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うたの日の短歌

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うたの日で注目した短歌について書いた評を載せていきます。(※ 歌の作者の許可を頂いています。)
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2022年4月の記事一覧

雨粒が斜めに窓を叩くのを見て傘の柄を強く握った/音羽凛

2022年4月29日(金)のうたの日19時部屋の題「強」の短歌。 雨風が強いと、「雨粒が斜めに窓…

洗濯を終えた洗濯機が夢想してる永劫、宇宙、輪廻など/ゆき

2022年4月28日(木)のうたの日11時部屋の題「洗濯」の短歌。 洗濯機にとって、回っていると…

眠たげに枯れたパンジーに泣かされるいとしい猫背の真似はよしてよ/三〇五

2022年4月27日(水)のうたの日19時部屋の題「眠」のうたの日初出詠の短歌。 「眠たげに枯れ…

床拭けば吾を馬にする君知るやいつか背負へぬ時のくること/斎藤君

2022年4月24日(日)のうたの日15時部屋の題「する」で次席となった短歌。 作中主体は床の拭…

待ち人に手を振るように柔らかく橋に結ばれているストール/帆立みく

2022年4月23日(土)のうたの日7時部屋の題「橋」の短歌。 橋のたもとか橋の上で、落とされて…

ゆるやかに目を覚ますとき蘇る二重の溝に沈んでく夢/コメノ ツブ

※ 二重=ふたえ 2022年4月22日(金)のうたの日21時部屋の題「溝」の短歌。 上句と下句とで…

クラスでは目立たない子が顔を上げとろとろ渡る横断歩道/古川柊

2022年4月21日(木)のうたの日15時部屋の題「上」の短歌。 小学校か中学校か高校、または高等教育機関でのクラス。内気で目立たない子というのは必ずと言っていいと思うが、いる。 作中主体は教員の視点か、それとも同級生の視点か。教員の視点なら、児童・生徒、または学生を教育的な観点で観察するということになる。同級生の視点なら、「クラスでは目立たない子」への興味から来る観察だ。 そんな子だって、顔を上げるし、横断歩道を渡る。しかし、渡るときは「とろとろ」である。あまり生気の

少しずつ野原に還る公園の錆びた遊具に憩う影たち/月硝子

2022年4月19日(火)のうたの日15時部屋の題「野」の短歌。 高度経済成長期以降に造成された…

春風が水面に集めた花びらで完成させてゆく点描画/飛和

2022年4月15日(金)のうたの日17時部屋の題「春風」の短歌。 「春風」が「集めた」という動…

真昼間の月を捕らえてぼくだけの思い出とする教室の窓/高田月光

2022年4月14日(木)のうたの日19時部屋の題「捕」で次席となった短歌。 作中主体は、学生か…

あの仔犬が確かに生きていた証この瘡蓋は治らなくていい/霏々

2022年4月13日(水)のうたの日19時部屋の題「蓋」の短歌。 仔犬はあの世へ行ってしまったか…

祝福が届くようにと空たかく紅白でありつづける鉄塔/夢路ミナ

2022年4月12日(火)のうたの日19時部屋の題「鉄」の短歌。 紅白の鉄塔と言ったら一番に東京…

人は地に縛られてをり渡り鳥の群れ国境を超えゆくを見つ/とぅらんく

2022年4月10日(日)のうたの日13時部屋の自由詠。 「人は地に縛られてをり」という言葉は、…

玄関に12センチの靴ならべ春の大地へ踏みだすひかり/春ひより

2022年4月11日(月)のうたの日13時部屋の題「並」の短歌。 「12センチの靴」といったら、1歳ぐらいの歩き始めの子が履くもので、売られている種類が少ない。下限が12.5センチの靴もあるためだ。歩き始めるのが比較的早かった子が外出中に歩けるようにと、何とか探し出してきた靴。また、幼い子の足はすぐに大きくなってしまうので、「12センチの靴」が使われるのは、ほんの束の間のことだ。 そんな靴を玄関に並べて置くのは保護者だ。春生まれの子だろうか。 生まれて一年の間の成長は著