合を入れて、久松さんの大きな甕をゲットしまして。

お塩も能登の昔ながらの製法でつくられた、うまいお塩を取り寄せました。

がっつり仕込みを終え、いい具合に梅酢が上がってきた。

実に楽しみ。

お後がよろしいようで。


食べたいものをつくる人 高橋 拝。


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